2025年の総決算、秋田書店チャンピオン編集者たちの大忘年会!コミックシーモア営業担当も交え、本音と裏話が飛び交う夜

いよいよ年の瀬。今年も数々のメディア化作品を生み出し、SNSでも話題を集めた秋田書店のチャンピオンレーベルは、2025年の電子マンガ市場を振り返る中でも確かな存在感を放った。そこで今回は、コミックシーモアで2025年によく読まれたチャンピオン作品の編集者たちが都内の居酒屋に集結。コミックシーモアの営業担当も交え、忘年会という形でこの1年を振り返ってもらった。人気作品の裏側から編集現場の本音、販促の手応えまで話題は尽きず、会は4時間を超える盛り上がりに。お酒の力も相まって、普段は聞けない貴重なエピソードが次々と飛び出した。

取材・文 / 小林聖撮影 / 武田真和

コミックシーモアで今年よく読まれたチャンピオン作品トップ10

コミックシーモアで今年よく読まれたチャンピオン作品トップ10

1位 「片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~」

原作:佐賀崎しげる・鍋島テツヒロ、漫画:乍藤和樹
(ヤンチャンWeb掲載)

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2位 「魔入りました!入間くん」

西修
(週刊少年チャンピオン掲載)

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3位 「桃源暗鬼」

漆原侑来
(週刊少年チャンピオン掲載)

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4位 「サイコ×パスト 猟奇殺人潜入捜査」

本田真吾
(別冊少年チャンピオン掲載)

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5位 「閻魔の教室(話売り)」

田中優吏
(週刊少年チャンピオン掲載)

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6位 「悪役令嬢の兄に転生しました【電子単行本】」

原作:内河弘児、漫画:よしまつめつ、キャラクター原案:キャナリーヌ
(ヤンチャンWeb掲載)

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7位 「ババンババンバンバンパイア」

奥嶋ひろまさ
(別冊少年チャンピオン掲載)

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8位 「きみは四葉のクローバー」

こうし
(週刊少年チャンピオン掲載)

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9位 「弱虫ぺダル」

渡辺航
(週刊少年チャンピオン掲載)

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10位 「売れ残りの奴隷エルフを拾ったので、娘にすることにした【電子単行本】」

原作:遥透子、漫画:澤村明、キャラクター原案:松うに
(ヤンチャンWeb掲載)

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※集計期間:2025年1月1日~10月19日

忘年会の参加者はこの7人

週チャン ダーニャ

週刊少年チャンピオン編集者。「桃源暗鬼」担当。

週チャン K平

週刊少年チャンピオン編集者。「閻魔の教室」担当。

別チャン・RED 小口

別冊少年チャンピオン・チャンピオンRED編集長。「サイコ×パスト 猟奇殺人潜入捜査」担当、「ババンババンバンバンパイア」元担当。

別チャン サイトウ

別冊少年チャンピオン編集者。「ババンババンバンバンパイア」担当。

ヤンチャン S.T

ヤングチャンピオン編集者。「悪役令嬢の兄に転生しました」担当。

ヤンチャン かな

ヤングチャンピオン編集者。「売れ残りの奴隷エルフを拾ったので、娘にすることにした」担当。

シーモア ひろ

コミックシーモア営業担当。秋田書店作品の販売促進に携わる。

建て替えに伴うお引っ越し1年目の秋田書店はどうだった?

──今日はチャンピオンレーベル各誌の編集者さんにお集まりいただきましたが、編集部はそれぞれ別なんですか?

ヤンチャン かな 別ですね。

別チャン・RED 小口 別冊はもともと週チャン(週刊少年チャンピオン)編集部で作っていたものが独立した形なので、その名残で行き来は割とあるんですけど、編集部としては完全に別になってますね。

別チャン・RED 小口

別チャン・RED 小口

──じゃあ、こうして集まることはあまり?

週チャン K平 みんなで一緒にごはんをってことはあんまりないですね。

別チャン・RED 小口 個人間ではありますけどね。僕とダーニャくん、K平くんとかはね。

ヤンチャン S.T 私は今回初めましての人もいます。よろしくお願いします(笑)。

別チャン サイトウ よろしくお願いします。

手前からシーモア ひろ、週チャン K平、週チャン ダーニャ。

手前からシーモア ひろ、週チャン K平、週チャン ダーニャ。

手前からヤンチャン かな、ヤンチャン S.T、別チャン サイトウ。

手前からヤンチャン かな、ヤンチャン S.T、別チャン サイトウ。

──今回は忘年会という形ですが、今年の編集部、秋田書店はいかがでしたか?

週チャン ダーニャ 今年は社屋の建て替えで飯田橋から千石にオフィスが移ったのが大きな出来事ですかね。

──ああ、そうでしたね。昨年末に今までの社屋とお別れに。

週チャン ダーニャ 千石に来たら、飯田橋のときよりちょっとサラリーマンっぽい感じになりましたね。

週チャン K平 確かにオフィス感出ましたね。

ヤンチャン S.T それで言うと、全編集部ワンフロアになったから一体感が生まれましたね。

──編集部ってフロアが違うと全然顔を合わせなかったりしますもんね。

ヤンチャン S.T そうですね。千石に来て顔を合わせるようになったかも。

シーモア ひろ みんな同じウォーターサーバーに集まるように?(笑)

ヤンチャン S.T 1つしかないウォーターサーバーに(笑)。

別チャン・RED 小口 あと、広くなったんでね。打ち合わせとかもどこでもできる感じになった。仕事しやすくなったんじゃない?

週チャン ダーニャ しやすいっすね。環境はいい。

ヤンチャン S.T ヤンチャン的事件は、みんなで山登りに行く恒例イベントで当時の編集長が痛風になったことですね(笑)。私は行ってないので見ていないんですが、1人登れなかったと。

週チャン K平 山に登って、最後にみんなでお風呂に入るのが一大イベントなんですけど、ヤンチャン編集長は登れなかったので、みんなが山登ってる間ずっとお風呂入ってました(笑)。

──仲がいいんですねえ。

ヤンチャン S.T かなさんはみんなで謎解きゲームとか行ってたよね。

ヤンチャン かな はい。編集部の人たちと一緒に渋谷を練り歩く謎解きゲームに。1人の男性編集者はこの後打ち合わせがあると言って、早々に謎だけ解いて帰って行きました(笑)。

ヤンチャン S.T いいとこ取り(笑)。

作品のツボを突いたバナーを作ってくれる

──今日はコミックシーモアさんと一緒ですが、シーモアさんとの関わりや印象はどうですか?

別チャン・RED 小口 シーモアさんはいいイメージしかないよね。

シーモア ひろ 面と向かってだとそうとしか言えないですよね(笑)。

週チャン K平 いえ、本当に。率先していろんな企画や広告をたくさん打っていただいていて。僕、自分の担当作の「閻魔の教室」の広告をまとめてみたんですけど、バナーの種類が毎週打っても足りないくらいの量を作って掲出してくださっていたんです。ここまでやってもらえるのは出版社として本当にありがたいです。

シーモア ひろ バナーの量はやっぱり作品によって変わってくるので、それだけ多いのは「閻魔の教室」という作品の御力です。

──確かに「閻魔の教室」はバナーにハマりそうな作品ですよね。

シーモア ひろ プロモーションチームっていう専門のチームがあって、日々どういうものが今の読者さんに刺さるのかっていうのを研究しているんですね。そこのチームのメンバーが作品を拝読させていただいて、このコマを主軸にこういうふうなバナーを作りたいっていうのを考えています。「閻魔の教室」はバナー映えするシーンがいっぱいあって、それでたくさん作っちゃたんだと思います(笑)。

「閻魔の教室」のバナー

「閻魔の教室」のバナー

「閻魔の教室」のバナー

「閻魔の教室」のバナー

週チャン K平 作者の田中優吏先生もスマホを開いたら自分の作品の広告が流れてきたってすごく喜んでました。

週チャン ダーニャ 僕の担当作の「桃源暗鬼」もアニメ化絡みのタイミングで施策を打っていただいて。7月からアニメが放送されて、8月10日にサイン会があったんですが、その1日限定で全巻無料施策をやっていただいたんです。シーモアさんがこれをやってくれたおかげで、電子でも売れ行きが大爆発してくれた。本当にありがとうございます。

シーモア ひろ 旬の時期に大型施策を実施させていただけるというのは私たちにとってもすごいことなんです。「桃源暗鬼」の施策をやらせていただけるとなったときはみんなで「わー!」と喜びました。

ヤンチャン かな シーモアさんって作品の大事なところをすごくわかってくださっているんですよね。私の担当作の「売れ残りの奴隷エルフを拾ったので、娘にすることにした」は、リリィっていうちっちゃな女の子とその親になる魔法使いの話なんですけど、編集部でも「リリィのかわいさを出していきたいよね」って話していたんです。そう思っていたところに、シーモアさんが「尊い」をキーワードにした施策を打ってくれて。作品のツボをちゃんとわかってくれる感じがうれしいです。

シーモア ひろ ありがとうございます。今日はもうほくほくの気分で帰れます!(笑)

ヤンチャン S.T あと、個人的に電子黎明期みたいな時代からユーザーとしてシーモアを利用してるので、担当作品が広告に出てくるとすごくうれしいです(笑)。

週チャン ダーニャ シーモアさんってなんか買いやすいですよね。ブラウザからアクセスしやすいし。

ヤンチャン S.T わかる。遷移とかがすごくわかりやすくて、なんか気づいたら買わされてる(笑)。仕事中買ったりしますもん。

──それも仕事ですもんね(笑)。

話売りが雑誌のアンケートのような存在に

ヤンチャン S.T あと、シーモアさんのランキングはけっこう指標にしてます。作家さんもけっこう気にしてますし。入ってくるとすごく喜ばれる。

週チャン K平 ランキングも細分化されてるのがありがたいですね。1位の作品ってやっぱり読んでみたくなるじゃないですか。ジャンルが多いと1位になる作品も多くなる。読者としても作品に出会えるチャンスが多くなるし、編集部としてもいろんな作品にチャンスがもらえる。

──やっぱり皆さん電子での売れ行きって意識するんですか?

別チャン・RED 小口 めちゃくちゃ意識しますよ。逆にそれしか意識してないんじゃないですかね。

一同 (笑)。

別チャン・RED 小口 いや、本当に本当に。紙と電子の売上比率を見ても、電子のほうが紙を超えちゃってるんで。もちろん紙の書店さんもとても大事な存在です。でも、こうなるといかに電子で売れるものを作るかっていうのをまず考えないと生き残っていけない。

ヤンチャン S.T 電子書店さんは話売り(単話販売)もありますからね。単行本が出る前に話売りの初速が見られるので、単行本をどれくらい刷れるか、どれくらいの部数を見込めるかの指標になる。なんなら、話売りをはじめる前に電子書店さんから施策のオーダーが来るかどうかも指標の1つになってます。販売店さんからノーリアクションのまま話売りを始めるのはちょっと不安になる。最初に電子書店さんからのリアクションがあると最高で、次に話売りがうまくいくとさらに最高。私の場合、そのあとは電子の単行本が売れてくれるとうれしくて、紙の単行本は後からついてくるものと思ってます。

──紙の雑誌のアンケートみたいな感じですか。

ヤンチャン S.T 本当にそんな感じです。実際、月初めに話売りに出したものの反応が20日頃にはわかってくるので、もうその先の話作りの参考にしたりしますから。

週チャン K平 「閻魔の教室」もシーモアさんでの話売りで売上げが爆発したとき、雑誌のアンケートでも人気が一気に上がった。すごく連動していますね。

ヤンチャン S.T 紙の書店員さんも電子で何がきているかをなんとなく気にしている気がします。次にくる作品が何かというところを見ている。

シーモア ひろ 私たちも、作品をシーモアに先行配信としてお預けいただくってすごくありがたいことなので、しっかりと多くの読者様にお届けしなければと思っています。だから、シーモアで売れるだけじゃなくて、ほかの電子書店さんや紙でもたくさんの読者さんに読んでいただいてどんどん盛り上がっていってくれればと思っているところはあります。