月組がオーストリア発のミュージカル、珠城りょう「非常に“男役度”が問われる役」

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宝塚歌劇月組「I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-」の東京公演が、本日11月29日に開幕。これに先駆け同日、公開舞台稽古と囲み取材が行われた。

宝塚歌劇月組「日本オーストリア友好150周年 UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』」囲み取材より。

宝塚歌劇月組「日本オーストリア友好150周年 UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』」囲み取材より。

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日本オーストリア友好150周年を記念して上演される本作は、「エリザベート」や「モーツァルト!」などを生み出してきたウィーン劇場協会が、2017年に制作したミュージカル。本公演では、齋藤吉正が潤色・演出を手がけ、珠城りょう美園さくららが出演する。

オーストリア・ウィーンにある老舗ホテルの御曹司ジョージ・エードラー(珠城)は、ホテルを盛り上げるために革新的なアイデアを両親に提案するが、保守的な母ロミー(海乃美月)には理解されない。そんなある日、ハリウッド女優のエマ・カーター(美園)が、マネージャーのリチャード・ラッティンガー(月城かなと)と共にホテルに宿泊することに。しかしフロント係を務めるフェリックス・モーザー(風間柚乃)がその情報をSNSに書き込んでしまい、ホテルにファンや記者が殺到。フェリックスの罪を被ったジョージは謝罪のため、ホテルの名物ケーキ“エードラー・トルテ”をエマの部屋に持っていくが……。

珠城は、御曹司でありながら気取らず、自分の感覚に正直なジョージを愛嬌たっぷりに表現しつつ、寒がるエマに自身のジャケットをさり気なくかけるなどのスマートな行動で観客を魅了した。美園は、ジョージとの出会いで“本当の自分”を取り戻していくエマを表情豊かに演じる。月城は狡猾さを際立てた演技で今作の悪役であるリチャードの人物像を立ち上げ、アルゼンチンのサッカー選手パブロ・ガルシア役の暁千星は、セクシーな表情でパブロのカリスマ性を表現。また、海乃はヒステリックでありながらも愛情深いロミーを緩急ある芝居で表し、ジョージの父親ヴォルフガング役の鳳月杏は、妻の尻に敷かれる様子をコミカルに演じて客席の笑いを誘った。

舞台稽古終了後の囲み取材には、珠城と美園が出席。珠城は「大変お寒い中、お越しいただきありがとうございました」と記者を気遣いつつ、「今作が『I AM FROM AUSTRIA』初の国外公演ということで、月組生一同プレッシャーもありましたが、素晴らしい楽曲と美しい世界観の中、楽しみながら日々公演を務めております。東京のお客様にも、この世界観を存分に楽しんでいただけますよう、心を込めて演じてまいります」と笑顔を見せる。続いて美園は「宝塚大劇場公演も大変な緊張感がございましたが、お客様の温かい笑顔に見守られ、励まされながら公演を終えることができました。引き続き、東京公演もよろしくお願いいたします」と観客にメッセージを送った。

宝塚歌劇月組「日本オーストリア友好150周年 UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』」囲み取材より。

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記者から、本作はオーストリア発のミュージカルでありながら、非常に“宝塚らしさ”がある公演だったと伝えられると、珠城はそれに頷き、「日本のお客様にも楽しんでいただけるよう、齋藤先生が潤色を加えた箇所も多々ございますし、また舞台装置もウィーンで上演されていたものとは違い、宝塚ならではのものとなっております。また映像の使い方、照明の使い方なども、鮮やかさや華やかさという部分で“宝塚らしさ”を感じていただけるかと」と話す。

宝塚歌劇月組「日本オーストリア友好150周年 UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』」囲み取材より。

宝塚歌劇月組「日本オーストリア友好150周年 UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』」囲み取材より。[拡大]

さらに役作りについて、珠城は「ジョージはホテルの御曹司ではあるけれど、ごく普通の青年。オーストリアから脚本家の方々がいらっしゃったときも『ジョージは物事をフラットに見れる人間なので、そこを一番大事にしてほしい』と言われました。これは『カンパニー』で青柳を演じたときにも感じたのですが、役柄が宝塚のトップらしくないというか(笑)。ナチュラルに1人の青年として存在しつつ、宝塚のトップとしてお客様にはエネルギーをお届けしないといけないので、非常に“男役度”が問われる役ですね」とコメント。美園は「エマは、ハリウッドで大女優として成功を収めた人。なので、等身大の私では演じるのが難しいと今でも思っているのですが、彼女は1人の人間としての幸せを強く求めている女性でもあるので、そういった感情移入できる部分で気持ちを作ってまいりました」と真摯に語った。

最後に、珠城は「前回途中から休演していた月城が今作で復帰し、私をそばで支えてくれる立場になりましたし、また鳳月さんが花組から戻ってこられるなど、組の環境が大きく変わりました。こんなときだからこそ、トップである自分たちが率先して“自由に表現する”ことを楽しみながら、組のみんなを率いていきたい」と意気込みを述べ、美園は「私もトップとしての責任は感じておりますが、1つの役を一生懸命に演じるということに変わりはありません。珠城さんについて、これからもがんばってまいります」と決意を新たにし、会見を締めくくった。

上演時間は30分の幕間休憩を含めて約3時間。公演は12月28日まで。

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宝塚歌劇月組「日本オーストリア友好150周年 UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』」

2019年10月4日(金)~11月11日(月)※公演終了
兵庫県 宝塚大劇場

2019年11月29日(金)~12月28日(土)
東京都 東京宝塚劇場

作曲・作詞:ラインハルト・フェンドリッヒ
脚本:ティトゥス・ホフマン、クリスティアン・シュトゥルペック
オリジナル・プロダクション:ウィーン劇場協会
潤色・演出:齋藤吉正

キャスト

ジョージ・エードラー:珠城りょう
エマ・カーター:美園さくら
リチャード・ラッティンガー:月城かなと
ヴォルフガング・エードラー:鳳月杏
ロミー・エードラー:海乃美月
パブロ・ガルシア:暁千星
ほか

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