細野晴臣が「細野さんと晴臣くん」を体験、母校で青春時代を回顧

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細野晴臣の企画展「細野さんと晴臣くん」が、彼の母校である東京・立教大学のライフスナイダー館で開催中。オープンに先駆けて5月30日にライフスナイダー館および隣接する日比谷松本楼 セントポールズ会館店にてレセプションパーティが行われた。

細野晴臣(左)と原田郁子(右)。

細野晴臣(左)と原田郁子(右)。

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「細野さんと晴臣くん」とは?

「細野さんと晴臣くん」看板

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「細野さんと晴臣くん」は、細野のデビュー55周年記念プロジェクトの第1弾として企画された入場無料の展示イベント。細野が学生の“晴臣くん”時代に描いたノートの落書きなどに、現在の“細野さん”が言葉を添えたユニークな企画だ。企画編集 / デザインは、今秋オープンするデジタルミュージアム「HOSONO MANDALA」と同様、日本デザインセンター三澤デザイン研究室および同社のライターが手がけている。レセプションでは一足先に展示が公開されたほか、細野と原田郁子によるライブが行われ参加者たちを楽しませた。

都会の喧騒を離れ、細野晴臣の対話を楽しむ

ライフスナイダー館の外観。

ライフスナイダー館の外観。[拡大]

会場となっているライフスナイダー館は、1926年から翌年にかけて当時の立教学院総理であるライフスナイダーの邸宅として建設された建物。現在は壁面がびっしりと蔦で覆われ、独特の味わいを醸し出す記念館として学部の内外から親しまれている。そんな年季の入った味わいのあるライフスナイダー館に足を踏み入れると、手入れの行き届いた柔らかな絨毯床と、落ち着いたトーンの照明で彩られたエントランスホールが来場者をお出迎え。エントランスの向こうに広がる展示エリアは、「映画と晴臣くん」「音楽と晴臣くん」「漫画と晴臣くん」「晴臣くんと細野さん」という4つの“ダイアローグ(対話)”をテーマにしたブロックに分かれており、都会の喧騒を離れた静けさの中、細野を形成した作品の数々を目と耳で楽しめる構造だ。

耳を近付けると音楽が聞こえるスポットも。

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机から流れる音楽に耳を傾ける細野晴臣。

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ライフスナイダー館で使われているテーブルに敬意を表して作られたという展示台は、一見すると建物同様に年季の入った逸品だが、耳を近付けることで細野選曲の音楽が聴けるスピーカーや、机上に置かれた小さな切り絵が踊る特殊なシステムなどを内蔵。内装や照明もライフスナイダー館の雰囲気に添った落ち着いたトーンでまとめられているのも特徴で、古きよきものと最新技術が同居している。

「細野さんと晴臣くん」の様子。

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テーブルに刻まれた言葉の数々は温かな眼差しにあふれ、1つひとつが観る者に味わい深い余韻を残す。また、主となる4つの“ダイアローグ”とは別に、会場の一角には細野が高校時代に参加していたフォークバンドであるオックスドライヴァーズの曲が聴けるコーナーも。楽器を持った4体の人形がクルクルと回る展示には、現在の細野が懐かしそうに当時を振り返る言葉が添えられ、時空を超えて“細野さんと晴臣くん”の共演が実現している。

細野晴臣、母校で歌い、語り、“アイビー歩き”で去る

「細野さんと晴臣くん」を内覧する細野晴臣。

「細野さんと晴臣くん」を内覧する細野晴臣。[拡大]

細野晴臣

細野晴臣[拡大]

会場に隣接するレストラン、日比谷松本楼にて立食パーティ形式で行われた細野と原田郁子のライブ。大きな拍手に迎えられて登場した細野は、今回の展示会について「一番の印象は恥ずかしいということです(笑)。自分のことなんですけど、人ごとのように感じます。母親が全部捨てなかったから、こんなことになっちゃった。家系ですね。僕も捨てられないんで」とコメント。続けて「立教大学、素晴らしいですね。こんなところに僕はいたのかと」と学生時代を懐かしみつつ、「在学中いろんな人に会って、はっぴいえんどができた。僕は卒業するときに単位が足りないと言われて、はっぴいえんどのことを延々と卒論に書いたんですよ。先生がいい人なのか、なんなのか、それで卒業できたんです」とユーモア交じりに卒業時のエピソードを語った。この日のライブでは2曲が演奏された。原田を呼び込んだ細野はガットギターによる弾き語りで、まずは「アーユルヴェーダ」を演奏。原田はパーカッションとコーラスを担当し、細野の歌と演奏にさりげない彩りを添えた。

「細野さんと晴臣くん」の様子。

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演奏を終えた細野は再び青春時代の思い出を振り返る。映画「ベン・ハー」をきっかけにキリスト教に興味を持ち、進学時にキリスト教系の学校として真っ先に思い浮かんだのが立教高校だったこと、当時全盛だったアイビールックに身を包み銀座のみゆき通りに繰り出していたこと、バンド活動に明け暮れた大学時代はいつもお金がなく、学食で100円のハムサラダを好んで食べていたことなど、穏やかな口調で語られるエピソードの数々に来場者は興味津々で耳を傾けていた。2曲目に演奏されたのは「バナナ追分」。星野源と歌詞を共作したこの曲をじっくり歌い届けた細野は、「じゃあ最後に」と、学生時代にアイビー少年たちの間で流行っていたという“アイビー歩き”を披露してステージをあとにした。

なお、本展の会場では、展示物を1冊の本として編み直した冊子「細野さんと晴臣くん」やオリジナルグッズを販売中。入場は事前予約制で、6月30日まで行われる。

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企画展情報

細野さんと晴臣くん

2025年5月31日(土)~2025年6月30日(月)東京都 立教大学 池袋キャンパス ライフスナイダー館

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ななしの @nanashino

年季の入った西岸良平の単行本!さすがです https://t.co/SuU9gTkKci

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