ジャ・ジャンクー来日、監督最新作「山河ノスタルジア」に込めた思い語る

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本日3月3日、「山河ノスタルジア」の監督ジャ・ジャンクーと主演チャオ・タオが、都内で行われた来日記者会見に出席した。

「山河ノスタルジア」来日記者会見にて、ジャ・ジャンクー(右)とチャオ・タオ(左)。

「山河ノスタルジア」来日記者会見にて、ジャ・ジャンクー(右)とチャオ・タオ(左)。

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「山河ノスタルジア」 (c)Bandai Visual, Bitters End, Office Kitano

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第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された本作は、1999年、2014年、2025年という3つの時代を軸に、過ぎゆく時の流れと人々の変わらない思いを描く物語。前作「罪の手ざわり」同様、本作でも中国社会の急激な発展に翻弄される人々の姿が浮き彫りに。しかし社会の成長によって生じたひずみを悲劇的に切り取った前作とは違い、その変化が個人にもたらした影響を繊細に描いたのが「山河ノスタルジア」だ。

ジャ・ジャンクー

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ジャ・ジャンクーは「1つの例として、この作品では主人公のタオが子供の親権を手放す決断をします。彼女の価値基準では、夫のほうが経済的に豊かだという理由で、子供の未来を考えての選択でした。そういう部分でも、中国社会の発展や貧富の差が個々に大きな影響を与えていると思います」と説明。また構想のきっかけについて、「長い時間とともに、本来の自分からどのように変わっていくのか。いろいろなものを手に入れたけれど、失ったものや代償になったものもたくさんあると思う。その過程が撮りたかった」とも語った。

チャオ・タオ

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タオの26年にわたる半生を1人で演じきったチャオ・タオは、「私にとって大きなチャレンジでした」と打ち明ける。ちょっとしたことでも大きく喜ぶ若者から、年を重ねて落ち着いた女性まで演じ分けるのは工夫が必要だったと言い、「身体的な面と情感的な面を、年齢が上がるにつれて入れ替えていく演技が要求されました」と述懐。脚本に書かれていないタオの半生は自分の空想で補ったと語り、「タオが生まれてから1999年までどう生きてきたのか、伝記のようなものをノートに書き溜めたんです。そうするとタオが生きてきた時間が熟成していって、撮影が始まる頃には自分の中で彼女が作り上げられていました」と役作りの一端を教えてくれた。

「山河ノスタルジア」 (c)Bandai Visual, Bitters End, Office Kitano

「山河ノスタルジア」 (c)Bandai Visual, Bitters End, Office Kitano[拡大]

自身の故郷でもある中国・山西省の汾陽から始まり、舞台がオーストラリアへと移っていく本作。脚本を書き終えるとロケハンを行い、実際に風景を見た上で再度書き直すというジャ・ジャンクーは、ロケ場所について「ただの風景じゃなくて、感染力のあるところを選んでいます」と話す。「ただ川があるだけじゃなくて、その川が冬になると凍ったり、音が聞こえてきたり。そういうものがあってこその美しさ」だと述べ、さらに「風景とは記憶を伴うもの。反対にオーストラリアでは、どこか借りもののような雰囲気になっています」と風景描写に込めた思いについても触れた。そして最後に、「ある程度の年齢までいかないとわからないこともあるけれど、映画だと歳を取らなくても感じることができる。特に若い人たちにこの作品を観てほしいです」と呼びかけた。

「山河ノスタルジア」は4月23日より東京のBunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開。

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