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本作は戦争中のとある国を舞台に、ミルク運びの男コスタと、村一番の英雄の花嫁になるため現れた美女の逃避行を描いた物語。クストリッツァ自らコスタを演じ、モニカ・ベルッチが美しき花嫁役で出演した。
同イベントにはクストリッツァが、昨日もライブを行った自身のバンド、エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラのメンバーとともに来場。メンバーに急遽声をかけていたため、自身の会場入りが遅れるというハプニングもあった。何人かのメンバーが客席後方から見守る中、クストリッツァが無事ステージに上がると、客席から拍手が起こった。
冒頭の挨拶でクストリッツァが「これが私の最新作でありまして、最後の作品……ではないので、次の作品を楽しみにしていてください」とジョークを飛ばすと、観客は息を呑む。もととなった短編「Our Life」に続き自身が主演を務めたが、クストリッツァは「もう二度と自分の作品では主演しないだろう」とキッパリ。「現場において監督は観客の代表だと思う。観客でありつつ、スクリーンに映る人物でもあるという両立は無理なんだと感じました」と理由を述べた。
オフィシャルインタビューにて「自分の映画人生における紛争のページは終わりになる」と発言していたクストリッツァ。「僕は常に、世界で起こっていることと逆方向に進んでいる。この20年間バルカン諸国で起こっている紛争を観察し続けてきましたが、戦争に関する映画をもう作らないと言ったのは、世の中に今、戦争映画があふれているからです。この地球上では、戦時中あるいはその準備状態というものが普通になってしまっている」と説明する。さらに「戦争映画を3本撮ったことで、私の役割は終わったと思います。でも、それによってなんの利益も得ていません」と断言して笑いを起こした。
ここでSNS上で募ったクストリッツァへの質問が、司会によって読み上げられた。作品に出てくる動物たちをどう演出しているのかという問いに、クストリッツァは「人と同じです。ちゃんと食事を与えれば、いい演技をしてくれます」とあっさり回答する。エモーショナルなシーンに動物を登場させる理由を「今の人々は、人間よりも動物に対して愛情を持っていることが多い。テレビでは何百人、何千人が殺される映像が映されていますが、それに麻痺してしまっている。でも、たとえ1匹でも動物が殺されている映像を観ると、感情的になってしまうんだ」と話した。
最後にクストリッツァは、「映画を観るということは、フィクションの世界に入り込むこと。たとえ2時間、3時間であっても、自分の可能性を広げることができる。だから私は映画を作るし、バンドにも参加しているんです。この映画を観終わったあと、皆さんはよりよい人生を送れるはずです。映画館に行くことは、精神科に行くよりもいいことなので、どんどんご覧になってください」と笑顔で挨拶した。
「オン・ザ・ミルキー・ロード」は9月15日より東京・TOHOシネマズ シャンテほかでロードショー。
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