2018年内をもって解散する
2003年に結成、2005年8月にCDデビューし、数多くのヒットソングを世に送り出してきたAqua Timez。発売と同時にチケットがソールドアウトしたこの日の公演には、解散を惜しむ約1万3000人のファンが集まった。
最後のライブの幕開けを飾ったのは、インディーズ時代の作品「空いっぱいに奏でる祈り」に収録された「上昇気流」。太志(Vo)はOKP-STAR(B)、大介(G)、mayuko(Key)、TASSHI(Dr)の名前を1人ずつ呼び、「一緒にここまできたんだよ」と語りかける。彼らが奏でるビートに合わせ、オーディエンスは手拍子を重ねた。2曲目の「MASK」を終えると最初のMCへ。「緊張している自分を感じながらやってる」と言った太志は「全員で作り上げましょう」と呼びかけて大介の繰り出すビートから始まる「ALONES」へとつなげた。
「Velonica」のイントロではOKP-STARがベースソロを聴かせ、ド派手なライトが感傷を吹き飛ばすように会場中を飛び交う。「生きて」では大介の紡ぐ美しいアルペジオに乗せて、太志が「大ちゃんの最後のアルペジオに乗せて何を言おうかって考えてたんだ。あなたたちがいるから、俺たちはあの日のままでいいんだって思えた。すべて受け止めてくれよ」と語った。
また「つぼみ」や「千の夜をこえて」では5分割されたLEDモニタにメンバーの姿が映し出され、会場にはこの演出に感動の波が広がっていく。13年の歴史を振り返るVTRに続いて、モニタに浮かび上がったのは「back to 2005」の文字。次の瞬間アリーナ後方が照らされ、後方に設置されたサブステージには5人が立っていた。淡い照明の中で軽やかに演奏された「等身大のラブソング」では、オーディエンスが軽快な裏打ちのビートに体を揺らしていた。太志は「1曲目でOKPさん、それとmayukoさん。この女子2名、泣いてました」と言ってファンを笑わせる。「ヒナユメ」ではひときわ大きな歓声と穏やかな手拍子が5人に注がれ、この曲を終えて会場内を練り歩きながらメインステージに戻っていく5人にもまた、大きな声援や言葉がかけられた。
ここで挟まれたMCタイムでは、mayukoが「OKPがライブ前の円陣のときから泣いてた。そのせいでもらい泣きした」と明かした。一方でTASSHIは「なぜか今日からTwitterを始めた太志」をイジり、大介は太志のフォロワーの1人目が自分だったことを伝える。メンバーの自由なおしゃべりに客席には笑顔が広がり、ステージは「アリーナ!」という煽りからメドレーコーナーへ。ここでは「星の見えない夜」「一瞬の塵」「きらきら」といったナンバーが息ぴったりのバンドアンサンブルで届けられていった。
真っ赤な明かりがステージを照らしたクライマックス、バンドは「last dance」を披露したのち本編ラストの「銀河鉄道の夜」へ。ステージ上には星空に包まれるような演出がなされ、この曲のメッセージを歌い届けた5人はステージをあとにした。
アンコールでプレイされたのは「しおり」「真夜中のオーケストラ」。モニタには感極まっていく5人の表情と目元を拭うファンの表情が交互に映し出されていく。続く「over and over」では、メンバー全員が声を重ねる中、太志がまっすぐに前を見てこの曲の優しいメロディを歌い上げていた。ライブがダブルアンコールへと突入すると、太志は「Aqua Timezをやり抜きます」と語る。そして5人は「決意の朝に」を優しく奏でていった。
「手紙返信」では歌声を震わせた太志。“最後の瞬間”がやって来ると、彼は「俺たち5人より優しかったみんな。またどこかで元気な顔で会えるように。みんなで思い切り明るい1曲にしよう」と呼びかけて「虹」へとつなげた。客電がオーディエンスの笑顔や泣き顔を照らし、大きな一体感に会場中が包まれると「みんなホントにありがとう!」と太志が叫ぶ。そして、5人はバンドの歩みに幕を下ろした。