一番手の田我流はバックDJを務めるYOUNG-G(Stillichimiya)とともにステージに登場。序盤から次々と畳み掛けるように楽曲を繰り出し、「今日はすごいレベルミュージックな発言バンバンするから。清志郎さんがいない今、最近のミュージシャンは生ぬるいからね」と会場を煽った。SOUL SCREAM「蜂と蝶」のトラックに乗せて披露された「BACK IN DA DAY」などを経て、Big Ben、MMM、Mr.麿といったStillichimiyaの仲間たちも続々と登場。5人全員揃っての「やべ~勢いですげー盛り上がる」ではそれぞれがステージ上を所狭しと暴れ回りながらハイテンションなマイクリレーを繰り広げた。
Stillichimiyaの面々がステージを去り、コミカルな寸劇を交えながらの「ラーメン」で会場を笑わせた後は、雰囲気が一転して序盤で宣言したようなレベルミュージック的な展開に。前・東京都知事の石原慎太郎や大阪市長の橋下徹など政治家に痛烈なDISを飛ばして「みんなを代弁してこういうことをもっと言わなきゃいけない。それが街の詩人、俺たちラッパーだと思うからさ」と語り、「Straight outta 138」で原発問題や風営法への怒りをぶちまけた。
続けて田我流は、緊張感に満ちた薄暗いステージの上で「ロンリー」「RESURRECTION」をシリアスに熱唱。その後、長い夜を抜けて明るい太陽が昇るように「JUST」「Saudade」「あの鐘を鳴らすのは、、俺」が披露され、流れを感じさせるこの一連のパフォーマンスに会場は感動的なムードで包まれた。EVISBEATS feat. 田我流の楽曲「ゆれる」では、笑顔で満ちた会場の空気に向けて「ステージの光が希望の光に見えてくるぜ!」とシャウト。山下達郎の「蒼氓」をアカペラでワンフレーズ歌った後「夜に唄えば」をしっとり歌い上げ、「最後に一言、FUCK POLITICS!」と叫んでステージを去った。
七尾旅人のライブは、ディズニー映画「ピノキオ」の主題歌に自ら日本語詞を付けた「星に願いを」からスタート。直前のステージで田我流が「号泣しちゃった」と語った楽曲「圏内の歌」や、打ち込みトラックにのせてハンドマイクで歌う「サーカスナイト」で、観客を自分の世界へと一気に引き込んでいく。その後、以前までのライブでは頻繁に演奏されていたものの東日本大震災以来気分が乗らず封印していたという「airplane」「シャッター商店街のマイルスデイビス」を披露。「airplane」については「戦闘機に乗って戦地へ向かう人の歌」と説明し、実際に沖縄・高江で見た戦闘機が、どうすればより多くの人を殺せるかだけを考えたデザインだったこと、だけど乗っているのは悪い人ではなかったという話をした。
また、この日のイベントタイトルが「ABRACADABRA」だったことにちなんで、旅人は最新アルバム「リトルメロディ」から「アブラカタブラ」を演奏。「この曲はU-zhaanと一緒にやるために作った曲だから、U-zhaanがいないとおかしなことになるんだけどね」と言いつつ、自分の声をリアルタイムでサンプリングしてビートを作り、原曲でU-zhaanが担当しているタブラ&ボルを再現していた。電気グルーヴ「虹」の弾き語りカバーを経て、次に彼が歌ったのは童謡「赤とんぼ」。この曲は、ZAZEN BOYSが東日本大震災の義援金募集サイト・DIY HEARTSで配信リリースするために昨年カバーしたのを聴いて興味を持ったとのことで、旅人は「おばあちゃんとおじいちゃんに一番好きな曲を聴いたら、どちらも『赤とんぼ』と答えたんだ。だからこの曲は真のフロアアンセムだ。宇宙がフロアだとしたら」とこの曲の素晴らしさを説いた。
ラストに旅人は「Rollin' Rollin'」を歌うために、このイベントでDJとして会場を温めた
なおこのイベントでは、WWWと音楽動画サイトDAXの共同企画によるGoogle+をプラットフォームとして取り組むプロジェクトの一環として、YouTube Liveでのライブの生配信も実施。来場者のみならずさまざまな場所にいる人々が七尾旅人と田我流のパフォーマンスをリアルタイムで目撃した。
リンク
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- 田我流 | Mary Joy Recordings
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音楽ナタリー @natalie_mu
七尾旅人×田我流ツーマン、貴重なコラボで会場大盛り上がり http://t.co/pTxWiDc1