日本語ラップ黎明期から活動するLIBROの人生初ワンマン、その歩みが豊かに実を結んだ“収穫祭”

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ラッパー / ビートメイカーのLIBROが5月25日に東京・LIQUIDROOMでキャリア初のワンマンライブを開催した。

LIBRO

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「いけいけいけいけ!」の大合唱

LIBRO「なかいま」ジャケット

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なかいま

LIBRO「なかいま」
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日本のヒップホップシーンの黎明期である1997年にデビューしたLIBROが、最新アルバム「なかいま」のリリースを記念して開催した本公演。当日は国内最大規模のヒップホップフェス「POP YOURS」の開催日でもあったが、LIQUIDROOMはあふれんばかりの人で埋め尽くされた。客層の中心は子連れも含むLIBROに近い世代のファンだが、若い日本語ラップヘッズもチラホラ。LIBROの長年の活動が、しっかりと実を結んでいることがフロアのにぎわいから伝わってきた。

LIBRO

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大盛り上がりの客席。

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ライブは予定時刻を少し過ぎて開演。この瞬間を待ち侘びたファンの大歓声が広がる中、ステージを覆っていた幕が開くと、パソコンの前に立って自ら音出しするLIBROが姿を見せる。1曲目はアルバムのリード曲「運命が君に会いにきた」。軽快なビートに乗って、LIBROは今この瞬間に向かっていく前向きな姿勢を歌い上げ、マイクを向けられたファンは「いけいけいけいけ!」と叫びながら拳を振り上げる。あまりの一体感にみんな笑ってしまうほどの大盛り上がりでライブはスタートした。

力強いDAG FORCEの歌声と元晴のサックス

LIBROとDAG FORCE。

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リラックスしたトークで笑いを起こしつつ、“清々しさ”と“鎮魂”を2大テーマとする最新アルバム「なかいま」の収録曲を次々と披露していくLIBRO。「涙の代わりに」「ありがとう」といったゆったりした曲でも、LIBRO節のラップとビートに観客は声を上げて喜び、「息吹」ではゲストのDAG FORCEがグイグイと力強く伸びる歌声で、まさに天まで登っていくような高揚感を観客にもたらしていく。

元晴とLIBRO。

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コンシャスなメッセージソング「たった今(僕らの情報戦争)」に続くアッパーチューン「破」では、元晴がサックスを高らかに演奏。LIBROは「始めなきゃ始まらないこと 始めたもんにしかわかりません 壁の向こうにも先があること 続けたもんには当たり前」とリズミカルに歌い上げ、“清々しさ一直線”でライブは進んでいく。

抜群のコンビネーションを見せたポチョムキン

ポチョムキンとLIBRO。

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LIBROとポチョムキン。

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30年近いキャリアにして初のワンマンということで、最新アルバムだけでなく、過去の楽曲も当然披露される。元晴退場後、ユニット・鶴亀サウンドとして活動をともにするポチョムキン(餓鬼レンジャー)を迎え入れたLIBROは、ポチョムキンの楽曲「オマジナイ」に加えて、2016年にリリースした自身のアルバム「風光る」の収録曲「NEW」で彼とコラボ。息の合ったパワフルな掛け合いにより、会場のボルテージを一層引き上げた。

LIBROはそこから活動初期の1998年まで一気に時をさかのぼると、その名を日本語ラップ史に刻み込んだ1stアルバムの表題曲「胎動」で往年のファンを歓喜させ、前作「なおらい」の収録曲「小道を行けば」に続いては、Red Bullの企画で生まれた曲「64 Bars」を披露。Sweet Williamが手がけた穏やかなビートに乗って、64小節ひたすらラップし続けてみせた。

今があるのは漢のおかげ

“大泉の水”で乾杯するLIBRO、D.O、漢 a.k.a. GAMI。

“大泉の水”で乾杯するLIBRO、D.O、漢 a.k.a. GAMI。[拡大]

近年は精力的に作品を発表しているLIBROだが、長らく表舞台から姿を消していた期間があり、彼がラッパーとしてシーンに復帰するには、ある人物の後押しが必要だった。ライブ中盤、シーン復帰後の2015年に鎖グループ傘下のレーベルBLACK SWANから発表した「音信」を披露したLIBROが、楽曲の背景を語り始めると、D.Oが紙コップを乗せたお盆を持って登場。そこへLIBROの恩人である漢 a.k.a. GAMIも呼ばれる前に現れる。

漢 a.k.a. GAMIとMEGA-Gを迎えた「マイクロフォンコントローラー」のパフォーマンスの様子。

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D.Oが持ってきた“大泉の水”を3杯も飲まされたLIBROは、ほかでもない漢 a.k.a. GAMIに背中を押されて再びラップした結果が今この瞬間なのだと語ると、漢 a.k.a. GAMI、MEGA-Gとともにラッパー道を歌う「マイクロフォンコントローラー」へ突入。熱くラップする漢 a.k.a. GAMIとMEGA-GからLIBROにつながるドラマチックなマイクリレーが観客の心を打った。

嶋野百恵や鎮座DOPENESSも現れ、“収穫祭”はフィナーレへ

嶋野百恵

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鎮座DOPENESS

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その後も勢いが衰えることなくライブは進み、2003年にリリースした「三昧」のリミックスバージョンに続いては、再び1998年の名盤「胎動」からシンガーの嶋野百恵を迎えた「対話」とLIBROの代表曲「雨降りの月曜」が披露され、観客は熱狂。さらに「POP YOURS」での出番を終えた鎮座DOPENESSが駆け付けると、彼が参加した前作収録曲「ヤッホー」と最新アルバム表題曲「なかいま」でポジティブなバイブスが爆発し、これ以上ないほど爽快な空気が会場中に広がった。

ゲストに見守られながらパフォーマンスするLIBRO。

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開幕から盛り上がり続けたライブもいよいよ終わりに近付く中、LIBROはここまで登場してきたゲストたちに見守られながら残りの楽曲を披露。前作収録曲「なおらい」「プレイリスト」を経て、最新アルバムのラストナンバー「CATS」を愛する猫の映像が流れる中で歌う。そして、この日集まったゲストやファン、関係者に改めて感謝を伝え、「次の“収穫祭”は12月くらいに考えております」と宣言したLIBROは、「時は来た」と告げる「ハーベストタイム」を最後に歌唱。アンコールはなく、スパッとライブは締めくくられたが、興奮を抑えきれない様子で感想を口々に言い合う観客たちの姿がライブの成功を物語っていた。

セットリスト

LIBRO「『なかいま』Release One Man Live」2025年5月25日 LIQUIDROOM

01. 運命が君に会いにきた
02. 涙の代わりに
03. ありがとう
04. 息吹 feat. DAG FORCE
05. SKIT(間騒)
06. たった今(僕らの情報戦争)
07. 破 feat. 元晴
08. SKIT(余韻)
09. シグナル(光の当て方次第影の形)feat. 元晴
10. Intro 鶴亀サウンド
11. オマジナイ feat. ポチョムキン
12. NEW feat. ポチョムキン
13. 胎動
14. 小道を行けば
15. 64 Bars
16. 音信
17. マイクロフォンコントローラー feat. 漢 a.k.a. GAMI, MEGA-G
18. 三昧 Remix
19. 対話 feat. 嶋野百恵
20. 雨降りの月曜
21. ヤッホー feat. 鎮座DOPENESS
22. なかいま feat. 鎮座DOPENESS
23. なおらい
24. プレイリスト Remix
25. CATS
26. ハーベストタイム

LIBRO "運命が君に会いにきた"

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Photo by up_tyo

読者の反応

odila @odila_odila2023

@natalie_mu LIBRO初のワンマンライブは、まさに“収穫祭”🌾
日本語ラップの歩みを感じる濃密な夜。
豪華ゲストに支えられ、会場は終始笑顔に包まれていた。
#LIBRO #なかいま

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