田村ゆかりインタビュー|8年ぶりアニメソングは重厚なバラード

田村ゆかりの2026年はニューシングル「カメリア」のリリースとともに幕を開けた。田村が一般流通のシングルを発表するのは2018年8月発売の「永遠のひとつ」以来。表題曲「カメリア」は現在TBS系列で放送中のテレビアニメ「エリスの聖杯」のエンディングテーマに採用されており、田村がアニメのテーマソングを歌うのも「永遠のひとつ」以来となる(参照:田村ゆかり「永遠のひとつ」インタビュー)。

2025年の年の瀬、音楽ナタリーは田村にインタビュー。ニューシングルの話題を中心に、昨年行われた2つのツアーに関するエピソードや2026年の展望について話を聞いた。

取材・文 / 臼杵成晃

ゆかりん作品では珍しいお任せスタイルで

──田村さんがCDシングルをリリースすること自体ひさしぶりですし、アニメのタイアップ曲となると2018年の「永遠のひとつ」(テレビアニメ「ISLAND」オープニングテーマ)以来ですね。楽曲制作はどのように?

いつもだとコンペの楽曲選びから関わってるんですけど、今回は完全にディレクターにお任せになってたんですよ。私はある意味、歌っているだけというか(笑)。

──珍しいですね。今回は歌手に徹する形で。

そうですね。自分の作品としてはあまりないです。

──作詞作曲は近年の田村さん作品を数多く手がけているサクマリョウ&川島亮祐コンビですけど、その人選も田村さんではなくスタッフさんから?

そこは話して決めました。

田村ゆかり

──サクマさんと川島さんはもはや「田村ゆかりの音楽」は完全に熟知しているでしょうけど、「田村ゆかりのアニソン」を作るのは初なので、さぞかしプレッシャーがあったのではないかと。歌詞の内容や楽曲のテイストなども、基本はお二人やディレクターにお任せで?

はい。「私が気に入らなかったらどうします?」とディレクターにはお話ししましたけど(笑)、すごくいい曲を作ってくださったし、アニメチームも大絶賛だったようで。

──ちなみに川島さんとサクマさんからは、「カメリア」についてこんなコメントをいただいています。

「エリスの聖杯」のEDテーマとしてお話をいただき、作詞にあたっては、まず原作を読み込むところから制作を始めました。作品の世界観と、田村ゆかりさんがアーティストとして持つ世界観とが重なり、結びつく言葉を探しながら書いていくことを大切にしました。愛とはある種の呪いであり、存在を縛る因果にもなり得る。そんな重たい言葉たちも、ゆかりさんの歌声を伴えば、不思議なほど美しく心に届いてきます。そんな歌声と作品世界が重なり生まれた「カメリア」という美しい呪いが、聴く人の中でいつまでも消えずに残ることを願っています(川島亮祐)

世界観を最優先に、「エリスの聖杯」が持つ静かな緊張感と運命の重さを音楽でどう支えるかを意識して制作しました。重心の低いサウンドスケープの中で、物語の主人公二人の関係性を思い描き、音が掛け合うように呼応するフレーズ構成も取り入れています。田村ゆかりさんの歌声が物語の核心にそっと寄り添い、エンディングとして深い余韻を残す一曲になりました(サクマリョウ)

そうだったんですね! おかげでとても素敵な曲になったのでうれしいです。

「こういう曲も歌うんだ」と広く知ってもらうきっかけに

──最初にデモを聴いたときは、どんな印象を持ちましたか?

どうだっけ……覚えてない(笑)。というのも、この曲に取りかかったのはけっこう前で、「Felice」と同時進行だったんですよ。「Felice」は9曲入りだけど、10曲入りのアルバムを作っているような感覚で。

──「エリスの聖杯」のシリアスな世界観に沿っているというのもありますが、ずっしりとくるバラードで。昨夏のミニアルバム「Felice」(参照:田村ゆかり「Felice」インタビュー)など最近の田村作品は明るくポップな印象が強かったので、このディープな感じもひさびさだなと。それがシングルのA面というのもあまりないパターンで。

そうですね。私のお客さんが望んでいるのはもっと派手な明るい曲だろうとは思いますけど(笑)。こういう曲でシングルというのもなかなか出せないから、いい機会をもらったなって。

──アルバムの中の1曲として収められたドスンと重い曲はファン人気も高かったりしますよね。

うちのラジオのCMでほんの少し流れるのを聴いて「ひさびさに重たい曲でよかった」と言ってる方もいるにはいますね。でもだいたいこういう曲は「何度も聴いてるうちに好きになってきた。スルメ曲だ」とか言われるんですよ(笑)。シングルだとやっぱり“パブリックゆかりん”な、明るい曲を期待されがちですけど、「こういう曲も歌うんだ」と広く知ってもらううえでは、バラード曲をシングルで出すのも意味があるなと思いますね。