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「ディストラクション・ベイビーズ」向井秀徳と新井英樹も絶賛、共通項はほとばしり

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左から新井英樹、真利子哲也、向井秀徳。

左から新井英樹、真利子哲也、向井秀徳。

ディストラクション・ベイビーズ」のスペシャルトークショーイベントが本日5月12日に東京・テアトル新宿にて開催された。

愛媛・松山を舞台とした本作は、通行人へ無差別な暴力を振るう“危険な遊び”に走る青年2人の姿を軸に、若者の欲望と狂気を描く作品。強そうな相手を見つけては喧嘩を仕掛ける野獣のような主人公・泰良に柳楽優弥が扮しているほか、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、池松壮亮、北村匠海らが出演している。

このイベントには、監督の真利子哲也、音楽を担当した向井秀徳、そして真利子がその作品に影響を受けたというマンガ家の新井英樹が登壇。真利子は2人のことを「10代の頃大好きだったマンガ家とミュージシャン」と紹介する。さらに柳楽のキャスティングは真利子が熱望したとのことで、その理由を「『誰も知らない』で柳楽優弥のビジュアルを初めて見たとき、新井先生の『キーチ!!』(の主人公・輝一)に似ているなと思ったんです。その頃からいつか柳楽優弥とやれたら、と思ってました」と明かした。

新井は本作の感想を、「冒頭、泰良が街で喧嘩してのされて、路上をのたうち回るシーンでやけに体温が上がった。映画化不可能と言われている自分のマンガ(『ザ・ワールド・イズ・マイン』)の、トシ、モン、マリアがそのままそこにいるっていう感覚がしてうれしかった」と振り返る。また同じシーンについて、「のされてアスファルトの上を転がり回るっていう場面を、マンガでは何ページも描くわけにいかない。でも純粋に暴力が楽しくて、それでしか生きる喜びを感じられないっていう感情をあのシーンで表している。こんな表現が、動く絵面で音も含めてできるのがうらやましかった」と率直に述べた。

自身も新井のマンガに影響を受けているという向井は、「マンガと映画と音楽。それぞれまったく違うものだけど、要はほとばしりを感じるか感じないかだけ。表す側としてほとばしりたいとも思っているし、そういう意味で共感してる」と語る。

ここで司会から、「泰良とは何者か?」という質問が。向井は「この映画のすべての登場人物に感情移入できないんです」と困惑しつつ、「でも、何を考えてるかわからないから不気味ってことじゃない。感情移入できないけど、その先に何か見えてくるものがあるかもしれないっていうムードを、ヒリヒリと感じる」と言葉を紡いでいく。同じ問いに新井は「俺の中では、泰良はある種憧れの人。物事を勉強して何か知る人より、何かを好きになる人のほうが幸せ。そしてそれよりも何かを楽しむ人が高次って孔子が言ってたんです。泰良は喜びを欲して生きているので、自分もこんなふうに理屈を言わずに喜ぶ当事者になりたい」と答えた。

2人の考えを聞いた真利子は、「本編の中で『泰良』って名前を呼ぶのは最後の警官だけで、それまでは名前が出てこないんです。観た人それぞれが泰良とは何かを考えてくれるように作ったので、どれも間違いではないですね」と話した。

イベント終盤には、向井のミニライブコーナーが。向井は「はあとぶれいく」と本作の主題歌「約束」を弾き語り、2人や観客から大きな拍手を受けた。

最後の観客への挨拶にて、向井は「この映画に音楽として参加できてとても幸せです!」と、新井は「この映画が本当に大好きなので、ぜひ口コミで広めてください」とコメント。そして真利子が「やりたいものをやりたい人たちと作ることができて、本当に幸せに思っています。公開が楽しみです!」と締めくくった。

「ディストラクション・ベイビーズ」は5月21日より全国ロードショー。

(c)2016「ディストラクション・ベイビーズ」製作委員会

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