東京国際映画祭が閉幕、グランプリは実在した精神科医の挑戦描く「ニーゼ」

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第28回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが、本日10月31日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて開催された。

第28回東京国際映画祭の受賞者と審査委員たち。

第28回東京国際映画祭の受賞者と審査委員たち。

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ARIGATO賞授与式の様子。

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左から広瀬すず、樹木希林。

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まず最初にARIGATO賞の授与式が執り行われ、受賞者の樹木希林広瀬すずリリー・フランキー細田守、レベルファイブの日野晃博代表取締役社長が登壇した。本賞は、「その存在が広く映画界を支え、つねに私たちに見せて下さることに感謝し、『ありがとう』の意を伝える賞」として今年度より新設されたもの。昨日高齢者のための免許取得講習を受けたという樹木は「歳をとるというのは大変なことだと思います。にもかかわらず、人様にありがとうと言っていただけるなんて。いえいえ、こちらこそありがとうございます!」と挨拶。広瀬は「たくさんの方へ感謝の気持ちを込めて、これから一生懸命がんばりたいと思います」と話し、リリーは「映画の世界からありがとうと言われるほど、樹木さんのように長く貢献したわけでもないので……僕はどっちかというと、“広瀬すず枠”としてさわやかな風を吹かせたということなのかな」というコメントで場を和ませた。

「ケンとカズ」の監督、小路紘史。

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続いて各賞の発表が行われ、日本映画スプラッシュ部門の作品賞として「ケンとカズ」のタイトルが読み上げられた。主人公2人のキャラクターをしっかりと捉え、2人の旅をシェイクスピアのようにまとめていると評された本作。監督の小路紘史は、「この作品はやっと一歩を踏み出したと思っています。スプラッシュ部門とこの賞に恥じないよう、これからがんばっていきたいと思います」とスピーチした。そしてアジアの未来部門では、国際交流基金アジアセンター特別賞にデグナー監督の「告別」が、作品賞にピムパカー・トーウィラ監督の「孤島の葬列」が選ばれた。審査委員代表のオリヴィエ・ペールに「国の雰囲気や心の捉え方、映画的な表現が素晴らしかった。政治的な背景がありながら、夢を見ているようなファンタジックで神秘的な世界に連れて行ってくれた」という言葉を贈られたピムパカーは、「この映画は長い年月をかけて撮りました。なかなか撮り終わらないと思ったこともあった」と目を潤ませる。

左からホベルト・ベリネール、ブライアン・シンガー。

左からホベルト・ベリネール、ブライアン・シンガー。[拡大]

そしてコンペティション部門の結果発表へ。まずは観客賞に輝いた「神様の思し召し」の監督エドアルド・ファルコーネへ拍手が贈られた。そして最優秀芸術貢献賞に選出された「家族の映画」の監督、オルモ・オメルズは製作パートナーたちへ感謝を述べた後「私の映画に出てきた3匹の犬と、トレーナーのフィリップにも感謝を申し上げます」と話し会場を沸かせる。そして「カランダールの雪」のムスタファ・カラがWOWOW賞と最優秀監督賞の2冠を達成。主演男優賞は「地雷と少年兵」のローラン・モラーとルイス・ホフマンへ、主演女優賞は「ニーゼ」のグロリア・ピレスへ贈られた。審査委員特別賞に選ばれた「スリー・オブ・アス」の監督ケイロンは、ビデオメッセージで「名誉ある賞でとてもうれしいです。早く皆さまにお会いして個人的にお礼を申し上げたいです」とコメント。

「ニーゼ」 (c) TvZero

「ニーゼ」 (c) TvZero[拡大]

そして、審査委員長のブライアン・シンガーがステージに上がり、東京グランプリにホベルト・ベリネールのブラジル映画「ニーゼ」が選ばれたことを発表した。実在した精神科医のある“挑戦”を描く本作について、シンガーは「作品作りにおいては、ファンタジーであろうと実話にもとづくものであろうと、観客が本当だと思うことがとても大切。この作品にはその要素がすべて含まれていた」と絶賛。それを受けベリネールは「人生のうち13年間をこの映画に捧げて来ました。主人公のニーゼは重要な人物であり革命家。でも彼女を知っている人は少ないです。私は彼女を世界に紹介したいという責任を感じていました」「病院の精神患者たちと5、6カ月一緒に過ごし、彼らがスタッフやキャストの一員になった。その体験が私たちの人生を変えました」と語る。

ホベルト・ベリネール

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最後にシンガーが、総評として「素晴らしい監督や素晴らしい演技をした人たちがたくさんいて、賞がたった6つしかないことが残念でした。個人的には(『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』に出演した)友人のイーサン・ホークもいい演技をしたと思うし、『地雷と少年兵』の少年兵は全員演技が上手だった。そして何より、犬の演技が素晴らしかった。『キャスト・アウェイ』でもトム・ハンクスと犬のどちらに賞をあげるかという話があったように、冗談じゃなく映画で動物を使うのは大変なことなんだ」とまとめた。

第28回東京国際映画祭 受賞作品一覧

日本映画スプラッシュ部門

作品賞「ケンとカズ」(監督:小路紘史)

アジアの未来部門

国際交流基金アジアセンター特別賞「告別」(監督:デグナー)
作品賞「孤島の葬列」(監督:ピムパカー・トーウィラ)

コンペティション部門

観客賞「神様の思し召し」(監督:エドアルド・ファルコーネ)
WOWOW賞「カランダールの雪」(監督:ムスタファ・カラ)
最優秀芸術貢献賞「家族の映画」(監督:オルモ・オメルズ)
最優秀男優賞 ローラン・モラー、ルイス・ホフマン(「地雷と少年兵」)
最優秀女優賞 グロリア・ピレス(「ニーゼ」)
最優秀監督賞 ムスタファ・カラ(「カランダールの雪」)
審査委員特別賞「スリー・オブ・アス」(監督:ケイロン)
東京グランプリ「ニーゼ」(監督:ホベルト・ベリネール)

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