村上春樹の短編小説集を原作とした「神の子どもたちはみな踊る after the quake」が、7月から8月にかけて上演される。
村上の「神の子どもたちはみな踊る」は、阪神大震災をテーマにした作品を集めた短編集。2005年には、同作から「かえるくん、東京を救う」「蜂蜜パイ」の2つを取り上げてフランク・ギャラティの脚本により、アメリカで舞台化されている。本作の上演は蜷川幸雄と村上の作品がコラボレートする「Ninagawa ×Murakami」の第2弾として構想されていたが、蜷川の逝去により中断していた。本公演では
村上の短編集の中で「神の子どもたちはみな踊る」が最も好きだと言う倉持は、「戯曲は、モノローグを駆使することによって、過去と現在、現実と虚構を行き来しながら展開します。それらの継ぎ目をなだらかにつなげて、一枚の絵として演出したいと考えています」と意気込みを語る。また古川は「映像では味わえない、お客様の前で生でお芝居をするライブ感を楽しみにしながら、稽古に励みたいと思います」と期待を述べた。
公演は7月下旬から8月中旬にかけて東京・よみうり大手町ホールで行われるほか、愛知、兵庫での公演も実施される。東京公演のチケット一般販売は5月11日にスタートする予定だ。
倉持裕コメント
村上春樹さんの小説は十代の頃から読み始め、新刊が出るのが最も待ち遠しい作家でした。俯瞰した視点、ふとしたきっかけに異世界に深く潜っていく展開など、作劇する上で多大なる影響を受けました。今回の芝居の原作「神の子どもたちはみな踊る」は、短編集の中で最も好きな作品です。戯曲は、モノローグを駆使することによって、過去と現在、現実と虚構を行き来しながら展開します。それらの継ぎ目をなだらかにつなげて、一枚の絵として演出したいと考えています。キャストには素晴らしい俳優が揃いました。古川雄輝さんとは、主演された「イニシュマン島のビリー」を拝見して以来、いつかご一緒したいと思っていました。静かに、強い信念を崩さないムードが役に合っています。松井玲奈さんは非常に知的な印象で、インテリな役のイメージにぴったりです。何度もご一緒している川口覚さんは、誠実な男も軽薄な男もどちらも似合う俳優です。木場勝己さんは、シアターコクーン「8月の家族たち」が印象的でした。ファンタジックなキャラクター「かえるくん」を、毅然と、楽しんで演じて頂けたら、と期待しています。
古川雄輝コメント
村上春樹さん原作の作品に主演させて頂き、大変光栄です。沢山いらっしゃる原作ファンの皆様の期待にも応えられるように努力したいと思います。台本をいただいた時に、村上春樹さんならではの世界観を持った物語だと感じました。初めてご一緒させていただく倉持さんのもと稽古を通して、淳平の心情を繊細に表現できるように、役者として少しでも成長できるように頑張りたいと思います。また初共演の松井玲奈さんとのお芝居も楽しみです。淳平と小夜子の距離感をリアルに演じたいです。先輩の木場勝己さん川口覚さんからは、たくさんのことを吸収できるよう勉強させて頂きます。映像では味わえない、お客様の前で生でお芝居をするライブ感を楽しみにしながら、稽古に励みたいと思います。
松井玲奈コメント
村上さんの作品に深く触れていきたい、と思っていた時にこの舞台のお話があり、なんというタイミングだろうとびっくりしました。震災をテーマにした作品はいつだってやるべき時にあるのだなと、感じずにはいられない作品です。私が演じる小夜子という役には、原作には書かれていない、彼女の複雑な心情があるなと思っています。言葉にできない感覚的な思いというのは、女性が心の中に留めがちなものだと思うので、自分なりにどう表現できるのか挑戦だと感じています。今回始めて演出を受ける倉持さん自身もこの作品をどう表現するのか思考を巡らせていらっしゃったので、頭の中のプランがどんな風に形になっていくのかが今からとても楽しみです。初共演の古川雄輝さんも、小夜子と沙羅の二人に優しく寄り添い見守ってくださると思います。
川口覚コメント
村上春樹さんの作品を役者として探究できる事に感謝と興奮しています。
倉持さんの演出を受けるのは3度目になります。
倉持さんとの作品作りは、楽しかったり苦悩したり、その都度、自分にとって必要な事を必ず気付かせてくれる贅沢な時間です。
細胞を鋭敏にし、倉持さんのイメージを体現できるよう、共演者の方々、全スタッフの皆様と共に邁進して参りたいと思います。
木場勝己コメント
村上春樹さん原作の舞台、「海辺のカフカ」のパリ公演本番中になります。
その村上さんの作品、「神の子どもたちはみな踊る」に再び出演することになりました。私の役は、「ナカタさん」から「かえるくん」に変わります。この二つの役に共通しているのは、数奇な運命と成し遂げなければならない使命であります。もう何も考えません。今回初めてになる演出の倉持裕さんに、すべてをお任せしようと思っています。
「神の子どもたちはみな踊る after the quake」
2019年7月31日(水)~8月16日(金)
東京都 よみうり大手町ホール
2019年8月21日(水)・22日(木)
愛知県 東海市芸術劇場 大ホール
2019年8月31日(土)・9月1日(日)
兵庫県 神戸文化ホール 大ホール
原作:村上春樹
脚本:フランク・ギャラティ
演出:
出演:
※初出時より、公演日程を追記しました。
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