明日10月1日に東京で開幕する「sutra スートラ」。その演出・振付を担当した
会見冒頭で、記者から少林武僧の魅力を聞かれたシェルカウイは、「武僧たちは肉体の動きを通じて、自身の精神を追求している。そこに振付家としてダンスを追求するときの感覚と似たものを感じました。また嵩山少林寺を訪れた際には、彼らがいつも一つのコミュニティーとして共存していることに感銘を受けましたね」とコメント。その上で「この作品は、従来とは違う角度から嵩山少林寺の武僧を見るところから始まりました。この作品では21世紀を生きている武僧たちを描きたいと思いましたし、少林拳をコンテンポラリーな形で表現することも可能だと考えました」と続ける。
一方のジャハオは、「この作品からは新しさを感じています」と言い、「少林拳の伝統と西洋のダンスのコラボレートに立ち会うということは新鮮な体験ですし、ここから新しい文化が生まれたと感じます」と続ける。また、稽古では不慣れなこともあったが、「シェルカウイさんはいつも私たちの意見をちゃんと聞いてくださいますし、なにかあればすぐ相談させていただける。だから今はまったく問題はありません」と信頼関係の強さを感じさせた。
また本作では、箱が重要な意味を持つセットとして登場する。シェルカウイは「私は箱の中を、人が生きているときに与えられている個人的な空間として捉えています。そして、その一つひとつを重ねることで、壁や階段、寺院などが生まれていく。このセットは友人の美術家アントニー・ゴームリーによるものですが、観客が自分自身の想像力を駆使できる余白を残しているのが素晴らしいと思います」と説明する。
最後に、作品に込めた思いを聞かれたシェルカウイは「死の後にはまた生があるということ。輪廻ですね」と即答。「この作品をご覧いただくと、すべてが壊れ、終焉を迎えたように思える瞬間から、また新たなものが構築されていきます。それは生と死というテーマに繋がっていき、だから物語は終わることがないのです。是非、日本のみなさんにこの公演を楽しんでいただければと思います」と語った。
本家少林寺で武術を体得した武僧が、一糸乱れぬ群舞とアクロバットで客席を圧倒し、世界60都市で上演された「sutra」。今回の東京公演では、演出と振付を担当するシェルカウイ自身がダンサーとしても舞台に上がる。彼は、厳しい戒律にのっとり修行を続ける現役の武僧たちとともに少林寺に2カ月間滞在。国や文化の違いを超えた迫力のパフォーマンスを完成させたことでも話題が集まっている。公演は、東京ののち、愛知・福岡でも行われる。
「sutra スートラ」
2016年10月1日(土)・2日(日)
東京都 Bunkamuraオーチャードホール
2016年10月5日(水)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2016年10月8日(土)
福岡県 北九州芸術劇場 大ホール
演出・振付:
舞台美術:アントニー・ゴームリー
音楽:サイモン・ブルゾスカ
出演:シディ・ラルビ・シェルカウイ、少林寺武僧
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