グソクムズが音源集「グソクムズカン」発表、新曲「夏が薫る」や初期音源をコンパイルした1枚

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グソクムズの新作音源集「グソクムズカン」が7月6日に配信、9月7日にアナログ盤でリリースされる。

グソクムズ

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本作はモータウンビートが印象的な新録音のサマーチューン「夏が薫る」をはじめ、昨年12月発表の1stアルバム「グソクムズ」未収録の初期音源にニューミックスおよびリマスタリングを施した全10曲を収録した1枚。音楽ライター・松永良平(リズム&ペンシル)による寄稿文も公開されており、彼はその中で「あらためてこの時期のグソクムズを聴いていると、『変わらないな』と思える安心感と、『ここより先』を期待させる感覚の両方がある。未完成とか未成熟というより、彼らがその時期その時期の自分たちと正直に向かい合って音楽を作ってきたことの証明を見せられているような気持ちだ」と、本作をひと足先に試聴した感想をつづっている。

また今回の発表と併せて、グソクムズの新たなアーティスト写真と「グソクムズカン」のアートワークも公開。アーティスト写真の撮影は写真家・小財美香子、アートワークの制作はイラストレーター・しばたけんとが担当した。

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グソクムズ「グソクムズカン」収録曲

01. 夏が薫る
02. 笑い声の方へ
03. 肩透かし
04. ヘイヘイ
05. 雨ふらし
06. 獏に願いを
07. 夏の知らせ
08. けやき通り
09. 北風燦々恋心
10. 風の中で

松永良平(リズム&ペンシル) 寄稿文

 「ネオ風街」という言葉を耳にしたり、口にしなきゃいけない場面で、ちょっとだけ口ごもる。わずかな抵抗感。でも、その衣擦れっぽいささやかな摩擦感を、心地よく感じている自分もいる、じつは。
 それは、グソクムズのファースト・アルバム『グソクムズ』の取材のとき、たなかえいぞを(ヴォーカル、ギター)がさらっと言ったひとことが、ぼくの心の奥にあった小さなわだかまりにスッと触れたからだろう。
 「実は僕らのルーツははっぴいえんどではないんです。(はっぴいえんどは)高校生の頃には、特に日本語ロックとか意識せずに邦楽の一種として普通に聴いていたし、二十歳くらいの頃はちょっと目指してましたけど、今はあのままでは売れないだろうなと思うんです」
 別にこれ、不遜な大言壮語ではない。この先に目指すものではなく、すでに通過してきた音楽として、はっぴいえんどを神格化から自由にしているスタンスが、とてもいいなと感じた。
 そもそもグソクムズの結成メンバーであるたなかと加藤祐樹(ギター)のスタートはバンドではなく、フォーク・デュオだった。そして、バンドの理想として考えていたのは、真島昌利のファースト・アルバム『夏のぬけがら』(1989年)や、『氷の世界』(1973年)の頃の井上陽水だったという。この二十数年ほど、すっかり型にはまってしまっていた「風街」の印象に寄せていくのではなく、むしろそんなかっこの付け方とは無縁のところで、自分たちの居場所で、好きな音楽を通じて自分たちらしさが自由になる方法を探していた。それがグソクムズの成り立ちだと言えるだろう。
 二人組で活動していたバンドに、学校の先輩だったベースの堀部祐介、サポートのドラマーだった中島雄士が正式にメンバーとして加わり、現在のラインアップが揃ったのが2018年。堀部、中島が色気のあるプレイのできるリズム隊だったことに加え、ソングライティング力があったこともバンドにとっての幸運だった。さらに言えば、単に「曲が書ける」だけでは、バンドとしての個性がバラバラになりかねない危うさもあるはずだが、堀部、中島の曲は驚くほど自然にグソクムズにフィットした。よく聴くとそれぞれの個性を汲み取ることは可能だが、そこでもたなかのこの言葉がバンドの本質を突いてくる。
 「(誰が曲を書いても)僕が歌を歌って、加藤くんがギターを弾いたら、たぶんグソクムズになると思うんです」
 たなかの発言は、リズム隊に対してフロントのたなか、加藤が自己流で粗っぽいという自嘲を込めた意味合いもあるのだろうが、逆に言えば、「洗練されたシティ・ポップ」というクリシェにグソクムズのサウンドを閉じ込めてしまわずに、もっと広い場所へと放り出せるのは、彼らの力でもある。
 つくづく面白いバランスで成り立っている4人だなと思う。

 本作『グソクムズカン』は、ここまで書いてきたことを裏付けしたようなアルバムだ。書き下ろしの新曲「夏が薫る」、未発表曲「笑い声の方へ」の新レコーディング2曲に加え、ファースト・アルバム以前の2019年から21年にかけて彼らが配信で発表してきたシングル曲、EP『グソクムズ系』(2019年)収録曲を新ミックス、リマスタリングした8曲で構成されている。いわば最新型と初期のグソクムズを体験できるアルバムということになる。古い日記をめくるような、3年前のツイートを見るような感覚といったらいいのかな。
 もちろん初期といってもいちばん古い曲(『グソクムズ系』収録の「肩透かし」「ヘイヘイ」「雨ふらし」)でも発表からは3年ほどしか経っていない。完成度だって舌を巻くほど高い(実際、彼らが最初に話題になったのはその時期だ)。だが、あらためてこの時期のグソクムズを聴いていると、「変わらないな」と思える安心感と、「ここより先」を期待させる感覚の両方がある。未完成とか未成熟というより、彼らがその時期その時期の自分たちと正直に向かい合って音楽を作ってきたことの証明を見せられているような気持ちだ。
 ずっと残っていく音楽に必要なのは「時代を超越した」とか「揺るぎない完成度」ではなく、そのときの自分がちゃんと音楽に刻まれていること。グソクムズなんか知らない誰かが彼らの曲を聴いて、自分と合わせ鏡のように感じる瞬間があるのは、彼らがそのときの自分を隠し立てなく音の中に放ってるからだ。彼らの「あのとき」と、誰かの「あのとき」がまるで違う時間だったとしても、音楽がそれを接着し、音楽が両者を照らし合う。そういう意味で、このバンドのことを、びっくりするくらい「音楽的」だと感じてる。曲作りやアレンジのセンス、アンサンブルが水準以上だということは誰にでもわかるし、それは「音楽技術」の話。何が好きとか趣味や興味の「音楽性」とも違う。大事なのは「自分=音楽」という信頼が、知らず知らずのうちに自分たちの中でちゃんとできあがっていること。そういうバンドは強い。
 『グソクムズカン』を聴いて、その思いがいっそう強くなった。

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読者の反応

中島雄士 @YushiNakajima

新しい音源出すよ〜🙆‍♂️
CD無いので配信orレコードで楽しんでおくれ!
てか写真かわいすぎん?? https://t.co/ur2yzNHyem

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