やっぱり映画本もこっそり読んでるなあ(宇多丸)
──三沢さんには森田監督の本棚の写真も撮っていただきました。東京のご自宅と伊豆の別荘のものです。
宇多丸 (プリントアウトされた写真をじっくり見つめる)
三沢 (
宇多丸
三沢 赤塚さんのほうから送っていただきました。一度お会いしたときに面白いと思っていただけたようで。
──村上春樹さんの小説もありますが、「
三沢 森田は自分でオリジナルのシナリオを書いたとき、登場人物の背景や趣味など、脚本にはないディテールを俳優さんに伝えていました。この人はこういう人です、と説明するために。つまり深津さんが演じた「ほし」には、村上春樹さんの小説を好んで読むような女の子という背景がある。劇中で本が画面に大写しになるのは、たまたまなのですが。
──「
宇多丸 「間宮兄弟」の本棚はもうちょっと小学校の図書館っぽい感じですよね。
──宇多丸さんとしてはどの本が気になりますか?
宇多丸 たまに映画の本が出てくると「あっ」て感じがありますね。読むんだ、みたいな。あと、「失楽園」が意外なほど律儀に置いてあったり(笑)。「ガロ」コーナーもすごいですね。小説も評論もすごい数を読んでますね。
三沢 森田と現場で知り合ったスタッフは冗談ばかり言っているところしか知らないから、来て本棚を見ると「えーっ!」ってなります(笑)。
宇多丸 僕が読んでるようなものもいっぱいありますよ。
──例えば?
宇多丸 植草甚一さんの本も読んでるし、村上春樹さん、安部公房さん。安部公房さんの本、多いですね。
三沢 あとはハヤカワ・ミステリもすごく読んでました。火事で焼けてしまいましたけど。
宇多丸 海外文学もめちゃくちゃ読んでますね。そこが面白い。これはもう「なんでも読む」っていう部類に入ると思うな。
──と、ここまでいろいろなアイテムを見てきましたが、宇多丸さんとしてはどの品が一番印象的だったでしょうか。
宇多丸 サングラスの実物は衝撃でしたね。時代からいってレイバンのものだと思っていたんですけど、白山だったという。あと本も、読まれているとは思っていましたけど海外文学がこんなに多いとは。感心してしまいました。
──ゆかりの品を見て森田監督への印象が変わったところはありますか?
宇多丸 変わった部分……やっぱり映画本もこっそり読んでるなあ、と。
三沢 わかる(笑)。こっそりとね。「読んでる」と自分からは絶対言わないんですよね。絶対目立たないように本棚に置いてる感じ。
宇多丸 それはもう絶対そうです。もし読んでても、即処分する勢いかもしれない(笑)。
三沢 読んでないことにする。よくわかってらっしゃる(笑)。
森田芳光(モリタヨシミツ)略歴
1950年1月25日生まれ、神奈川県出身。東京・渋谷区円山町で育つ。日本大学芸術学部放送学科に進学すると自主映画の制作を開始。1981年に「の・ようなもの」で商業映画デビューを果たした。
三沢和子(ミサワカズコ)
1951年生まれ、東京都出身。大学在学中よりジャズピアニストとして活動する傍ら、のちに夫となる映画監督・
宇多丸(ウタマル)
1969年生まれ、東京都出身。1989年にヒップホップグループ・
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