講談社が、ハリウッドを拠点とする製作会社「Kodansha Studios」を設立。最高クリエイティブ責任者(CCO)に「ノマドランド」で第93回アカデミー賞の作品賞、監督賞を受賞した映画監督の
講談社はこのスタジオを通じて、日本で出版されたマンガや小説の実写映像化およびグローバル展開において、より主体的な役割を担っていくという。講談社がハリウッドに実写作品を手がけるスタジオを設立するのは初の試み。クロエ・ジャオがプロデューサーのニコラス・ゴンダと創業した制作会社Book of Shadowsと提携する。スタジオではクロエ・ジャオがCCO、ゴンダが最高執行責任者(COO)を務め、講談社専務取締役の森田浩章が最高経営責任者(CEO)に就任する。
設立の背景には、近年、日本のエンタテイメントが世界的に人気を集めていること、国としてもコンテンツの輸出を促進している状況がある。会見に出席した講談社の代表取締役社長である野間省伸によると、これまでハリウッドをはじめ、海外から実写映像化の打診はあったが、実写化のライセンス契約を結び、企画・制作は他社に任せる形にさまざまな課題を感じてきたという。
野間は「我々も企画する会社を設立することによって、実写化に常に関与していく。日本のIP、クリエイターを世界に広め、海外の素晴らしいクリエイターの方々とコラボレートする。ある種、出版社として新しいコンテンツを作っていくことができたら」と話す。ゴンダも「これまでの課題を解くために、システムやプロセスをきちんと築き上げていきたい」と意気込みを述べた。
クロエ・ジャオは1982年、中国・北京に生まれた脚本家・映画監督・編集者・プロデューサー。「ノマドランド」ではアジア系の女性として初めてアカデミー賞の監督賞に輝き、2021年にはマーベル・スタジオのもとで映画「エターナルズ」を監督した。2026年春には最新作「ハムネット」の日本公開を控えている。
会見でクロエ・ジャオは「とてもワクワクしています。私は子供の頃から深く、深く日本のマンガやアニメを愛しています。このような機会をいただけてうれしいですし、光栄です」と挨拶。「私がスタジオに望むのは、東と西の架け橋となること」と明言し、「私自身、子供の頃から、それを成し遂げたいという思いがありました。異文化同士の理解を促進するということですね」と明かす。
「日本のコンテンツは、まさに私の血と骨を作った」と語るクロエ・ジャオ。「マンガだけではありません。小説、アニメ、同人誌といったすべてに影響を受けました。私は孤独な子供でした。ですから、マンガの中のキャラクターが友達だったんですね。それは私だけではなくて、世界の多くの人に共通することだと思います」と、深い思い入れを伝えた。
さらに「Kodansha Studiosには“ガーデン”として機能してほしい」という思いも吐露。「映画作家として、ストーリーテラーとして、私がいつも望むのは、外の変革や情勢に左右されないような、安心できる場所。作家、作品、アイデアが発展していく庭として機能させたい。つまり、日本の作家と海外のクリエイターがともに、強い植物を育て上げる場所です」と語った。
これまでにハリウッドで、実写化プロジェクトに関する困難を目撃してきたというクロエ・ジャオ。その要因を「東西文化における理解不足」「知らないものへの恐れ」にあったとしつつ、「ただ、それを超えて両者が、2つの文化は、強く求め合っている。Kodansha Studiosが庭となって、文化、ストーリーをつなげる。それだけではなく、調和を生み出し、育む。それを考えただけで待ちきれないほど楽しみに思います」と期待を込めて話す。
そして「ハリウッドはある意味、違う文化のIPを好き勝手に扱ってきた。でも、Kodansha Studiosでは作家を尊重して、もともとのアイデアに耳を傾け、コラボレーションする。私たちがより作家性に近いものを作るのは、ハリウッドにとっても健全な形ではないかと思っています」と未来を見据えた。
クロエ・ジャオの映画作品
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これはクロエ•ジャオ監督の『代紋take2』ハリウッド映画化くるな
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