劇作家の
原作は、独自のメソッドを提唱し日本の演劇界をリードしてきた平田と、ロボット研究の世界的な第一人者である大阪大学教授の石黒浩による共同プロジェクト。俳優とアンドロイドが共演する異色作で、国内にとどまらず世界各国で上演が行われている。
「ほとりの朔子」の
原作舞台を鑑賞し、即座に映画化を熱望したという深田は、「死にゆく人間と死を知らないアンドロイドの対話は、芸術家がこれまで連綿と描いてきた『メメント・モリ(死を想え)』の芸術の最前衛にあるものだと思いました」と同作に惹かれた理由を説明。またアンドロイドのジェミノイドFに対して「彼女は映画初出演でありながらほとんどNGも出さず過酷な撮影にも文句を言わない見事な女優ぶりで、すぐに現場の人気者になりました」と賞賛を贈っている。
深田晃司監督 コメント
2011年に原作となる演劇「さようなら」を初めて鑑賞し、即座に原作者の平田オリザ氏に映画化を熱望しました。惹きつけられたのは、その劇空間に満ち満ちた予兆のような死の匂いです。死にゆく人間と死を知らないアンドロイドの対話は、芸術家がこれまで連綿と描いてきた「メメント・モリ(死を想え)」の芸術の最前衛にあるものだと思いました。
死へと至る濃密な時間、それと裏返しの生の輝きをスクリーンに刻みつけたい、そんな欲望に私は舞台を前にして震えたのです。そしてまた、死の闇を思い出させないよう高度に制度化された現代社会にこそ、「さようなら」のような死を見据えた表現は求められ、その価値を増すのだと確信しています。私たちはいつか必ず、自らの死と向き合う日が来るのだから。
撮影は時間と天候との戦いでしたが、素晴らしいスタッフ、キャストに支えられ最高の結果を出すことができました。
特筆すべきは、レオナ役を演じたアンドロイドのジェミノイドFさん。彼女は映画初出演でありながらほとんどNGも出さず過酷な撮影にも文句を言わない見事な女優ぶりで、すぐに現場の人気者になりました。ぜひ、彼女の銀幕デビューを目撃してください。
これまでの私の作品を見てくれている人にも、初めましての映画ファンの方にも、ぜひ見て欲しい作品に仕上がりました。まったく新しい日本映画が完成したと自負しています。劇場公開をどうぞ楽しみにしていて下さい。
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