NICO Touches the Walls初武道館ライブで新境地を提示
2010年3月15日 10:53 18
アンコールで発表された全国ツアーは5月中旬から6月中旬にかけて7都市で実施。これまでワンマンライブを行ったことのない地域で行われる。詳細スケジュールはオフィシャルサイトで確認しよう。
光村龍哉(Vo,G)
古村大介(G)
坂倉心悟(B)
対馬祥太郎(Dr)
NICO Touches the Wallsの全国ツアー「NICO Touches the Walls TOUR2009~2010『& Auroras』」の追加公演が、3月12日に日本武道館で開催された。
2004年に結成された彼らにとって、この日のライブはバンド史上初の武道館公演。ステージ上では晴れ舞台にふさわしい集大成的なセットリスト、サプライズに満ちた演出、初々しさとたくましさを内包したパフォーマンスが展開され、全国から集まったファンを魅了した。
定刻を過ぎると客電が落ち、巨大なLEDスクリーンにメンバー4人がステージに向かう姿がゆっくりと映し出される。スクリーンの映像と並行して4人の姿がステージに現れると、大きな歓声が沸き起こり、ライブはドラマチックな形で幕を開けた。興奮と期待が渦巻く中、1曲目として鳴らされたのは「そのTAXI,160km/h」。切り裂くようなギターを響かせる古村大介(G)の横で絶唱する光村龍哉(Vo,G)。強靱なリズムを刻む坂倉心悟(B)と対馬祥太郎(Dr)。4人が繰り出す音が一丸となり、オーディエンスの耳を突き刺していく。
激しいナンバーで観客の心をつかむと「ビッグフット」「(My Sweet)Eden」と大舞台に映えるスケール感のある楽曲が続けられ、会場に爽やかな風が吹き込まれた。光村が「デカイぜ、武道館!」と会場の大きさを確かめるように呼びかけると、観客も歓声で応える。続けて「僕の人生初の武道館は聖子ちゃんでした。そのステージに今立っているのかと思うと感無量です」と口にすると、4人に向けてあたたかな拍手が贈られた。
熱いMCに続いた「バニーガールとダニーボーイ」では、光村は歌詞の一部を「武道館」に変えて歌い、さらにこの日初めてのコール&レスポンスで会場をひとつにまとめる。エネルギッシュな楽曲で会場の空気があたたまったところで、奏でられたのは春に似合う「April」。情感たっぷりの演奏と桜色のライトが溶け合い、武道館をしっとりとした空気に変えた。
ここまでは照明を中心にしたシンプルな演出だったが、中盤以降はアリーナ会場でしか実現できない特別演出が次々と展開。「プレイヤ」ではスクリーンを彩った花々がサウンドの幽玄な色合いを強め、「Lonesome Ghost」ではスリリングな楽曲にあわせて高層ビル、地下駐車場など無機質な情景がフラッシュバックし観客の視線を釘付けにする。エフェクターを駆使したサイケデリックなギターが耳を突き刺す「錆びてきた」のクライマックス、豪気なアレンジが光る「風人」の2曲では火炎が舞い、4人のアグレッシブなプレイとともに観客を驚かせた。
予想外の演出に会場がざわめく中、再びMCが始まる。光村は「聖地という場所だからか、なんでも気持ちいいです。緊張で声が上ずっても気持ちいいです」と武道館に立っている喜びを隠せない様子を見せた。そのまま話はツアー中のエピソードに流れ、古村はツアーバスがゲーム類で埋め尽くされていたことや、ホテルで同室になった対馬のゲーマーっぷりを暴露。坂倉は焼津のパーキングエリアの寿司屋で美味しい寿司を食べたことなど、ほのぼのとした話に終始。光村はツアー中盤の千葉LOOK公演で会場前にトイレに行きそびれ、終演後まで約3時間にわたりもよおしていたことを告白。さらに「トイレには気を付けて!」と喚起するなど、初武道館のMCとは思えない等身大すぎるトークで和ませた。
後半は、野間康介(Key)のやわらかな鍵盤と光村のボーカルが重なり合う「Aurora Prelude」からスタート。美しいオーロラがスクリーンを彩る中、光村の優しい歌声が全方位に広がる。みずみずしい音像を聴かせる「ホログラム」「芽」へとつなげられると、会場の空気はさらに熱気を帯びていった。観客の興奮を煽るように繰り出されたのは、スピード勝負の「GANIMATA GIRL」と「THE BUNGY」の2曲。普段よりBPMを速めた「THE BUNGY」では、古村が爪弾くブルージーなギターが冴えわたり高揚感を倍増させた。そして「Broken Youth」を全力で演奏し終えると、光村は「大好きなビートルズがライブをした武道館でライブをできたことを一生誇りに思います。これからもがんばっていくので、4人を応援してくれるとうれしいです」とオーディエンスに笑顔でメッセージを送った。
場内のボルテージが高まったところで、ライブもいよいよクライマックスに。野間の弾く繊細なフレーズとともに始まったのは「かけら~総べての想いたちへ~」。4人はミディアムテンポの楽曲を、1音1音確かめるように奏でる。スクリーンにはメンバーが心を込めながら演奏する姿が映し出され、オーディエンスの心をとらえていった。本編ラストを彩ったのはNICOの楽曲の中でももっともストレートなラブソング「トマト」。穏やかなサウンドに乗せ、光村の情感豊かな歌声が武道館を包み込む。同時にスクリーンには、誰かを愛おしむようなメンバー4人の表情が映し出され、楽曲の世界を引き立てた。
アンコールは「せっかく大きな会場なのでちっちゃく使おうかな」という光村の言葉で幕開け。大勢のスタッフが現れ、メインステージの前に設置された小さなステージに楽器を移動させる。光村は「初めてのワンマンライブはこれくらいのステージだったんだよね」と語ると、「image training」を奏で始めた。シンプルな演出は楽曲の持つ清涼感と骨太さを際立たせ、会場を惹きつけていく。それに続いた「N極とN極」ではオーディエンスを巻き込んでの美しい合唱が巻き起こる。光村は合唱にあわせて歌声を朗々と響かせ、歌い終えると「世界一美しい響きってこういうことを言うのかな……」と呟いた。
そのまま「ツアーをまたやることになりました」と新しいツアー「ミチナキミチ」の開催が告知されると、あちこちから歓喜の声が上がる。さらに「ツアーでは毎回新曲をやるつもりです。せっかくなので今日も新曲を。まだあんまり4人で合わせてないんだけど」と語ると、新曲「速度」を披露した。起伏のあるユニークで複雑なアレンジ、ダイナミズムを感じさせるサウンドは、これまでのNICOにはなかったタイプの楽曲。その音像は、彼らがまた新たな境地へと足を踏み込んだことを感じさせてくれた。
そしてアンコールラストとして彼らが用意したのは、インディーズ時代の代表曲「壁」だった。エネルギーを振り絞るように絶唱する光村、それを支える古村、坂倉、対馬のたくましい演奏。あえて「壁」を最後に持ってきた選曲、そしてスクリーンに映し出される4人の真剣な表情は、日本武道館の地が到達点ではなく始まりにすぎないということを証明していた。
「NICO Touches the Walls TOUR2009~2010『& Auroras』」追加公演セットリスト
01. そのTAXI,160km/h
02. ビッグフット
03. (My Sweet)Eden
04. バニーガールとダニーボーイ
05. April
06. プレイヤ
07. Lonesome Ghost
08. 錆びてきた
09. 風人
10. Aurora Prelude
11. ホログラム
12. 芽
13.GANIMATA GIRL
14. THE BUNGY
15. Broken Youth
16. かけら~総べての想いたちへ~
17.トマト
<アンコール>
18. image training
19. N極とN極
20.速度(新曲)
21.壁
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