「第2回 “SAMURAI(サムライ)”賞授賞記念
これは、第28回東京国際映画祭にて第2回SAMURAI賞を受賞したジョン・ウーを招き行われたトークイベント。登壇するや否や会場を埋め尽くした観客に深くお辞儀をしたウーは「東京国際映画祭は私の憧れでありましたし、日本に来るととてもリラックスできます」と述べ、来日の喜びを語る。司会から「それでもお忙しくてゆっくりする時間が取れないんですよね」と問われると、「数えきれないほど東京には来ているんですが、いつも仕事仕事で……実は京都にも行ったことがなくて」と残念そうにコメント。「“東京”国際映画祭ですが、次はぜひ京都で開催してください」と続け、観客をほほえませる。
「黒澤明、ジャン・ピエール・メルヴィル、サム・ペキンパーら尊敬する映画監督からの影響」「ハリウッドと香港の制作環境の違い」「自身がハリウッドでも数少ない最終編集権を持つ監督であること」など、イベントでは多岐にわたる話題が展開。中国で製作された「レッドクリフ」2部作に話が及ぶと、「ハリウッドで中国語圏の友人と会うと、皆から『世界に通用する映画を中国で作ってほしい』とお願いされていました」と当時を振り返る。「私もアジアに戻り、中国の映画を世界に紹介する手助けをするべきだと考えていました。そしてそのためには若手を育成する必要を感じていたんです」と中国で制作を行った当時の思いを明かす。「ハリウッドにいたとき、脚本の材料不足を感じていた。そして、いつかハリウッドは中国に手を伸ばすと考えていました」と付け加えた。
イベントにはPFFアワード2015グランプリを獲得した杉本大地、第17回京都国際学生映画祭の長編部門でグランプリに輝いた二宮健ら日本の若手監督7人も登壇。質疑応答の時間が設けられた。「映画制作以外に興奮を覚えることはありますか」と尋ねられると、ウーは「今は子犬ですね」と断言。手で大きさを示しながら「これぐらいのとても小さな子犬なのですが、かわいくてすぐに抱っこしちゃうんです」と述べたあと、「映画制作における悩みをすべて忘れさせてくれるほど、とにかくかわいいんです」と続け会場を和ませる。
また「現在の日本の若手監督にどのような作品を期待しますか」と問われたウーは、「日本映画には素晴らしい伝統があります。その歴史を大切にしながら、皆さんが持つ現代感覚をうまく結合することができれば新しい映画が作れるはず」と力強くコメント。自身のキャリアの初期に実験映画を制作していたことに触れながら「そのとき養ってきた技術や経験が、商業映画で役立ちました。だから皆さんも、今自分たちが作っている作品で得た経験を忘れないで」と呼びかけた。
第2回SAMURAI賞の授賞式は10月26日、東京・歌舞伎座にて行われる「歌舞伎座スペシャルナイト」内で実施。ウーのほか、もう1人の受賞者である山田洋次が登壇するほか、ゲストとして女優の吉永小百合、映画監督の大友啓史が招かれる。
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抽選に外れ、Ustも観逃したが、こんな感じだったのか。
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