2025年10月4、5日に福島・EN RESORT Grandecoにて開催された野外イベント「風とロック芋煮会2025」のダイジェスト特別番組が、1月25日にCS・ホームドラマチャンネルにて90分にわたって放送される。初登場となった甲本ヒロト、氣志團、ガガガSP、私立恵比寿中学から、常連組の怒髪天、THE BACK HORN、四星球、メガネツインズ(高橋優&亀田誠治)、岡崎体育、打首獄門同好会、成瀬瑛美まで、多種多様なアーティストが一堂に介した昨年の「風とロック芋煮会」。本番組は「福島にある、ここにしかない奇祭」を標榜するロックフェスの“奇祭”たるゆえんを垣間見ることができる、貴重な映像が満載だ。
参加したことのある人はもちろん、未体験の人や「風とロック芋煮会」を初めて知る人は、この機会にぜひオンエアでその片鱗を味わってみてほしい。この記事では、「風とロック芋煮会」の概要や特徴とともに、番組の見どころについて解説する。
文 / ナカニシキュウ
番組情報
風とロック芋煮会2025 IMONY IANRYOKO“KITASHIOBARAMURA” ホームドラマチャンネル特別版
2026年1月25日(日)19:00~20:30
<出演者>
四星球 / THE BACK HORN / 玉井詩織 / メガネツインズ / 打首獄門同好会 / 氣志團 / 甲本ヒロト / 成瀬瑛美 / TOSHI-LOW / LOW IQ 01 / 熊木杏里 / 奈良美智 / 高橋優 / 亀田誠治 / 怒髪天 / 私立恵比寿中学 / ドゥック・フック / ゴー・ラン・フォン / ガガガSP / 岡崎体育 / 藤井敬之 / スネオヘアー / Mummy-D / 渡辺俊美 / 箭内道彦
ロックフェス×東北の伝統行事・芋煮会
「風とロック芋煮会」は、福島県郡山市出身のクリエイティブディレクター・箭内道彦が手がける“村祭り型ロック・フェスティバル”。2009年に開かれた「207万人の天才。風とロックFES 福島」の流れを汲み、2010年からは「風とロック芋煮会」の名を冠して開催され、以来、福島県内で秋に催される地域密着型のイベントとして定着している。
音楽ライブのみならず、その名の通り東北地方の伝統行事である芋煮会の要素も内包する本イベント。参加者には巨大な寸胴鍋にたっぷりと煮込まれた芋煮が無料で振る舞われ、代金の代わりに募金を募って被災地への義援金にあてるという、チャリティイベントとしての側面を有するのも大きな特徴の1つだ。チケット収益の一部も各地の復興支援にあてられている。
また、ラジオ体操やキャンプファイヤー、肝試し、大喜利大会、観客のリクエスト曲に弾き語りで応える“歌本ナイト”など、一般的な音楽フェスではなかなかお目にかかれない光景が次々に繰り広げられるのも本イベントならでは。四星球のお家芸である大縄跳びなどをはじめ、演者が客席でパフォーマンスを行うことも珍しくない。さらにはアーティストがフードエリアを普通にウロウロしている姿も見られるなど、かつて増子直純(怒髪天)が語った「ミュージシャンと観客の距離が、世界で一番近いイベント。いや食い込んでる(笑)」という言葉に象徴されるように、そのアットホームでフレンドリーな肩肘張らないムードは、まさに“村祭り”そのものだ。
実行委員長の箭内は、こうしたイベントのあり方について「お客さんが具、出演者が味噌、会場がひとつの大きな鍋」という比喩で表現する。観客と演者の垣根をできる限り取り払い、同じ鍋で一緒に煮込まれることによって味わいと楽しみが増すようなイベント作りを志向しているという。「福島県にこんな楽しい1日があるんだよと知ってもらって、それを県民が胸を張って自慢できる、そんな機会になったらいい」との思いがその根底に宿っている。
今回のテーマは“慰安旅行”
2025年に15周年を迎えた「風とロック芋煮会」は、初回開催地と同じ北塩原村を舞台に10月4、5日の2日間にわたって開催された。今回のテーマとして掲げられたのは「IMONY IANRYOKO」、すなわち“慰安旅行”。日頃の喧騒から離れ、過ごしやすい秋の高原でゆっくりと心の疲れを癒してほしいという意図が込められている。
冒頭で触れた通り、オンエアではこの2日間の模様を90分に凝縮。出演アーティスト陣の演奏シーンをたっぷり楽しめるのはもちろん、ドキュメンタリー調にまとめられたナレーションベースの映像が挟まれることで、この“奇祭”のユニークな魅力が強調される構成だ。箭内や出演者たちへのインタビュー、各種催しの紹介映像なども含まれ、本イベントならではの独特な空気感の一端をしっかりと味わえる番組となっている。
驚異的な存在感を示した甲本ヒロト
中でも最大の見どころは、番組最終盤の甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)出演シーンだ──と断言しても、おそらく異論はさほど上がらないだろう。箭内が出演を熱望してきたロックレジェンドの初出演は、「風とロックなセッション」と銘打たれたスペシャルセッションの締めくくりとして実現した。
亀田誠治(B)、上原子友康(G / 怒髪天)、RONZI(Dr / BRAHMAN)がハウスバンドを担った同セッションは、さまざまな出演アーティストが代わる代わるボーカルを務める形で進行。増子と高橋優による「キスしてほしい」、山田将司(THE BACK HORN)と玉井詩織(ももいろクローバーZ)による「リンダリンダ」、綾小路翔(氣志團)とTOSHI-LOW(BRAHMAN、OAU)に奈良美智も加わっての「青空」と、THE BLUE HEARTSの代表的な楽曲群が次々に歌われ、即席バンドならではのガレージ感あふれる無骨で直情的なアンサンブルも相まって、そぼ降る雨を蒸発させんばかりの勢いで会場の熱気を跳ねあげた。
そうして温まりきった観客の前に満を持して姿を現した甲本は、パンキッシュなギターサウンドにアレンジされたはっぴいえんど「風をあつめて」を熱唱。持ち前の暴れ馬のようなアグレッシブなパフォーマンスで聴衆を魅了し、かつ圧倒した。ラストにオールキャストで歌われた「風とロックの主題歌」も含め、おそらく大多数の音楽ファンが「映像だけでも体験しておく価値がある」と感じるであろう熱狂のステージが、番組には余すところなく収められている。
西田敏行追悼企画も
今回の「風とロック芋煮会」では、2024年10月に惜しくもこの世を去った福島県郡山市出身の俳優・西田敏行の追悼企画も行われた。番組では、熊木杏里によるピアノ伴奏で西田の代表曲「もしもピアノが弾けたなら」を会場中が大合唱する模様が紹介されている。
これに加え、郡山市が9月に開催した展覧会「郡山市名誉市民 西田敏行展『愛してるぞ~い!』」の様子や、宮藤官九郎と箭内が西田の功績について語り合ったトークショーなどの模様も。さらに、2011年の「LIVE福島 風とロックSUPER野馬追」に出演した際の西田の映像もちらりと確認することができる。
氣志團、私立恵比寿中学が初出演
「芋煮会」初出演を果たした氣志團、ガガガSP、私立恵比寿中学の熱いステージも見逃せない。いずれもこれまで出演していなかったことが不思議に思えるほど、本フェスとの高い親和性を存分に見せつけている。中でも、綾小路が「芋煮会」への強い思い入れを語ったMCシーンは要注目だ。また、えびちゅうに関してはステージにおける気迫のこもった歌とダンスのみならず、「イモニー大喜利」で果敢に解答する仲村悠菜と中山莉子の勇姿も収められている。
もちろん、先にも触れた怒髪天やTHE BACK HORN、四星球、メガネツインズ(高橋優&亀田誠治)をはじめ、岡崎体育、打首獄門同好会、成瀬瑛美といった常連組アーティストの熱演をたっぷり楽しめるのも言うまでもない。特に昨年デビュー15周年を迎え、「芋煮会」とは“同期”ともいえる高橋が、箭内との特別な絆を語るシーンは必見だ。
2年連続2度目の出演となったももクロ玉井は、客席と盛大なコール&レスポンスを繰り広げた「君に100個言いたいことがあんだ」などの元気いっぱいなステージパフォーマンスから、前述したセッションや大喜利に至るまで八面六臂の活躍ぶり。タマノフ(玉井ファンの呼称)にとってはチェックが不可欠な番組となっている。
「風とロック芋煮会2025 IMONY IANRYOKO “KITASHIOBARAMURA” ホームドラマチャンネル特別版」は、1月25日19:00よりCS・ホームドラマチャンネルで放送される。CS放送の視聴方法は公式サイトなどで確認を。

