サンデー文化祭で「名探偵コナン」青山剛昌の貴重な資料とトーク、島本和彦らも登壇

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「島本先生から持ち込みの電話です」「どういうこと?」

島本が少年サンデー編集部に持ち込みの電話をしたところから始まった「ヴァンパイドル滾」。持ち込みをしたことについて、島本は「サンデーでいつかもう一回連載をやりたいと常々思っていたんですけど、『島本和彦なんていらない』と言われたら傷つくから、傷つかないように、新人の状態からいけば途中までは付き合ってくれるんじゃないかと思ってやってみた」と振り返る。大塚氏が当時のサンデー編集部で「島本先生から持ち込みの電話です」「どういうこと?」「どういうこと?っていうか、そういうことです」というやり取りがあったことに触れながら、島本はなぜ持ち込みに至ったのか、という経緯を説明していく。

「サンデー文化祭」の展示の様子

「サンデー文化祭」の展示の様子 [拡大]

その後も公開収録内では、島本から「藤田和日郎のアシスタントが続々とデビューをして連載を取っているから、『藤田和日郎のアシスタントが連載1作目に持ってくるようなマンガを描こう』という当初の目的があった」といった、自他ともにライバルと認める藤田和日郎の話題が飛び出す。またヴァンパイアに興味がなかった島本が、なぜヴァンパイアを題材にマンガを描こうと思ったか、その真実も明かされる。さらに藤田との同時連載が決定した経緯や「頭にきたから描いた」という第1話についても“島本節”全開で語っていく。

「少年サンデーのフキダシ」公開収録の様子

「少年サンデーのフキダシ」公開収録の様子 [拡大]

連載決定に向けて、ネームが通るまでの振り返りトークが繰り広げられていく中、ふと「長い時間話したけど、何分経ったの?」と気付いた島本に、大塚氏からは「まだ(トークの中で)連載が始まってないんですけど、プレゼントコーナーがあるので……」と、トークコーナーのタイムリミットが告げられ、島本は「ああもう終わりだー!!」と絶叫。島本がイラストを執筆したプレゼントコーナーを終えると、大塚氏は「楽しい時間はあっという間でして……」と締めの挨拶に入り、島本は「終わったの!? まだ連載始まってないのに!?」と改めて確認する。「もっと作画のときの苦労みたいなお話を聞けるかと思ったのですが……」と残念そうな大塚氏に「聞いてー!!」と訴えた。なお公開収録の様子は、10月22日と29日にPodcastで配信予定となっている。詳しいトークの内容は配信をチェックしよう。

「少年サンデーのフキダシ」公開収録の様子

「少年サンデーのフキダシ」公開収録の様子 [拡大]

歴代担当編集者から青山剛昌への質問

連載作家陣のトークショーとして最後に登壇したのは「名探偵コナン」の青山剛昌。最初のコーナーでは、歴代担当編集から青山への質問が読み上げられる。「打ち合わせの場で米津玄師さんの『Lemon』が流れたとき、『これを聴いていると警察学校組を思い出す』と仰ってましたが、ほかにもこの曲を聴いたらこのキャラを思い出すというのはありますか?」という質問に、青山は「阿笠博士の初恋のエピソードを描いていたときは『大きな古時計』がテーマソングだなと思いながら聴いていました」と回答。また「THE COLLECTORSの『愛ある世界』を『コナン』の連載前に聴いて、『これだな! やっぱりラブコメだね』と思って、俺の中ではテーマソングになってますね」と語る。また「ラブコメを描くときには大瀧詠一さんの『君は天然色』が頭の中に流れてますね。あとは『古畑(任三郎)』の曲とか、『アンナチュラル』のサントラの『カタルシス』という曲も好き」と述べていった。

青山剛昌

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青山剛昌の最近のお気に入りキャラクターは?

「最近カッコいい、かわいいと思ったキャラクターは?」という質問には「『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』の主人公が、笑っちゃうくらいカッコよかった。あとは最近『スーパーマン』の新しい映画を観たんですけど、それに出てくる犬のクリプトがかわいい。スーパーマンのお腹にクリプトが乗っていたときに『かわいいー』と思った」と、にこにこと微笑む。編集者から見ても、最近のアニメやドラマをたくさん視聴しているという青山。アニメやドラマは原稿の下書きをしているときに観ていることが多いと言い、「最近は『着せ恋』(『その着せ替え人形は恋をする』)の海夢ちゃん、『小市民シリーズ』の小佐内ゆきちゃんもかわいいですね。『瑠璃の宝石』も面白い。凪先生がかわいい」とお気に入りのキャラクターを挙げていく。

「サンデー文化祭」の展示の様子

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続けて「少年サンデー作品でお気に入りのキャラクターは?」という質問が投げかけられると「最近では『葬送のフリーレン』のフリーレン。アニメの第2期ももうすぐ始まりますけど、全部観てますよ。『フリーレン』はセリフがカッコいい。あとは『百瀬アキラの初恋破綻中。』のアキラちゃんがかわいいですね」と答えた。

「サンデー文化祭」の会場内の様子。中央が百瀬アキラ

「サンデー文化祭」の会場内の様子。中央が百瀬アキラ [拡大]

あだち充、高橋留美子から色紙をもらった際の裏話

「サンデー文化祭」にまつわるトークコーナーでは、会場内でも展示されていた連載開始前に描かれたコナンの初期設定画、第1話のロゴ、単行本の表紙のデザインについて、青山自らの口から語られていく。青山の“お宝品”として展示されていたあだち充からの色紙に関して、青山は「あだち先生にはマンガ家になったときにぜひ色紙をもらいたいと思って、小学館のパーティでお会いしたときに『大ファンなので、サインをいただけませんか?』と言ったら、あだち先生は『あん?』と。『おめえさんは俺の商売敵だからやらないよ』と断られてしまったんです(笑)。それからだいぶ経って、あだち先生の息子さんが『YAIBA』と『コナン』ファンだからサインをもらえませんか?と、編集部を通して連絡が来たので、『じゃあ!(交換しましょう)』という提案をしたんです(笑)」と説明。展示コーナーには1998年にもらった前述のあだちからの色紙に加え、2019年にもらったという高橋留美子からの色紙も並んでいた。青山は「留美子先生とは前から仲が良かったんですけど、色紙がほしいと言い出すきっかけがなくて。そんなとき、風の噂で留美子先生が灰原哀が好きだと聞いたので『じゃあ、灰原描きますから!』と提案をして……(笑)」と、あだち同様に自身が執筆したものと交換する形で色紙を手にしたエピソードを披露した。

青山剛昌があだち充、高橋留美子からもらったという色紙

青山剛昌があだち充、高橋留美子からもらったという色紙 [拡大]

ネームに悩む青山剛昌に、島本和彦「俺は敵だぞ?」

またトークの流れで、以前の小学館ビルに併設されていたカフェの話になると、青山は「打ち合わせとかでも使っていました。『4番サード』を描いている頃に、全然ネームが通らなくて。たまたま島本和彦先生とそのカフェで会ったときに、『こんな話を考えてるんですよ』と言ったら『俺は敵だぞ? そんなことを話していいのか?』と言われました(笑)」と、島本らしいリアクションが返ってきたエピソードも明かした。

来場者にプレゼントされた直筆の色紙

来場者にプレゼントされた直筆の色紙 [拡大]

そのほかにもイベント中には諸伏景光、萩原千速のキャラクターデザイン時のラフも公開され、客席からは悲鳴が上がる。貴重な資料の公開と制作の裏話に、観客は興奮する気持ちを抑えながら耳を傾けていた。

「サンデー文化祭」の1日目に寄せられた来場者からの手紙を読む青山剛昌

「サンデー文化祭」の1日目に寄せられた来場者からの手紙を読む青山剛昌 [拡大]

後半はトークショー恒例となったプレゼントコーナーを実施。青山直筆のサイン色紙、そしてイラストが執筆されたTシャツが、じゃんけんで勝ち残った2人に進呈された。また最後にはステージ上で青山がライブドローイングを披露。観客は青山が千速、コナンを描いていく姿を目に焼き付けるように見つめていた。

青山剛昌のライブドローイングの様子

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