ユナに沼落ちしたい！「暴君のシェフ」イ・チェミンとのケミがいい、コメディエンヌとしてのセンスもピカイチ

文 / 前田かおり 構成 / 小宮駿貴 イラスト / 西村オコ

ユナとは

今後どんな魅力で夢中にさせてくれるの？ハマり役が続く人気女優

1990年生まれというと、パク・シネ、キム・テリ、イム・ジヨン、そしてパク・ボヨンといった名実ともに力のある韓国女優たちの名前が挙がる。ユナもその1人。1990年5月30日生まれの彼女は、2007年にアイドルグループ・少女時代のメンバーとしてデビューし、“少女時代の顔”として活躍する。2008年には初主演ドラマ「君は僕の運命」で高視聴率を記録。同作でユナは第45回百想芸術大賞テレビ部門の女性新人演技賞、人気賞に輝いた。

2012年、チャン・グンソクが「冬のソナタ」の監督＆脚本家とタッグを組んだ恋愛ドラマ「ラブレイン」のヒロインに抜擢され、清純で透明感あるイメージで着実に人気を伸ばす。チョ・ジョンソクと共演した2019年公開のサバイバルパニック映画「EXIT イグジット」では、有毒ガスが広がる高層ビルから脱出を試みるヒロイン役でアクションをこなし、韓国で940万人を動員する大ヒットを記録した。

近年は、ディズニープラスで配信中の「ビッグマウス」、Netflixで配信中の「キング・ザ・ランド」と2本のドラマが成功し、最新作「暴君のシェフ」はNetflixのグローバルTOP10 TV（非英語）部門で2週連続1位を獲得するなど、爆発的な人気を獲得した。日本では9月にファンミーティング「"Bon appétit, Your Majesty" YOONA Drama Fan Meeting IN YOKOHAMA」が開催され、絶好調の波に乗るユナ。今後どんな魅力で私たちを夢中にさせてくれるのか楽しみだ。

イ・チェミンとのケミがいい「暴君のシェフ」

料理コンテストで優勝し、最高の栄誉を得たばかりのシェフ、ヨン・ジヨンはひょんなことから朝鮮王朝時代にタイムスリップしてしまう。超わがままな暴君で“絶対味覚”を持つ美食家の王イ・ホンと出会った彼女は、この時代を生き抜くために王様の料理番・待令熟手としてさまざまな困難に立ち向かう。

ホンは、実在した朝鮮王朝第10代国王・燕山君（ヨンサングン）がモチーフ。絶対的な権力で支配した冷酷無比な王で、歴史を知るジヨンは機転を利かせながら陰謀渦巻く王宮で奔走する。ユナにとって、聡明で芯の強いキャラはハマり役。第1話に登場する“コチュジャンバタービビンバ”をはじめ、ジヨンは天才的な料理センスを生かし、ホンの胃袋をつかんでいく。

ユナは役作りのため、実際に料理教室で猛特訓を重ね、料理シーンではプロ顔負けの鮮やかな包丁さばきを披露。しかも、個性豊かな宮廷の料理人との軽妙なやり取りではコメディエンヌとしてのセンスを炸裂させて笑わせてくれる。何より、ホン役のイ・チェミンとのケミストリーがいい！ 過去、さまざまな男優と共演し、どんな相手とも最高のコラボを見せてきたユナだが、10歳年下のイ・チェミンとも絶妙なカップリング。身長168cmのユナ、190cmのイ・チェミン、この身長差でのキスシーンにバックハグは美しすぎて……マジ沼る!!

韓国ドラマ「暴君のシェフ」予告編

笑顔がキュートなホテリエを好演「キング・ザ・ランド」

高級ホテルを舞台に、笑顔を嫌悪するツンデレ御曹司と“スマイルクイーン”と呼ばれるホテリエのヒロインが繰り広げるロマンチックコメディ。「赤い袖先」など、ツンデレ役ならおまかせあれ！なジュノ（2PM）が、気品と知性があり、どこから見てもケチのつけようのない御曹司ク・ウォンとして登場する。そんな彼をちょっとした誤解から初対面で変態扱いするのが、ユナ演じるチョン・サラン。学歴もコネもないが、幸運にも憧れのホテルでインターンとして採用され、7年後、優秀なホテリエになっていたサランは本部長となったウォンと再会する。

仕事柄、作り笑顔が身についているユナに「笑ったら解雇！」と宣言するウォン。正反対な男女が最悪な出会いをしながらも恋に落ちていくというガチな王道ラブストーリーだが、ともにアイドルグループに所属し、ビジュアルの高さが半端ない2人のやり取りに、見てるこっちはヤキモキしたり、キュンキュンさせられたり……。楽しいことこの上ない。済州島（チェジュ島）やタイでのロケも美しく、嫌な日常から逃避させてくれること請け合い。

韓国ドラマ「キング・ザ・ランド」予告編

芯の強い看護師役で新境地「ビッグマウス」

勝率わずか10%のポンコツ弁護士パク・チャンホ（イ・ジョンソク）は、言葉が先立つせいで法曹界の人間からほら吹きの“ビッグマウス”と呼ばれていた。ある殺人事件を引き受けた彼は、何者かによって稀代の詐欺師“ビッグマウス”にでっち上げられ、凶悪犯を収容する刑務所へ。チャンホは地獄のような塀の中で生き残るため、ビッグマウスになりすまして巨大な陰謀を暴いていく。

「ビッグマウス」は、主演のイ・ジョンソクにとって除隊後復帰作。そんな作品でユナが演じたのは、チャンホの妻で看護師のコ・ミホ。彼が重罪人として投獄されてもくじけず、潔白を晴らすため自ら危険に身を投じていくミホ役は、ユナにとって新しい一面を見せる好機となった。

イ・ジョンソクとは初共演だが、2人のケミストリーは抜群。序盤のかわいらしく微笑ましい夫婦の日常から一変、窮地に陥ったチャンホのために尽くす凛としたミホからは、その愛情の深さが切々と感じられ、心を揺さぶられずにはいられない。なお2022年のMBC演技大賞でイ・ジョンソクは大賞、ユナは最優秀演技賞（ミニシリーズ部門）を受賞。さらに2人はベストカップル賞にも輝いている。

韓国ドラマ「ビッグマウス」予告編

ヒョンビンに恋するヒロイン役がチャーミングな「コンフィデンシャル：国際共助捜査」

北朝鮮の堅物なエリート刑事と韓国の庶民派刑事がタッグを組み、国際犯罪組織のリーダーを追う。「愛の不時着」のヒョンビンと、「破墓／パミョ」をはじめ数々の映画で活躍する実力派俳優ユ・ヘジンのコンビによる2017年公開の映画「コンフィデンシャル／共助」の続編だ。

ユナは、ユ・ヘジン演じる韓国の刑事カン・ジンテの義妹パク・ミニョン役で出演している。前作で一目惚れしたリム・チョルリョン（ヒョンビン）が再びやって来るとあって、俄然がんばるミニョン。今回は美容系YouTuberの設定で、そのスキルを使って捜査にも協力する。チョルリョンのほかに、アメリカから来たFBI捜査官ジャック（ダニエル・ヘニー）も登場。2人のイケオジに挟まれて、ちょっとイイ女ポジションも楽しみつつ、やっぱり本命のチョルリョンへの恋心は忘れていないミニョンをチャーミングに演じた。

韓国映画「コンフィデンシャル：国際共助捜査」予告編

前田かおり

ライター。映画やドラマのレビュー、キャスト・スタッフへのインタビューを多数手がける。キネマ旬報ムック「韓国テレビドラマコレクション」や韓国映画「密輸 1970」「ボストン1947」の劇場用パンフレットほか、情報誌、Webで各種エンタテインメント情報を紹介。2025年現在のお気に入りはドラマ「暴君のシェフ」「シン社長プロジェクト」、映画「カマキリ」。