次々と新たな作り手が頭角を表す演劇界。数ある劇団の中から、ジャケ買いならぬ“劇団名買い”で観劇に行った経験はないだろうか。チラシやニュース、SNSなどで目にする劇団名は、シンプルなものから不思議な音の響きを持つもの、「どういう意味?」と目を引くものまでさまざまだが、それには名づけ主の希望や願い、さらには演劇的活動戦略が込められているはず。このコラムでは多彩な個性を放つ若手劇団たちの、劇団名の由来に迫る。劇団名が持つ秘密と共に、未来の演劇界を担う彼らの活動の軸を紐解いていく。
11番目に登場するのは、シェアハウスする5人のメンバーから成る、2017年結成の
サルメカンパニー
Q. 劇団名の由来、劇団名に込めた思いを教えてください。
全員、桐朋学園芸術短期大学の卒業生で、在学時代に大学の教授から主宰・石川湖太朗が「劇団を旗揚げしてみては?」と提案を受けて、旗揚げに至りました。
劇団名は、天鈿女命(あめのうずめのみこと)という演劇の母ともうたわれる女神の子孫である猿女の君(さるめのきみ)が由来となっています。
劇団のロゴマークは、メンバーのLINEグループ名“猿缶”からHATERUMOFUTOにイラストを描いてもらいました。人類の進化の様子と進化した猿が手に持つ缶詰。旗揚げ当初、「サルメカンパニーを略してサルカンって呼ばれるのかな?」とLINEのグループ名を“猿缶”にしたのですが、“サルメ”と言われることがほとんどです(笑)。
人類の進化のように、劇団としてもステップアップし続けたいという思いからこのロゴが生まれました。
Q. 劇団の一番の特徴は?
やはり、“全編生演奏”であるということです。演劇は生の人間がその瞬間、舞台で生きるというのが醍醐味だと思います。1回1回スピード感や間、セリフの音色も違う。それは音楽も然り。サルメカンパニーで演奏してくれるバンドメンバーは役者1人ひとりの間感や声の大きさを繊細にくみ取って演奏します。ただの楽隊ではなくもはや役者です。そして俳優たちもその音楽を感じて演技する。“演劇と音楽の共存”を目指して作品作りに励んでいますが、芝居と音楽を合わせての稽古は毎回楽しみになっています。
Q. 今後の目標や観客に向けたメッセージをお願いします。
旗揚げから5周年という節目に、記念公演として東京芸術劇場 シアターウエストにて「スウィングしなけりゃ意味がない」を上演できること、本当にうれしく思います。劇団旗揚げから「いつか芸劇で公演を打つんだ」と言っていた私たちにとっては、大きな公演です。ですがこれがゴールではなく、もっともっと多くの人たちにサルメカンパニーの作品を届けるきっかけになればと思います。観に来てくださるお客様の“面白かった!”が、観に来るたびに更新されるような作品を作り続けることが目標です。
プロフィール
2017年11月に結成、2018年に旗揚げ公演を行った。主宰は石川湖太朗。「佐藤佐吉演劇賞2021」で最優秀演出家賞を含む6部門受賞。メンバーは全員でシェアハウスをしており、その様子やバンド演奏の動画をYouTubeチャンネルで100本以上投稿している。2024年1・2月には福田善之による書き下ろし「文明開化四ッ谷怪談」を上演予定。
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遠藤真結子(サルメカンパニー) @endo_mame8
19日マチネ終わりました!
本日は残り18:00からのソワレ!
土日、観たくても観られないかも・・というくらいパンパンなので、今夜、ラストチャンスかも🔥....
そんな今、ナタリーさんに😳!!ありがとうございます! https://t.co/CWhDx6F1wy