松尾スズキ、読売文学賞贈賞式で「これでのびのびとシリアスなものが書けます」

4

616

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 89 411
  • 116 シェア

第71回読売文学賞の贈賞式が本日2月17日に東京・帝国ホテルで行われ、戯曲「命、ギガ長ス」で戯曲・シナリオ賞を受賞した松尾スズキらが出席した。

松尾スズキ

松尾スズキ

大きなサイズで見る(全12件)

第71回読売文学賞贈賞式より。左から島田雅彦、松尾スズキ、津野海太郎、礒崎純一、川野里子、千葉文夫。

第71回読売文学賞贈賞式より。左から島田雅彦、松尾スズキ、津野海太郎、礒崎純一、川野里子、千葉文夫。[拡大]

第71回読売文学賞贈賞式より、左から読売新聞東京本社の田中隆之取締役編集局長、松尾スズキ。

第71回読売文学賞贈賞式より、左から読売新聞東京本社の田中隆之取締役編集局長、松尾スズキ。[拡大]

「命、ギガ長ス」は、認知症の母とアルコール中毒の息子、ドキュメンタリー作家とゼミの教授の関係を描いた二人芝居。松尾の新劇団・東京成人演劇部により昨年上演され、松尾と安藤玉恵が出演した。贈賞式の受賞者挨拶で、松尾はまず「読売文学賞は、受賞の仕方がいいんですね。ある日突然電話がかかってきて、『読売文学賞ですけど、受賞しますか?』と聞かれて、それに『はい』と答えると、受賞したことになる(笑)。僕は3回ほど芥川賞にノミネートされたことがあるのですが、ノミネートはつらいですよ。名前を挙げられてから2カ月くらいの間、ずっと神輿に乗せられたような気持ちにさせられて、発表当日にどーんと……島田さん、あれなんとかしてください!(笑)」と、今回小説賞を受賞した、芥川賞の選考委員を務める島田雅彦に冗談交じりに訴え、周囲の笑いを誘った。

松尾スズキ

松尾スズキ[拡大]

続けて、松尾は自身の作風を「ギャグが多いから賞とは縁遠い」と話しつつ、「知人の編集者が『松尾さんはギャグを抜けば賞獲れますよ』と言ってくれたんですが、賞を獲るためにシリアスなものを書いて、日和ったと思われるのがいやで。でも今回、『命、ギガ長ス』という、かなりギャグの多い内容の作品で賞をいただくことができた。これで、のびのびとシリアスなものを書くことができます!(笑)」と笑顔を見せる。

左から安藤玉恵、松尾スズキ。

左から安藤玉恵、松尾スズキ。[拡大]

最後に松尾は「この賞は会場にも来ている安藤玉恵という女優、そしてスタッフのみんなと獲れたものだと思っています。皆さん、ちょっと彼らに拍手をいただけますか?」と会場に呼びかけ、場内は温かい拍手で包まれた。松尾はそれに感謝の言葉を述べつつ、「だからといって賞金は山分けしないんですけどね(笑)。本当に、ありがとうございました」と挨拶を締めくくった。

小説、戯曲・シナリオ、随筆・紀行、評論・伝記、詩歌俳句、研究・翻訳の全6部門からなる読売文学賞は、戦後の文芸復興の一助とするため、1949年度に創設された総合文学賞。71回目となる今回は、戯曲・シナリオ賞に松尾の「命、ギガ長ス」、小説賞に島田の「君が異端だった頃」のほか、随筆・紀行賞に津野海太郎「最後の読書」、評論・伝記賞に礒崎純一「龍彦親王航海記 澁澤龍彦伝」、詩歌俳句賞に川野里子「歓待」、研究・翻訳賞に千葉文夫「ミシェル・レリスの肖像」が輝いた。

この記事の画像(全12件)

第71回読売文学賞

小説

島田雅彦「君が異端だった頃」(集英社)

戯曲・シナリオ

松尾スズキ「命、ギガ長ス」(白水社)

随筆・紀行

津野海太郎「最後の読書」(新潮社)

評論・伝記

礒崎純一「龍彦親王航海記 澁澤龍彦伝」(白水社)

詩歌俳句

川野里子歌集「歓待」(砂子屋書房)

研究・翻訳

千葉文夫「ミシェル・レリスの肖像」(みすず書房)

全文を表示

読者の反応

  • 4

たらはかに (田原にか) @tarahakani

改めて、おめでとうございます!
好きだー
https://t.co/6AUnf0nZOh

コメントを読む(4件)

関連記事

松尾スズキのほかの記事

リンク

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 松尾スズキ / 島田雅彦 / 安藤玉恵 の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします