「みんなただいま！」赤い公園、クアトロで完全復活宣言

2013年5月6日 17:23 190 1 音楽ナタリー編集部

190

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

72 42
40 シェア

記事へのコメント（1件）

赤い公園が東名阪ライブツアー「今更帰ってきた!! 赤い公園!! ～タブーを犯したオンナたち～」の初日公演を、昨日5月5日に東京・渋谷CLUB QUATTROにて開催した。

「今更帰ってきた!! 赤い公園!! ～タブーを犯したオンナたち～」渋谷CLUB QUATTRO公演の様子。（撮影：古溪一道）

大きなサイズで見る（全6件）

「今更帰ってきた!! 赤い公園!! ～タブーを犯したオンナたち～」渋谷CLUB QUATTRO公演の様子。（撮影：古溪一道）

大きなサイズで見る（全6件）

「今更帰ってきた!! 赤い公園!! ～タブーを犯したオンナたち～」渋谷CLUB QUATTRO公演の様子。（撮影：古溪一道）

大きなサイズで見る（全6件）

津野米咲（G）の体調不良により、2012年10月から活動休止をしていた彼女たち。2部構成で行われたこの日のライブには、バンドの復活を見届けるべく大勢のオーディエンスが集結した。オープニングアクトの「中込」による脱力気味のパフォーマンスで会場がほどよい空気になったところで、定刻の19:00ぴったりに第1部がスタート。コミカルなSEに乗せてハンドクラップが起き、メンバーが順番にステージに現れるたびに拍手が起こる。特に津野の登場には大きな拍手と歓声が起き、会場は温かな空気で包まれた。

「ただいま！」と津野米咲（G, Piano, Cho）がうれしそうに第一声を発し、続けて「のぞき穴」を演奏し始めるとフロアが大きく揺れる。2曲目の「はてな」では佐藤千明（Vo, Key）の挑発的なボーカルと、藤本ひかり（B）、歌川菜穂（Dr, Cho）、津野によるスリリングなアンサンブルが一丸となって観客を圧倒していく。「ナンバーシックス」で津野が「ありがとー！」と叫ぶと、彼女の帰還を祝うように大歓声が起きた。

「皆さん来てくれてありがとう。こっからなんでよろしくお願いします」と佐藤が言い放ったあとは、それまでの激しいモードから一転してポップなモードにチェンジ。メロウなミディアムチューン「TOKYO HARBOR」、キュートであどけない歌声が魅力の「よなよな」などが届けられた。また楽曲の振り幅の広さが魅力の彼女たちらしく、ポップな楽曲のあとにはメンバー曰く「暗い曲」のオンパレードに。不気味なイントロから始まり、圧巻のアンサンブルと絶唱が絡む「塊」、ディストーションギターが印象的に響く「ずっと」などが披露された。「人生楽ありゃ、苦もあるさ」という「水戸黄門」の主題歌のワンフレーズから始まった「娘」では、咆哮のような佐藤のボーカルと、重く鋭いバンドサウンドが壮絶な空気を醸し出す。そして「とっておきの弾けるナンバーやろうか？」という佐藤の言葉から始まった「ランドリー」で、第1部は終盤戦へ。津野の繊細なキーボードと佐藤の情感たっぷりの歌声が溶け合った「何を言う」で第1部は終幕した。

第2部の準備の合間には、赤い公園を応援するさまざまな人たちからのコメント映像が上映された。THE★米騒動、The SALOVERS、ハナエ、ピエール中野（凛として時雨）というミュージシャン仲間たちのコメントが続いたあとに、佐藤の祖母が登場すると、温かな笑い声があちこちで起こる。さらに新曲「今更」のビデオクリップが本邦初公開され、第2部に向けてのオーディエンスのテンションを高めた。

インストゥルメンタルナンバー「公園」からスタートを切った第2部は、新旧の楽曲を織り交ぜたセットリストが展開。「急げ」ではメンバー全員が飛び跳ね、暴れ、観客を挑発するようにパフォーマンスを繰り広げる。また合間のMCでは津野が「謝らなきゃいけないことがあるんだ。10月に活動休止する前に3枚シングル出すって言ってたんだけど、休止して出せなくなっちゃって……」と謝罪。しんみりした言葉に観客は黙って聴き入るが、彼女が「その代わり、7月3日に復活盤出します！」「フルアルバムを絶賛制作中です」と叫ぶと歓喜の声が大きく響いた。

そこからは肩の力が抜けまくったスローチューン「つぶ」、AOR的なアレンジと4人の美しいコーラスが取り入れられた小田和正「さよならは言わない」のカバーと続く。フロアのいまいちな盛り上がりに「スペースあるからサークルモッシュやってって言ったのに！」「盛り上がりが足りないねー」と、メンバーから観客に叱咤が飛んだ「カウンター」を経て、本編最後のMCに。佐藤は「これからますます活動から目を離さぬようよろしくお願いします」と挨拶すると、「休止前は最後にお決まりの曲があったんですが、活動再開後はどうかな？」と意味深に語る。そして期待の目がステージに注がれる中で披露されたのは「ふやける」。4人は感慨深そうな表情を浮かべながら轟音を奏で、本編に幕を下ろした。

メンバーが去ると同時に大きな拍手が起こり、それはいつしかアンコールを求める小気味のいいハンドクラップへと変わる。ファンの思いに応えステージに再登場した4人だが「アンコールやるっても、もう曲がないよね」「“今更”やる曲ないよー」「“今更”ねー。できないよねえ」と口々に前振り。そんなトークを断ち切るように歌川のドラムが鳴り始め「今更」が始まる。ダンサブルでグルーヴィなサウンドに合わせて観客は手を振り、体を揺らし全身で新曲を味わい尽くす。最後に佐藤は満面の笑みで「ありがとーう！」と叫び、バンドの完全復活をオーディエンスに印象付けた。

なお赤い公園はこのあと、「今更帰ってきた!! 赤い公園!! ～タブーを犯したオンナたち～」の名古屋と大阪公演を実施。東京公演とは異なる内容になるので、足を運ぶファンは楽しみにしておこう。また、MCで発表された赤い公園のニューシングルには、ライブで披露された「今更」「さよならは言わない」のほか新曲「交信」が収録される。「今更」「さよならは言わない」については5月20日まで全国主要レコード店にて先行試聴が行われている。