フィリピン映画100周年記念作品、ラブ・ディアスの短編にメンドーサら驚き

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第31回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門に出品された「それぞれの道のり」のQ&Aが本日11月1日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、監督のブリランテ・メンドーサキドラット・タヒミック、キャストのカブニャン・デ・ギーアが出席した。

左からブリランテ・メンドーサ、カブニャン・デ・ギーア、キドラット・タヒミック。

左からブリランテ・メンドーサ、カブニャン・デ・ギーア、キドラット・タヒミック。

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「それぞれの道のり」

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本作はフィリピン映画生誕100周年を記念して製作されたオムニバス。「立ち去った女」のラブ・ディアス、「ローサは密告された」のメンドーサ、「虹(キドラット)のアルバム 僕は怒れる黄色'94」のタヒミックが「旅」という共通のテーマのもと、それぞれ個性際立つ作品を撮り上げた。

ブリランテ・メンドーサ

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プロデュース段階から本作に関わったメンドーサは、2016年に行定勲らと参加したオムニバス企画「アジア三面鏡2016:リフレクションズ」にインスパイアされ、フィリピンの監督たちとの制作を思いついたという。メンドーサが「私以外の2人にとってはチャレンジだったと思います。ラブ・ディアス監督も30分くらいの作品を撮ってくれたんです。どうやったのかわかりませんが……」と長尺で知られるディアスの名前を出すと、タヒミックも「彼は12時間ぐらいの作品もあるから。(今回は)40分以内の作品だと聞いて、それってオープニングの尺じゃないの!?と思いました(笑)」と観客を笑わせた。

メンドーサは土地を収奪されたミンダナオ島の農民たちの抗議を描く「Defocused(英題)」を監督。「あるジャーナリストの旅のドキュメンタリーをYouTubeで観たんです。実際に何が起きたかということが見て取れ、ニュースでは報道されない実際の農民の姿が深い洞察を持って描かれていました。そして私も個人的な経験を通したものを、この映画で描きたいと思いました」と作品に込めた思いを明かす。

フィリピン北部の民族衣装で登壇したキドラット・タヒミック。

フィリピン北部の民族衣装で登壇したキドラット・タヒミック。[拡大]

カブニャン・デ・ギーア

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タヒミックは、息子の家族旅行に同行したドキュメンタリー「Kabunyan's Journey(英題)」を手がけた。タヒミックの息子であるデ・ギーアは「(自分の)子供が小学校に入るタイミングで、家族で南部に移ろうということになった。それでジャンバラヤという父から兄、そして私へと受け継いだバンで人を訪ねていくロードトリップをしようということになったのです」と撮影のきっかけを明かす。タヒミックは「息子たちが移住するという決意を聞いて、孫にも会えなくなるから寂しかった。でも彼らの心は変えられません。劇中に“ラカラン”という言葉が出てきますが、それは物理的な動きではなく心の旅路という意味。その旅はなんらかの啓発にたどり着くのではないか、そして1898年に革命家たちがたどった旅にも重なる部分があるのではと思いました」と続けた。

竹のカメラを持って登壇したキドラット・タヒミック。

竹のカメラを持って登壇したキドラット・タヒミック。[拡大]

またタヒミックはフィリピン芸術界の最高栄誉にあたる“ナショナルアーティスト”を授与されることが決まっている。メンドーサは「彼はフィリピンインディー映画の生みの親と言える方。『悪夢の香り』を観た当時、私はまだ助監督でしたが、こういった作品を作りたいと非常に影響を受けました」とタヒミックをたたえた。

なおメンドーサは本映画祭にてコンペティション部門審査委員長に就任。明日11月2日に授賞式が行われる。

※記事初出時、イベント開催日に誤りがありました。お詫びして訂正します。

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