輪郭が見え始めた「浜辺のアインシュタイン」演出の平原慎太郎が構想を明かす

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10月8・9日に上演される神奈川県民ホール開館50周年記念オペラシリーズ Vol.1 フィリップ・グラス / ロバート・ウィルソン「浜辺のアインシュタイン」に向けて、去る9月16日に公開ダンスリハーサルが行われ、演出・振付を手がける平原慎太郎が取材に応じた。

「浜辺のアインシュタイン」リハーサルの様子。(撮影:加藤甫)

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「浜辺のアインシュタイン」リハーサルの様子。(撮影:加藤甫)

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「浜辺のアインシュタイン」は一定の短かい音型を反復する“ミニマルミュージック”の旗手として知られるフィリップ・グラスの音楽で、1976年に初演されたオペラ作品。日本初演は1992年で、今回は30年ぶりに、国内初の新制作で上演される。本作は科学者アインシュタインをモチーフに、彼を詩的に解釈しようと立ち上げられたもので、セリフはあるが物語はなく、歌詞は数字とドレミのみで構成された前衛的なオペラ作品だ。平原による上演版には俳優の松雪泰子と田中要次、バレエダンサーの中村祥子、バイオリニストの辻彩奈のほか、多彩な顔ぶれがそろう。

「浜辺のアインシュタイン」リハーサルの様子。(撮影:加藤甫)

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リハーサル後の会見で、記者に「ダンスの要素が強い作品になるのか」と問われると、平原は「今日のダンスリハーサルには美術も入っていないですし衣裳も入っていないですし、生演奏ではなく録音音源なのでダンスの要素を強く感じられた方もいるかもしれませんが、徐々にさまざまな要素が合わさって、“オペラ”と呼んでも良いものになるのかなと思います」と回答。

「浜辺のアインシュタイン」リハーサルの様子。(撮影:加藤甫)

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オペラ作品ということで意識した点を問われると、「オペラは、あくまで音楽を主軸においたマルチメディアのことだと思うので、音楽を聴き込み、それをコンセプトとして、そこにどういう要素を加えていくか。どうやってさまざまな要素をフィットさせていくのかを考えていきました。その点で、コンセプトやテーマを第一に考えるコンテンポラリーダンスとは、考え方のプロセスが違います」と答えた。

「浜辺のアインシュタイン」リハーサルの様子。(撮影:加藤甫)

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またフィリップ・グラスの音楽の魅力については「例えば山の中に行って、木のザワザワいう音など聞き逃しそうになる音がある瞬間に人の話し声に聴こえたり、動物が走っている音に聴こえたりすることがあって、でもそれがまた環境音となって通り過ぎていったり……そういった感じ方の揺らぎみたいなものがフィリップ・グラスの音楽の魅力なんじゃないかな」と返答。さらに「振付の面では、しっかり“音ハメ”している部分もあるし、わざと外している部分もあります。非常に聞こえにくいオルガンの音で、音を取ろうというところもあるんですけど、そういった作業は面白いですね。難しいですけど……めちゃくちゃ難しいんですけどね」と苦笑いを見せた。

本作では、ビニールが使った演出が施されたシーンがある。その点について平原は「“保存するもの”としてのビニールと、“隠すもの”のメタファーとしてのビニール」と2種類の意図があると明かした。なお本作には中村祥子が出演することも話題の1つ。中村の“役割”については「祥子さんは感情の役。彼女が一番感情的な役に見えたいなと思っていて、感情を舞台の上に持ってくる役、というふうに考えています」と構想を明かした。

神奈川県民ホール開館50周年記念オペラシリーズ Vol.1 フィリップ・グラス / ロバート・ウィルソン「浜辺のアインシュタイン」は、10月8・9日に神奈川・神奈川県民ホール 大ホールにて上演される。

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神奈川県民ホール開館50周年記念オペラシリーズ Vol.1 フィリップ・グラス / ロバート・ウィルソン「浜辺のアインシュタイン」

2022年10月8日(土)・9日(日)
神奈川県 神奈川県民ホール 大ホール

音楽:フィリップ・グラス
台詞:クリストファー・ノウレス、サミュエル・ジョンソン、ルシンダ・チャイルズ
翻訳:鴻巣友季子
演出・振付:平原慎太郎
指揮:キハラ良尚

出演:松雪泰子、田中要次、中村祥子、辻彩奈(バイオリン)/ Rion Watley、青柳潤、池上たっくん、市場俊生、大西彩瑛、大森弥子、倉元奎哉、小松睦、佐藤琢哉、杉森仁胡、鈴木夢生、シュミッツ茂仁香、城俊彦、東海林靖志、高岡沙綾、高橋真帆、田中真夏、鳥羽絢美、浜田純平、林田海里、町田妙子、村井玲美、山本悠貴、渡辺はるか

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松雪泰子 @matsuyuki1111y

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