東京・歌舞伎座で12月に行われる
泉鏡花の戯曲「天守物語」は、白鷺城(姫路城)の天守閣にまつわる伝説をもとにした物語。作中では、天守閣の最上階に棲む美しく気高い天守夫人・富姫と、若き鷹匠・姫川図書之助の恋が描かれる。本公演では、坂東玉三郎と今井豊茂の演出で、玉三郎がヒロイン・富姫、團子がその相手役となる図書之助を勤める。なお玉三郎演出版の「天守物語」は、昨年12月にも同劇場で七之助の富姫、玉三郎の亀姫、中村虎之介の図書之助で上演された。
團子は、2013年の「女暫」、2022年の「助六由縁江戸桜」で、玉三郎と同じ舞台に出演しているが、相手役を務めるのは、今回が初めてのこと。玉三郎の印象を「自分の中の勝手な印象かもしれませんが、心で何を思うかという、すごく“感情”を大事にされていらっしゃる方。作家に対するリスペクトがあり、セリフを非常に大事にされている」と言葉に力を込める。なお、玉三郎は10月に尾上左近と「吉野川」、11月に市川染五郎と「源氏物語」と、いずれも團子と年齢の近い俳優と歌舞伎座で共演している。いずれの演目も観劇したと話す團子は「『吉野川』では所作の美しさ、『源氏物語』では絵巻物の中で展開されていくような美しさに心躍りましたが、僕としてはやはり、(玉三郎の)セリフや動きの1つひとつから、“感情”のイメージを強く感じました。その日その日で、あふれてくる感情を大切にされているのかなと」と分析する。玉三郎との共演に向け「食らいついていきつつ、たくさん学ばせていただきたい」と瞳を輝かせる。
また作品について「『天守物語』は、象徴的なセリフが多く、空気感が緻密に構成されている作品。そういった作品に出演する機会が少なかったので、どう演じたらよいのか不安や緊張はありますが、楽しみでもあります」と話す。また玉三郎から、泉鏡花全集より、「天守物語」が入った一冊を手渡されたことを明かし、「本を貸していただいたとき、『ちゃんと自分なりの感情で挑んでほしい』という言葉をいただきました。また、昨年12月に『天守物語』を拝見したときは、俳優さんが解釈したうえで、セリフとして発されていたからからこそ腑に落ちていたセリフが、戯曲で読んだときに『これはどういう意味なんだろう』と思う部分がいくつかありました。役をどのように解釈するのか、非常に難しい作品だと思うので、心して挑みたい」と真摯なまなざしで述べた。
図書之助の役柄については「とにかく心が綺麗な、美しい青年というイメージがあり、あとは自分の身分や礼儀をわきまえているところも素敵だなと思います。これまで、あまり演じさせていただいたことのない役柄」と話す。図書之助の純粋さをどのように表現したいかと問われると「やはり、役をしっかり解釈することが、一番の近道だと思っています。台本を読み込むことで図書之助の思いを理解し、舞台に立てたら、少しでも近づけるのでは」と語る。記者から「図書之助と自身で重なる部分は」と問われると、「重なる部分や似ている部分はありません!(笑) だからこそ、図書之助のような人を目指して生きていきたいと思いますね」と謙遜し、「強いて言うなら、私は夢中になると、1つのことしか見えなくなってしまうところがあるので、そういうところが似ていたらうれしいですね」と続けた。
なお図書之助は、1965年に團子の祖父である市川猿翁も勤めた役。「図書之助を勤めさせていただくことがわかったときは、『まさか僕が』という思いがあり、祖父と同じ役ができることへのうれしさもありました」と笑顔を見せ、9月に京都・京都芸術劇場 春秋座に出演した際、京都芸術大学に残された膨大な猿翁の資料から、担当者が猿翁の「天守物語」の出演時の写真を探し出し、團子に披露したことをうれしそうに明かす。「残念ながら、祖父が図書之助を勤めた『天守物語』のビデオは残っていないのですが、(写真から)祖父はどのように勤めたんだろうと考えつつ、とにかく台本と向き合ってがんばりたい」と意気込みを語った。
「十二月大歌舞伎」は12月3日から26日まで。チケットの一般販売は11月14日10:00にスタート。
「十二月大歌舞伎」第一部
2024年12月3日(火)〜26日(木)
東京都 歌舞伎座
スタッフ
発刊30周年記念「あらしのよるに」
原作:きむらゆういち(講談社)
脚本:今井豊茂
演出・振付:藤間勘十郎
出演
発刊30周年記念「あらしのよるに」
がぶ:中村獅童
めい:尾上菊之助
たぷ:坂東亀蔵
みい姫:中村米吉
はく:市村竹松
のろ:市村光
幼いころのめい:中村陽喜
幼いころのがぶ:中村夏幹
ばりい:澤村國矢改め澤村精四郎
山羊のおじじ:市村橘太郎
絵師:市川門之助
がい:河原崎権十郎
狼のおばば:市村萬次郎
ぎろ:尾上松緑
「十二月大歌舞伎」第二部
2024年12月3日(火)〜26日(木)
東京都 歌舞伎座
スタッフ
一、「盲長屋梅加賀鳶『加賀鳶』本郷木戸前勢揃いより赤門捕物まで」
作:河竹黙阿弥
出演
一、「盲長屋梅加賀鳶『加賀鳶』本郷木戸前勢揃いより赤門捕物まで」
天神町梅吉 / 竹垣道玄:尾上松緑
日蔭町松蔵:中村勘九郎
春木町巳之助:中村獅童
魁勇次:坂東彦三郎
磐石石松:坂東亀蔵
虎屋竹五郎:中村種之助
天狗杉松:中村玉太郎
昼ッ子尾之吉:尾上左近
お朝:中村鶴松
妻恋音吉:尾上菊史郎
金助町兼五郎:尾上菊市郎
数珠玉房吉:澤村國矢改め澤村精四郎
御守殿門次:中村吉之丞
雷五郎次:市川男女蔵
御神輿弥太郎:中村松江
伊勢屋与兵衛:河原崎権十郎
女按摩お兼:中村雀右衛門
二、「鷺娘」
鷺の精:中村七之助
「十二月大歌舞伎」第三部
2024年12月3日(火)〜26日(木)
東京都 歌舞伎座
スタッフ
一、「舞鶴雪月花」
作:萩原雪夫
二、「天守物語」
作:泉鏡花
演出:坂東玉三郎 / 今井豊茂
出演
一、「舞鶴雪月花」
桜の精 / 松虫 / 雪達磨:中村勘九郎
松虫:中村長三郎
二、「天守物語」
富姫:坂東玉三郎
姫川図書之助:
亀姫:中村七之助
小田原修理:中村歌昇
腰元:中村歌女之丞
薄:上村吉弥
朱の盤坊:市川男女蔵
舌長姥:市川門之助
近江之丞桃六:中村獅童
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中村福助 @fukusuke9_
市川團子、祖父の猿翁さんも演じた図書之助役の扮装写真を初公開「祖父はどんどん前に進んでいく感じが格好いい」(スポーツ報知)
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