舞台「ダブル」が、本日4月1日に東京・紀伊國屋ホールに開幕。これに先駆け昨日3月31日にゲネプロが行われた。なお記事には物語や演出に言及している箇所があるため、ネタバレを避けたい読者は注意してほしい。
「ダブル」(ヒーローズ)は、
幕が上がる直前、会場にはチャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」が流れ始める。その音量がだんだん大きくなり、音楽が最高潮を迎えたところで幕が開くと、ステージにはロフト付きマンションの一室が現れた。
本作では終始、多家良の自宅マンションを舞台に、演技の道を志す若者たちの姿が描かれた。作中ではしばしば劇中劇が展開し、登場人物たちは「三人姉妹」や「初級革命講座 飛龍伝」の一部を演じる。劇中劇の場面ではカンバスのような部屋の白壁に抽象的な映像が映し出されることで、キャラクターたちのイマジネーションが広がり、マンションの一室が演劇的な空間に変貌するさまが効果的に描かれた。
シャイで生活能力に乏しく、どこか危なっかしい多家良を、世話焼きの友仁は献身的にサポートする。和田と玉置は、互いに“世界一の役者”を目指すライバルである2人が、強烈に惹かれ合うさまを生き生きと演じた。和田は、どこかふわふわとつかみどころのない雰囲気をまといつつ、多家良が演技の世界に没頭する場面では高い熱量でセリフを発し、その振れ幅で観る者を魅了する。玉置は豊かな声量とハキハキとした語り口で、“演劇人”然とした友仁像を具現化。玉置は成功への道をひた走る多家良に寄り添いつつ、時に多家良との関係に悩む友仁の葛藤を繊細に演じ、観客を惹き付けた。
井澤は九十九を一見軽薄だが演技への情熱を持つ人物として立ち上げ、護は冷田を、有能で冷静だが優しい人柄を持つマネージャーとして描き出す。またかわいらしさの奥にしたたかさをのぞかせる愛姫役の牧浦や、コミカルな演技で場を和ませる飯谷役の永島の演技にもぜひ注目しよう。
上演時間は約2時間20分となり、公演は4月9日まで行われる。なお6日19:00開演回終了後には、原作者の野田を招いたトークショーを実施。さらに千秋楽となる9日18:00開演回の様子は、Streaming+でライブ配信される。開幕に向けた中屋敷、和田、玉置のコメントは以下の通り。
中屋敷法仁コメント
原作から受けたインスピレーションをまるごと紀伊國屋ホールに解き放ちました。俳優を志す若者達の切ない魂が、熱く熱く燃え上がっております。
演劇愛にまみれた2時間20分の真っ向勝負。劇場空間で是非、体感していただきたいです。
和田雅成コメント
無事にこの日を迎える事が出来ました。怖くて、道がみえなくて、そんな中挑んだ稽古でしたが、キャストの皆様が、スタッフの皆様が自分をここまで連れてきてくれました。
もれなくみんなが素敵です。
とても愛おしいです。
生きるのが楽しいです。ゲネプロを終えた時点でここまで感じているので、本番でお客様と共にこの紀伊國屋ホールで同じ空間で生きた時、どんな自分がそこにいるのか。楽しみです。
皆様にとっても、自分にとっても、一歩を踏み出せる。
そんな作品になりますように。
玉置玲央コメント
このコメントを書いているのは場当たりと呼ばれる舞台稽古の真っ只中でして、正直我々もこの舞台「ダブル」という作品がどこに着地するのか未だ分かりません。希望的観測で、願いを込めて、面白い作品が出来たので是非劇場に足を運んでくださいと言うことは簡単なのですが、それはちょっと無責任かなと思って言えない自分がいます。そのくらい「ダブル」は大切に向き合いたい作品だからです。
今、責任持って言えることはただ一つ。舞台に立つのは心底楽しいってこと。そんな我々と「ダブル」の着地点を目撃してもらえたら嬉しいです。劇場で待ってます。
舞台「ダブル」
2023年4月1日(土)~9日(日)
東京都 紀伊國屋ホール
原作:
脚本:
演出:
キャスト
宝田多家良:
鴨島友仁:
轟九十九:
冷田一恵:
今切愛姫:
飯谷宗平:
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あ子 @am175517
このさ、1枚目のシーンの流れが凄いイイし、配信の方が観やすいから穴あける勢いで観てほし。
友仁さんの表情良かった。言葉の外側にあるリアル。
多家良くん、天才さと「空恐ろしさ」をきっちり魅せてて凄いの。
千秋楽配信は公演後も少しの間は観れるらしいし。 https://t.co/Tn4c1KKi3u