建て替えにともない、昨日8月7日をもって一時休館した東京・パルコ劇場にて手締め会が行われた。
登壇したのは、休館前最後の公演となった「ラヴ・レターズ」に出演した
渡辺は、伊丹十三の演出で1995年に上演された「ピサロ」をきっかけに映画やテレビドラマのオファーが増え、2013年の三谷幸喜の作・演出作品「ホロヴィッツとの対話」に主演したことでミュージカル「王様と私」のブロードウェイデビューにつながったエピソードを明かす。「出演すると次の高いステップに行くという、僕には縁起の良い劇場でした。3年の休館は演劇界の損失かもしれませんが、新しくなった劇場にまた呼ばれたいと思っています」と語り、休館の名残を惜しんだ。
渡辺謙コメント
舞台デビューは35年前にパルコ劇場で蜷川さんが演出した「下谷万年町物語」でした。舞台上に不忍池を作ったのですが、一幕は池の中の演技が多くてずぶぬれで、二幕は暗転からの板付き。目まぐるしく、中日ぐらいで逃げ出したくなったものです。でも、その後に出演したパルコ劇場での伊丹十三さんの舞台「ピサロ」が縁で映画「たんぼぼ」に出演することになったり、朝ドラから大河の話がきたりと映像の仕事が増えていきました。そのうちに映像の仕事が主になり、12年間ほど舞台には出ていなかったのですが、そろそろ舞台もと考えていたところでパルコさんから声がかかり、「ホロヴィッツとの対話」に出演したことが自分の中で「やはり舞台を」という気持ちになったことが、ブロードウェイのお話につながります。出演すると次の高いステップに行くという、僕には縁起の良い劇場でした。3年の休館は演劇界の損失かもしれませんが、新しくなった劇場にまた呼ばれたいと思っています。
南果歩コメント
兵庫から出てきた少女のアンテナには引っかかってこなかったものが、ここに来ればいろいろ発信しているという劇場で、演劇少女たちにとってのメッカだったと思います。夏目雅子さんの初舞台に当日券に並んだりしたこと、個人的に、1995年の「クラウドナイン」出演中に妊娠していることがわかり、他の共演女優さんたちから励ましていただいて乗り切ったり、思い出も様々です。毎年、年明けは「志の輔らくご」で始まっていたのに、来年からどうしたらいいのか……(笑)。渡辺との共演は、気仙沼でのチャリティー公演で上演した「ラヴ・レターズ」のみだと思っていたのですが、まさかまたお声をかけていただけるとは……。ただ、パルコ劇場の最後を飾るのは大変な重圧で、幕が上がるまで「どうして引き受けたんだろう」と、ずっと一人でぶつぶつ呟いていました(笑)。最後の言葉は「ラヴ・レターズ」のセリフを借りて、「ありがとう、パルコ劇場」です。
青井陽治コメント
私が翻訳・演出した朗読劇「ラヴ・レターズ」は、26年間もの長い間パルコ劇場で上演されましたが、劇場としての最後の一週間を飾らせていただくことになるとは思ってもいませんでした。実はもともと劇団四季で俳優をしていて、パルコ劇場のこけら落とし公演でコーラスとして参加していました。私にとって、俳優・訳詞・翻訳・オリジナル脚本・演出の5種目を制覇させてもらったのはパルコ劇場だけです。今日が最後だと思わないようにしてきましたが、家に帰ったらきっといろいろ思い出して名残惜しくなるんだと思います。先日行われたパーティーで、劇場の床にメッセージを書いてくれというので「僕は君と結婚した!」と書きました(笑)。
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- パルコ劇場 2016.8.7 CLOSE|PARCO STAGE
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[エンタメ]パルコ劇場休館の手締め会に渡辺謙、南果歩、立川志の輔らが参加 - ナタリー https://t.co/nvWz6aEkcu 昨日8月7日をもって一時休館した東京・パルコ劇場での手締め会に参加した登壇者ら。左から青井陽治、南果歩、渡辺謙、立川志の輔、志田未来、佐藤隆太…