「スキップとローファー」は、東京の進学校に首席入学した田舎の女子高生・岩倉美津未を軸に描かれる青春物語。2023年4月にTVアニメ化を果たし、第2期の制作も決まっている。そんな同作が、ミュージカルとして2026年3月6日から15日まで東京・シアターH、3月20日から22日まで大阪・梅田芸術劇場のシアター・ドラマシティで上演される。
今回コミックナタリーでは、原作者の高松美咲、岩倉美津未役の清水美依紗、志摩聡介役の吉高志音による座談会を実施。これまでマンガ、アニメとして展開されてきた「スキップとローファー」を、ミュージカルという新しい形で届けることになったことへの思いを語り合ってもらった。なお座談会の様子は前編をコミックナタリー、後編をステージナタリーでそれぞれ公開する。
取材・文 / 岸野恵加撮影 / ヨシダヤスシ
スタイリスト / 小谷雄太(清水美依紗)、MASAYA(吉高志音)
ヘアメイク / 伊藤こず恵
ミュージカル化は意外に感じる気持ちが大きかった(高松美咲)
──高松先生は以前からミュージカルがお好きだったそうですね。
高松美咲 叔母が宝塚ファンだったので、子供の頃は夏休みに会ったときなどに、彼女が持っている宝塚のDVDをたくさん観ていました。ここ数年だと「エリザベート」が好きで、一度だけ劇場に足を運びましたね。劇団四季の公演も少しずつ観に行っています。熱心な演劇ファン方に比べたら全然少なくて、年に3、4回観劇するくらいです。
吉高志音 それは立派なミュージカル好きですよ!
高松 ありがとうございます(笑)。ミュージカルは、気持ちを歌で表現しているところが好きです。マンガなどではセリフがサッと流れていくけど、ミュージカルは場の空気が音楽で変わるのが面白くて。ミュージカル映画も好きで、「ラ・ラ・ランド」など、いろいろ観ましたね。実は私、中高で合唱部だったんですよ。「Nコン」(日本最大規模の合唱コンクール)にも出ていました。
清水美依紗 えっ! 私も小学生の頃に合唱部で、「Nコン」も出ていましたよ。うれしいです!
吉高 いいなあ。えーと僕も……小学生の頃に公民館で合唱してたかな? ……引っ張り出してもエピソードがこれしかない(笑)。
──(笑)。「スキップとローファー」ミュージカル化のお話を聞いた際は、まずどう感じましたか?
高松 「えっ!?」と、意外に感じる気持ちが大きかったです。どうなるのか全然想像がつかなくて。でも「舞台ではライトが当たるので、制服の色味を原作より濃くします」など、制作の進捗をスタッフの方が細かく共有してくださるので、少しずつ実感が湧いてきました。今はとにかく楽しみな気持ちでいっぱいです。
清水 制服に関する投稿を見て「そんなふうに新鮮に受け止めてくれるんだ」と思いましたし、先生のXは見ていて親近感が湧きます。早くお会いしてみたいな……と思っていました。
吉高 今日が“はじめまして”ですが、お会いできるなんて考えもしなかったです。先生は作品の神様ですから!
──私もミュージカル化と聞いて最初は意外に感じたのですが、考えてみれば、アニメのオープニングでみつみと志摩くんがダンスをしていたり、作中で志摩くんが演技をしていたりと、リンクするところも少しありますよね。そういう部分には、先生のミュージカル好きという部分が反映されていたのでしょうか?
高松 アニメのオープニングに関しては、出合(小都美)監督から「2人を踊らせたい」とご提案をいただいたんですが、きっと私が「ラ・ラ・ランド」をオマージュした扉絵を描いていたり、作中に「サウンド・オブ・ミュージック」を登場させたりしていたこともあるのかなと。めちゃくちゃかわいい映像に仕上がっていてうれしかったですね。
清水 TVアニメのオープニングテーマ「メロウ」の歌詞の通り、本当にみつみちゃんと志摩くんが眩しくて、眩しくて……。
吉高 じっくり観たくなるオープニングですよね。サブスクでアニメを再生していても、絶対にスキップしないです。僕はカラオケでもよく「メロウ」を歌います!
高松 あのダンスシーンは、全カットをトレスせず手描きしているから、生っぽい動きになっているそうです。最初に振付動画をいただいたときは、もっとキレキレのダンスだったんですよ。「面白くなっちゃわないかな、大丈夫かな」と不安になって、「高校生らしい少し下手くらいのダンスでお願いします」とリクエストしました(笑)。
吉高 キレッキレなバージョンも観たかったですね(笑)。ミュージカルの振付を担当されるTETSUHARUさんはヒップホップも得意な方なので、「まさか、みつみちゃんと志摩くんが急にバキバキで踊ったりする?」と、今からドキドキしています。
清水 TETSUHARUさんはいろいろなジャンルの振付をされる方だから、たぶんゴリゴリなヒップホップはないんじゃないかな(笑)。
高松 兼近先輩が、めちゃくちゃ踊りながら登場しても面白くなりそうですね(笑)。
清水・吉高 確かに!(笑)
──ちなみに高松先生は作画中、音楽を聴きますか?
高松 映像を流しておくことが多くて、すでに観たことがある好きなドラマを主に流しています。初見の作品だと、つい視線を奪われて見入ってしまうので。推理ものはセリフですべてを説明してくれるのがちょうどよくて、逆にバトルものはあまり流さないようにしていますね。
みつみと重なる部分もあれば、まったく違うと感じる部分も(清水美依紗)
──清水さんと吉高さんは、出演のオファーを受けてまずどう感じましたか。
吉高 僕は以前から原作のファンだったんです。ぜひこれを見てほしいんですが……(スマホの待受画面を見せる)。
高松 あ、これは季節に合わせてアニメの公式Xで配布された壁紙ですね! 使ってくださっているんですか?
吉高 壁紙が配布されるたびに設定しています! 夏らしいイラストや、夕日のイラストも大好きでした。「スキップとローファー」を読むたび、心がリセットされるんです。大人になってから失ってしまったものに気づかせてくれた大切な作品で、出演が決まってうれしい気持ちと同時に、自分のオタクな部分が爆発しないか心配でした(笑)。「ここはこうしたいです!」と主張しすぎてしまったらどうしようと……。
清水 稽古が始まったら、爆発する可能性がある?(笑)
吉高 あるかも(笑)。でもいただいた台本を読んだら、僕が観たいと思っていたシーンがたくさん盛り込まれていたので、今は満たされた気持ちです。
清水 私はオファーをいただいてから原作を拝読したんですが、読み終わって「絶対にやりたいです!」と即答しました。吉高くんと同じく、大人になってから失ってしまったものに気づかせてくれる作品だと感じたし、高校時代の青春を思い出す瞬間もたくさんあって。10代ではなく20代の今の自分だからこそ、いろいろな解釈で作品と向き合える気がしました。
高松 うれしいです、ありがとうございます。おふたりの名前を聞いてからいろいろ調べさせていただいて、「キャラクターに合いそうだし、すごく素敵な方々だな」とワクワクしていました。今日初めてお会いしましたが、雰囲気がとてもよくて、おふたりがすごく仲良くなれそうな予感がします。
吉高 同い年だし、共通する部分がたくさんあるよね。グローバルなバックグラウンドを持っているところも似ているなと。僕は生まれてから6、7歳くらいまで中国に住んでいたんです。
──だんだんおふたりが、共通点が多い同級生のように見えてきました。
高松 同じクラスにいたら仲良くなれそうですね。
清水・吉高 なれそうです!
──みつみと志摩を演じるにあたって、それぞれキャラクターをどう捉えましたか?
清水 ひたすら、みつみちゃんのように真っ直ぐに向き合いたいと思いました。吉高くんはもちろん、これから一緒に稽古をしていくキャストのみんなや、スタッフの皆さんに対しても、一緒に作品を作っていく仲間として真っ直ぐに向き合いたいです。
──清水さん自身がみつみに重なる部分はありますか。
清水 うーん……重なる部分もあれば、まったく違うと感じる部分もありますね。田舎から上京してきて、自分の夢に向かって、真っ直ぐに自信を持って突き進む部分はすごく似ています。私は「歌で天下を獲るんだー!」と思って東京に出てきたので。逆に、人との向き合い方は少しみつみちゃんと違うかな。人と接して傷ついたときの感情の処理や自分との対話を、みつみちゃんはできているけど、自分はなかなかできない。そういった細かい部分で違いを感じます。
吉高 なるほど。僕は志摩くんのことを、最初はキラキラした王子様のような、THEパーフェクトな高校生だと思っていたので、「自分にできるかな」という不安もあったんです。彼の持つ寂しさや人間らしさを知ったうえで役に向き合うことで、志摩くんの本当の優しさをより出せる気がして。僕は母との関係など、家庭環境が少し志摩くんに似ているところがあるんです。子役として常に大人の目を気にしながら大きくなった志摩くんは、きっと普通の子供より大人っぽいんですよね。そこに高校生ならではの純粋さを交えつつ、繊細に、温かさが出るように表現したいです。あとは……それぞれ名前の漢字が共通しているよね。
清水 私は「美」、吉高くんは「志」が、キャラクターと同じなんだよね。
高松 わあ、本当ですね!
吉高 先生から見て、キャラクターと僕たちに重なる部分ってありますか? 自分ではなかなかわからなくて。
高松 私からすると、2人とも同じくらい眩しくて、作中の高校生たちと同じようにキラキラして見えますよ。これからおふたりが俳優としてどんどんステップアップしていかれる中で、この作品がひとつの力になれたらうれしいです。
吉高 ありがとうございます……!
──ちなみに皆さんはどんな学生時代を送っていましたか?
吉高 僕は山田っぽかったかもしれません。はしゃいだり、クールぶってカッコつけたり、変にリーダーシップを取ろうとしたり。面白いことは全然言えなかったけど、率先してボケに走っていました(笑)。姉がいて女の子と仲良くなりやすかったので、バレンタインはもらう側ではなく、自分でチョコを作って渡していました。
高松 かわいいですね! 私は誠寄りな子だったと思います。「大きい声を出すと嫌われそう」と思っているような文化部員で、リア充ではないけど、仲間内では楽しくやっているような学生生活でした。元は女子校だった高校に通っていたし、美大に進んでからも男子が少なかったので、男友達ができたのは大学生になってから。小中学生の頃はなんとなく男子に話しかけられない空気があったけど、大人になってから誰かの結婚式とかで再会すると「こんなにいいやつだったんだ」と気づくので、普通に男子とも友達になってみたかったですね。
清水 私は双子の兄がいて、小さい頃は兄にくっついて男友達と遊ぶことが多かったです。高校生の頃は歌手を目指して、カラオケの番組に出たり、イベントに出演したり、アマチュアで活動していました。とにかく目立ちたがり屋で(笑)。歌が自分の得意分野だったので、音楽科のある高校に入って声楽を学んで、音楽にあふれた生活を送っていました。夢に真っ直ぐなみつみちゃんと似ていたと思います。学級委員も務めていましたし。
吉高 僕も学級委員をやってました!
高松 すごい! 1年生のときのみつみ、志摩くんと一緒ですね。

