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「季節と朗読」は、“朗読×音楽”をモチーフに、
朗読に使用されたのは、大久保ゆうによる翻訳版で、作中ではアフリカの砂漠に不時着した“ぼく”と、彼がそこで出会った“王子くん”の物語が展開する。王子くんは愛していた“花”と一緒にいるのがつらくなり、故郷の星に別れを告げ、星から星へと旅を続けてきた。王子くんは、7番目にたどり着いた星・地球で、ヘビや、自分の愛していた“花”とそっくりな花たち、キツネ、そして“ぼく”と出会い……。
会場となるルーテル市ヶ谷ホールは、教会の会堂でもあり、舞台天井には十字架が吊るされ、舞台の下手奥にはパイプオルガンが埋め込まれている。舞台上には、高井が演奏するグランドピアノ、シンセサイザー、鉄琴などの楽器に加え、劇中で藤原が小道具として用いる椅子や脚立、箱馬が並ぶ。舞台全体に点々と置かれた照明器具は、シーンによっては空間を“部屋の中”のように温かく照らし、また灯りを付けたり消したりする登場人物の1人・あかりつけの登場シーンでは、彼の仕事場を表すように、ゆるやかな明滅を繰り返した。
「季節と朗読」では、藤原は台本を持たず、ゲストミュージシャンの演奏に合わせ、身ひとつで物語の登場人物すべてを演じ分ける。髪を金色に染めた藤原は、持ち前のピュアな存在感も相まって、立ち姿だけで王子くんを思わせた。王子くんの、好奇心のおもむくままに、“ぼく”に質問を重ねるさまを子供っぽくコミカルに演じるが、“花”との別れのシーンでは、王子くんが感じている悲しさ、寂しさ、やりきれなさといった複雑な心中を、表情やセリフに乗せて繊細に表現。王子くんとキツネの出会いのシーンでは、「おいらを懐かせて」と王子くんに願うキツネを、四つ足で愛らしく立ち上げる。王子くんとキツネが絆を深めていく様子は、高井による疾走感あふれるピアノの演奏と、楽しげに舞台いっぱいを駆け回る藤原の演技により、幸福感いっぱいに描き出され、そのあと訪れる別れのシーンをより切ないものにした。
藤原は、状況の余裕のなさに苛立ちを感じつつも、王子くんの純粋さに心打たれる“ぼく”を、心優しい青年として等身大で演じる。“ぼく”を演じる際、視線をさりげなく王子くんがいる方向に投げかけ、その眼差しの温かさで“ぼく”の優しさを観客に感じさせた。高井は、藤原のセリフのタイミングや、一挙手一投足に合わせて、楽器の音色を響かせ、観客を劇世界に引き込む。また物語が一区切りするごとに、高井のオリジナル楽曲が披露された。柔らかく響く高井の歌声は、「星の王子さま」の切なくも幻想的な雰囲気と調和し、物語を彩った。
このたび、初日を終えた藤原と高井からコメントが到着。藤原は「いよいよ『叶春』の開幕です。去年から、この『星の王子さま』という物語に向き合ってきましたが、心が救われる瞬間がたくさんありました。きっと、ちいさな王子くんの言葉から、受け取れることがあるはずです。僕たちの世界を、僕たちを美しくしてくれる、ほんとうに大切なこと。当日券を販売できる公演もありますので、どうぞよろしくお願いします」、高井は「『叶春』季節と朗読。今回は、地球の上の宝物のような作品、星の王子さま。藤原季節さんの、言葉と物語に向き合う誠実な姿勢と表現に、毎度胸を打たれています。この舞台の記憶が、みなさんの中で光り続けることができるよう、歌と音に願いを込めてお届けします」とそれぞれ思いを述べた。
上演時間は約1時間30分。公演は明日3月14日まで。
「叶春」季節と朗読 by ライブナタリー
2024年3月12日(火)~2024年3月14日(木) ※公演終了
東京都 ルーテル市ヶ谷ホール
スタッフ
企画・構成:
出演
藤原季節 /
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