北山宏光、“令和版”「醉いどれ天使」に意気込み「僕なりの松永を」

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北山宏光が主演を務める舞台「醉いどれ天使」の製作発表が、昨日10月16日に東京都内で実施された。

「醉いどれ天使」製作発表より。前列左から深作健太、渡辺大、北山宏光、大鶴義丹、佐藤仁美、後列左から阪口珠美、横山由依、岡田結実。(撮影:田中亜紀)

「醉いどれ天使」製作発表より。前列左から深作健太、渡辺大、北山宏光、大鶴義丹、佐藤仁美、後列左から阪口珠美、横山由依、岡田結実。(撮影:田中亜紀)

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1948年4月に公開された映画「醉いどれ天使」は、黒澤明と三船敏郎の初タッグ作。映画の公開から約半年後には、映画とほぼ同じスタッフ・キャストによる舞台作品が上演された。2021年には蓬莱竜太の脚本、三池崇史の演出による舞台版が上演され、今回は深作健太の演出で2025年版が立ち上げられる。出演者には北山のほか、渡辺大横山由依岡田結実阪口珠美佐藤仁美大鶴義丹が名を連ねる。なお横山と岡田はWキャストとなる。

「醉いどれ天使」製作発表より。前列左から深作健太、渡辺大、北山宏光、大鶴義丹、佐藤仁美、後列左から阪口珠美、横山由依、岡田結実。(撮影:田中亜紀)

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北山は「この歴史ある作品に携われることをとてもうれしく思っておりますし、この令和にまた産み落とすことにとても意義を感じています。観てくださった方に心に残るものを、そしてそこから咀嚼して身体に染み込んで考えていただける作品を目指して作っております。松永は一見無骨ですが、実はものすごく人間らしい柔らかい心の弱さみたいなものがあり、それを台本から抽出して観た方に共感してもらえるような落としどころを表現することで、僕なりの松永を演じられるのではないかなと思います。深作さんが演出することによってエンタメとしても昇華されているので、ぜひとも足を運んでいただけるとうれしいです」と呼びかけた。

「醉いどれ天使」製作発表より。前列左から深作健太、渡辺大、北山宏光、大鶴義丹、佐藤仁美、後列左から阪口珠美、横山由依、岡田結実。(撮影:田中亜紀)

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深作は「この作品は1947年の戦後2年を描いています。不思議なご縁ですが、祖母が映画に出演していたので撮影の思い出話を聞いていましたし、父の深作欣二はこの映画を観て映画監督を目指した縁のある作品です。2021年舞台版のときはコロナ禍だったので、物語にでてくる結核のパンデミックと重なり、タイムリーだったことが記憶に残っています。魅力的な蓬莱さんの脚本を、新たなキャストで上演できるのが楽しみです。蓬莱さんの脚本は、映画シナリオを受け継ぎながら演劇として見事にアダプテーションされています。今も戦争が残っていることを忘れずに、戦争のない日本を作った当時の人々を描きたいと思います。稽古は順調で楽しみながら進めています。セットには瓦礫の山を作る予定です。残りの期間でいかにブラッシュアップできるか、ご期待ください」と期待をあおった。

公演は11月7日から23日まで東京・明治座、28日から30日まで愛知・御園座、12月5日から14日まで大阪・新歌舞伎座で行われる。製作発表での渡辺、横山、岡田、阪口、佐藤、大鶴のコメントは以下の通り。

渡辺大コメント

この歴史ある作品に参加できて光栄に思います。伝統的な作品ですが、深作さんがパンクにロックと新しい要素を入れてくださっているので令和版新解釈の「醉いどれ天使」になっています。映画や2021年版の舞台では松永と真田の関係性が親子のような感じだったのですが、北山くんとは歳があまり変わらないので兄弟のような、明るい光のなかに松永を引きずりこむエネルギッシュな真田にできたらと考えています。稽古は追い込まれてはいるのですが、肉をつけ血をつけている最中です。これからさらにパーツを加えて初日を迎えたいです。ぜひご覧ください。

横山由依コメント

戦後すぐのお話ではあるのですが、今の時代ともリンクするところがあるなと稽古をしながら感じています。座長の北山さんをはじめ深作さんが稽古場の雰囲気を穏やかに明るく作ってくださっているので、稽古場に行く足取りがとても軽いです。
演じるぎんという役は夢や希望に対する気持ちがすごく強い人だと思っていて、そこへの原動力がぎんを突き動かしてると思うんです。それは自分だけでなく、他人の夢や希望を応援できるような気持ちを持っているのだと思います。エネルギッシュな作品になると思いますので、お客様にエネルギーをお届けできるようにしたいです。

岡田結実コメント

この作品は戦後すぐのお話で、今の時代も戦争に目を背けられない、向き合っていかなければならないと感じています。深作さんがいつも仰っているように、戦争を偽物にしたくない、本当にあるものだからという思いを込めて、偽物を演じないようにしたいです。ずっと舞台に挑戦したいと思っていたので、初舞台が素敵なキャストとスタッフの皆さんが揃うこの作品で、お芝居ができる幸せを日々噛み締めています。私が演じる「ぎん」には戦争がなければこうだったのにという思いに愛情の深さを感じていて、深く向き合う力はそう簡単には真似できないので、
現実に向き合う力強さを見習って舞台に挑みたいです。また、そんな「ぎん」だからこそ、松永や自分を変えていける一人になっていくという部分も表現できたらと思っています。

阪口珠美コメント

この日本映画史に残る名作に、こんなにも素敵で豪華なキャスト・スタッフの皆様とご一緒させていただいて、実は今も緊張でいっぱいなんですが、残りの稽古で緊張を自信に変えて奈々江の生きる力や強さをステージで出せるように、一生懸命がんばりたいです。奈々江はすごく現実主義な女性で、生きるためなら手段を選ばないすごく強い女性です。でも、そうしていかなければ生きていけない世界というのはすごく虚しくて可哀そうで、その奈々江の強さの裏にある本当の隠れた気持ちをうまく汲み取って、表現できるようにがんばりたいと思います。

佐藤仁美コメント

本を読んだときはなんて泥臭い作品なんだと思ったのですが、読み込んでいくとなんて色気のある男たち、そしてその中にいる女たちも、なんて強い人間たちの生き様なんだろうと感じました。この作品に出てくる女性は脆く見えるのですが、様々なバックボーンがあって実は共通して全員芯が強くて情に厚いイメージです。
稽古は後から参加だったので迷惑をかけないようにみなさんに追いつけるように必死ですが頑張っています(笑)。ぜひ劇場にお越しください。

大鶴義丹コメント

私の演じる岡田という役は、戦後に新しい人生に向かおうとする松永の邪魔をして、日々松永を地獄に引きずり込むように頑張って稽古しております。この話は、戦争でみんな等しく傷ついて、そこから新しい世界に向かおうという中に、私が演じる岡田1人だけが、そんなのは認めないと全員の邪魔をする、とても悪魔的な役なんです。でも岡田のそういう部分を対比的に恐ろしく演じられれば、新しい世界に向かいたいというその光が逆に輝くんじゃないかと思っております。よろしくお願いします。

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醉いどれ天使

開催日程・会場

2025年11月7日(金)〜23日(日・祝)
東京都 明治座

2025年11月28日(金)〜30日(日)
愛知県 御園座

2025年12月5日(金)〜14日(日)
大阪府 新歌舞伎座

スタッフ

原作:黒澤明 / 植草圭之助
脚本:蓬莱竜太
演出:深作健太

出演

北山宏光 / 渡辺大 / 横山由依(Wキャスト) / 岡田結実(Wキャスト) / 阪口珠美 / 佐藤仁美 / 大鶴義丹 / 堀野内智 / 神農直隆 / 生津徹 / 宮地大介 / 葉山昴 / 松井朝海 / 桑畑亨成 / 荒井洸子 / 片岡正二郎 / 西川裕一 / 八木橋華月 / 浅倉智尋 / 奥富夕渚 / 夕希奈

公演・舞台情報

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