4月16日、東京・角川シネマ新宿にて、第86回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作「
本作は、パレスチナに生きる若者の日常をつづったドラマ。分離壁を越えて恋人と会っていた青年オマールは、イスラエル兵殺害容疑で秘密警察に捕まり、一生を獄中で過ごすかスパイになるかの選択を迫られる。「パラダイス・ナウ」で第63回ゴールデングローブ賞外国語映画賞を獲得したパレスチナ人監督、
撮影から3年を経て来日したバクリ。映画への思いについて「この作品は僕を変えた。出演できた経験はこれからも残ると思う。今は観客としてこの作品を観ることができる」と感慨深げに語った。続けて「初めてスクリーンで作品を観たときは緊張していて、自分の演技しか観ていなかったけれど、とてもエモーショナルな体験だった。2回目にカンヌ国際映画祭で観たときも客席で父と兄が観ていたので、震えていました。感想は直接聞かなかったけれど、観終わったあとの彼らの感動した目を見て、合格点をもらえたと確信しました」と述懐した。
パレスチナの市井の人々の暮らしが描かれた本作。撮影時を振り返り、バクリは「とても大きな責任を感じていました。主人公のオマールが経験したことを忠実に表現することが大切で、自分が経験しているように表現することが大事だと思った。この映画自体が、そしてこの壁自体がパレスチナの占領の暴力を象徴しているんです」と語る。さらに「壁は遠くから見たことがあったけど、撮影のときに初めて近くで見て、パレスチナの葛藤を象徴しているようで心を揺さぶられました。太陽が隠れてしまうほどの大きさにも圧倒されました」と明かした。
本作には人間ドラマ、ラブストーリー以外に、アクション要素も盛り込まれている。バクリは「いろんな役に挑戦してみたいですね。次は『スパイダーマン』とか『スーパーマン』かな(笑)」と会場の笑いを誘う。監督アサドの演出については「エンタテインメントとアート、双方の要素があるのが素晴らしい。より多くの観客に観てもらうためには両方の要素が必要だと思う。この『オマールの壁』は、パレスチナでは小さな子供も知っているくらい知名度があります。そんなことは、ほかの作品ではありえません」と賞賛した。
最後にバクリは「細やかなメッセージがあちこちにちりばめられていて、観れば観るほど微妙なニュアンスが見てとれる作品だと思います。ラストシーンの意味など、観客の解釈に任せるところが素晴らしいんです」と作品をアピールし、舞台挨拶は終了した。
「オマールの壁」は、東京・角川シネマ新宿、UPLINKほかにて公開中。
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