来年2019年2月に上演される「HANAGO-花子-」の記者発表会が、本日10月24日に東京・セルリアンタワー能楽堂で行われた。
2008年にスタートした「伝統と創造」シリーズは、日本の伝統的な様式を持つ能楽堂をコンテンポラリーダンスの振付家がどのように解釈し扱うかを問う企画。その第10弾「HANAGO-花子-」では、演出・振付に
記者発表会には森山、酒井、津村、作曲を担当する
同シリーズに第1回から携わっている酒井は「10作目に参加させていただけることを心から幸せに思います」と感慨を述べつつ、「(森山)開次さんの作品で、才能豊かな方々とご一緒できる貴重な機会。1つひとつの稽古を心に刻みながらがんばっていきたいです」と語る。また自身が演じる花子については「恋に生き、愛に生きた彼女の美しい人生を細やかに表現できたら。全身全霊を込めて挑みたいです」と言葉に力を込めた。
シリーズ過去9作すべてに出演してきた津村は「60代半ばから多彩なアーティストの方々とご一緒させていただき、振付家・演出家の方々にお任せしながらやってきましたが、私から『できません』と言ったことはなく、毎回チャレンジさせていただきました」と振り返る。また共演者2人について「開次さんとはセルリアンタワー能楽堂の作品のほか、薪能でもご一緒していたり、酒井はなさんともご一緒する機会が多かったです」と明かし、「花子という名前の2人の女性の生き様をドッキングさせるという、森山さんのアイデアと勇気に驚きながら、能とは違う様子の作品になるのかなと楽しみにしております」と期待を込めた。
さらに津村は森山に対し「開次さんも相当キャリアを積まれてきました。男性の舞踊家だと、例えば大野一雄さん、田中泯さんがいらっしゃいますが、開次さんには彼らとはまた違った身体と精神性を持って、これから五十、六十代と踊っていっていただきたい。たぶんそのときは私はこの世にいないんですけれども(笑)、そんな思いを持っています」と笑いを誘いつつ、真摯に語った。
音楽を担当する笠松は「50歳近くになって、日本の伝統文化に根ざしたものと、どう向き合っていくか?ということを始めました。そこから10年近く経ち、いろんなことにようやく整理がついてきたときに今回のお話をいただきました。独自の面白いものを作って、皆さんをびっくりさせられる作品ができればと思っております」と話す。また新居は「僕のブランド(Eatable of Many Orders)は“衣食住”をテーマにしていまして、“Eatable”というのは“食べられる”という意味。僕自身が木工をしていることもあって、今回は衣装だけではなく、新たなことにも挑戦してみたいと思っています」と展望を語った。
記者から、酒井と初共演を果たす心境を問われた森山は「(酒井)はなさんと一緒に舞台に立つのがあこがれで、それが叶ってうれしく思います。はなさんに合わせて何の演目ができるか、時間をかけて悩み、1演目に絞れずに2演目を掛け合わせることになりました。はなさんの“はな”とかけて『花子』を選んだわけではないんですが(笑)、踊りの技術のみならず表現力に長けた方ですので、花子という女性の一生を演じていただけると思い、この演目に決めました」とエピソードを明かす。この話を受け、酒井は「開次さんの作品をたくさん拝見していて、素敵だなと感じ、いつかご一緒できることがあるのだろうか?と思っていた矢先でしたので、今回ご一緒できることがうれしくて仕方ないです。開次さんの世界観に対し、これまでの経験、技術、表現の引き出しをすべて出していきたい」と意欲を見せた。
最後に森山は「私自身の舞踊家としてのテーマに、津村先生からいただいた“狂う”という言葉があります。能の世界には“女物狂い“といったように“狂う”キャラクターが登場しますし、“狂う”には舞う、演じるという意味もありますので、舞踊家としてそこを突き詰めたい」と意欲を見せ、「強い思いがあって狂っていく姿には美しさが秘められていると思います。今回の演目も“狂い物”なので、美しさをうまく引き出していけたら」と目標を掲げた。
公演は19年2月22日から25日まで東京・セルリアンタワー能楽堂にて。チケットは、MY Bunkamura先行販売が11月4日10:00から、一般販売が11月22日10:00にスタートする。
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