7月31日にさいたまスーパーアリーナで開催された「SID Summer Festa 2010~SAITAMA SUPER LIVE~」で発表され、大きな注目を集めていた今回のドーム公演。当日の会場には全国各地から約4万人のファンが集まり、夢の大舞台に立つ4人を見守った。
定刻の18:00ちょうどに場内が暗転し、巨大ビジョンには荒野を歩く4人の足元が映し出される。「みんなと一緒に歩いてきた そして、これからも」といったメッセージを4万人が見つめる中、メンバー4人がステージに登場。大歓声に迎えられながら1曲目「紫陽花」を奏で始めた。ステージ周囲には色鮮やかな紫陽花の絵が広がり、マオ(Vo)はアリーナをまっすぐに見据えながら美しく情熱的な歌声を響かせる。続いて「アリバイ」の華やかなイントロが鳴り響き、マオの「東京ドーム!」という叫び声で会場の空気は一変した。
Shinji(G)と明希(B)はアリーナ中央に伸びる2本の花道に飛び出し、オーディエンスを煽る。そしてShinjiが軽やかにギターイントロを奏で、会場中から手拍子が響いた「Dear Tokyo」。マオは大合唱を繰り返すファンに向けて「Dear 東京ドーム! お前ら会いたかったぞ!」と叫び、喜びをあらわにしていた。
「ついに来ちゃったね、東京ドーム。みなさんお元気でした? 会いたかった?」というマオの挨拶に続いては、9月にリリースされたシングル「cosmetic」。ビジョンに映るファンタジックな映像に官能的なメロディと4人のアンサンブルが重なり、ポップでアッパーな序盤とは異なる雰囲気を漂わせる。「モノクロのキス」「誘感コレクション」では無数のレーザー光線がドーム内を飛び交い、ゆうや(Dr)の叩き出す複雑なリズムとの見事なシンクロで観客を楽しませた。
中盤のMCではマオが「初の会場ということで、メンバーのみなさんからも一言ずつ……」と、他の3人に挨拶を促す。明希はオーディエンスに向けて「東京ドーム!」と叫び「あー、やっと言えた。10年ぐらい前から言いたかったんだよね(笑)。集まってくれたみんな、心からありがとう。最高のライブ作ろうな!」と元気よく語る。ゆうやはこの日会場入りしてからの、マオとのはしゃぎっぷりの一部始終を語った後で「こんなふざけた野郎が東京ドームでライブをするなんて……みなさんも夢があったら諦めちゃダメです。意外と叶います(笑)」と、冗談半分にドームライブ実現の喜びを現した。Shinjiは額の汗をぬぐいながら「こんばんは、ハンカチ王子です」と日本ハム・斎藤佑樹選手を意識した挨拶をするが、ゆうやからすかさず「Shinjiさん、球団が違います! リーグも違います!(笑)」と突っ込まれていた。
そしてマオは「次の曲は新曲を。まだ世に出てない曲です」と語る。自身の弟へ贈るウエディングソングとして作詞したという新曲「2月」は、リズムギターが心地良いグルーヴを生み出す温かみのあるラブソング。今までのシドのラブソングとはまた異なる雰囲気を感じさせた。「日傘」「合鍵」に続いては、「SID NEWS NETWORK」と銘打った外国のニュース番組風の映像を上映。メンバープロデュースのグッズをコミカルに紹介した内容に、場内からは大きな笑い声が起こった。
ここでメンバー4人は、それぞれのセンスが反映された新たな衣装に着替えてステージに再登場。ライブはいよいよ後半戦に突入していく。茜色の映像をバックに披露された「嘘」ではShinjiが哀愁漂うギターソロを聴かせ、会場を酔わせた。さらに「まだまだ行けるだろうな!」というマオの煽りに続いては、最新シングル「乱舞のメロディ」。レーザー光線が曲のタイトルどおりにドーム内を乱舞し、鮮やかな世界を作り上げる。「夏恋」では「打ち上がる花火をよそ目に」の歌詞に合わせて本物の花火がステージ両翼から打ち上がり、オーディエンスを驚かせた。
「ラスト行くぞ東京!」とマオが叫び、いよいよ本編ラストの「one way」へ。疾走感あふれるメロディとバンドサウンドはドーム中のテンションをさらに引き上げ、Shinjiと明希は猛スピードで花道を走りまわる。初のドームライブにふさわしい楽曲で、本編が締めくくられた。
アンコールを求める声がドームに響く中、巨大ビジョンに表れた文字は「金曜シンジショー」。待ってました、と言わんばかりの拍手と歓声の中、続いて「引退」「最終回~Shinjiは永久に不滅です~」という文字が現れると、今度は悲鳴が響き渡る。「やめないで!」という声が飛ぶ中、せり上がりでステージに登場したShinjiのTシャツは「永遠」。「ドームでファイナルを迎えられて光栄です」と語り、シンジショー最後の楽曲「僕と友人と敗北感」を奏で始めた。中学生のときにバンドを始め、X JAPANの「紅」が叩きたくてドラマー志望だったものの「弦が多くて難しそう」なギターをやらされたこと、やっと1曲弾けるようになったころ友人に「お前まだバンドとかやってんの」と言われ「いつか見返してやる!」と誓ったこと、初めて観に行ったライブが氷室京介の東京ドーム公演で「俺も絶対にドームのステージに立ってやる」と夢見たことなどをしっとりと語るShinji。最後は「そんな私がドームのステージに立っております。これもみなさまのおかげと存じます」と、夢を叶えた喜びとファンへの感謝を述べ、感動的な拍手に包まれてステージから姿を消していった。
その後ステージ両翼から2台のカートが現れ、メンバーを乗せてアリーナ後方のサブステージへと向かう。サンタクロースの衣装を着たマオはステージに上がると「メリークリスマス! ここでクリスマスプレゼントとして、アコースティックなライブを」と告げ、観客を喜ばせる。このコーナーでは「マスカラ」「星の都」とインディーズ時代の名曲を柔らかなアレンジで披露。クリスマスにぴったりのロマンチックなひとときをファンにプレゼントした。
「アンコール、まだこんなもんじゃねえだろ!」とマオが叫び、ライブはエンディングに向けて加速度を上げていく。華やかなサウンドが場内に多幸感をもたらした「smile」、続くゆうやのドラムイントロで早くも大歓声が起こった「循環」。この曲ではマオが「メンバー紹介、用意してなかったけどひさびさにやりましょうか?」と3人に呼び掛け、おなじみのメンバー紹介を展開。Shinjiは「太田胃酸体操やろうか!」と叫び、4万人とともに「太田胃酸コール」を繰り広げた。
「エール」「眩暈」と続いたアンコールもついに最後の曲へ。その前にマオは「本当は昨日、すごく怖くて眠れなかった。ドームでライブをやってるような人たちと自分は違うんじゃないかって、自分を小さく感じて。なんでそんな自分がここに立てているのかって言うと、この3人のおかげです。そしてもちろんお前らのおかげでもあるんだよ!」と、Shinji、明希、ゆうや、そしてドーム中のファンを見まわして語り、涙を見せる。他の3人も涙をこらえるような表情で彼の言葉に聴き入っていた。ラストを飾った曲は「光」。マオは「守りたいものが増えるほど 強くなる 教えてくれたね」と、3人を見まわしながら心を込めて歌い上げた。
約3時間半にわたるライブが終わった後も、4人は名残惜しそうに花道やステージからファンへの挨拶を続ける。最後にひとり残ったマオは唇に指を当て、静まり返ったドームに向けて生声で「愛してます!」と叫び、会場中から大きな拍手を浴びた。そしてライブの終演後にはニューアルバム「dead stock」やライブDVDのリリース、全国ツアーなどが続々と発表され、ファンに新たな喜びをもたらした。
このライブの映像は、12月18日(土)にTBS系列で放送の「CDTV」ライブインフォメーションコーナーで初披露される。2011年3月16日リリースのライブDVD「SIDNAD Vol.6 ~LIVE 2010~」には7月のさいたまスーパーアリーナの映像とともに収録されるので、こちらも楽しみにしておこう。
YEAR END CLIMAX 2010 ~全てのシドへ~
2010年12月11日 東京ドーム セットリスト
01. 紫陽花
02. アリバイ
03. Dear Tokyo
04. cosmetic
05. モノクロのキス
06. 誘感コレクション
07. レイン
08. 2月
09. 日傘
10. 合鍵
11. 嘘
12. chapter 1
13. 乱舞のメロディ
14. 夏恋
15. ドラマ
16. one way
EN-01. 金曜シンジショー「僕と友人と敗北感」
EN-02. マスカラ
EN-03. 星の都
EN-04. smile
EN-05. 循環
EN-06. エール
EN-07. 眩暈
EN-08. 光
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[書籍] 2011年2月23日発売 / ソニー・マガジンズ
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どらけけ @dorakekeken
シド東京ドームライブに4万人集結、愛と感動の3時間半 https://t.co/pvm1aP0r4B
シドの初東京ドームライブ、「妄想日記」も「吉開学17歳(無職)」も無くて、完全に置きにいったセトリで何度見ても笑う