2013年夏、“遠足”をテーマにした野外コンサートとしてスタートし、エビ中の夏の恒例行事としてすっかり定着した「ファミえん」。6度目の開催となった今回は初の2DAYS公演となり、1日目は夕方から夜にかけて、2日目は明るい真昼と、同じ会場ながら日によってムードの異なるシチュエーションが用意された。山中湖周辺は2日間とも天候に恵まれ、目の前にそびえる雄大な富士山もくっきり。会場隣の広い芝生スペースではエビ中メンバー初プロデュースのフードエリア「パクパクうーたん村」が設営され、遠足さながらのリラックスムードに満ちていた。また今回は初の試みとして、フジテレビNEXTおよびフジテレビONEで生中継が実施され、会場に集まったのべ1万1000人の観客のみならず、全国のエビ中ファミリー(私立恵比寿中学ファンの呼称)がリアルタイムでコンサートを楽しんだ。
DAY 1
1日目は“夜のファミえん”をイメージして制作されたオープニングナンバー「ebiture(FAMIEN'18 NIGHT ver.)」で幕を開け、真山りか、安本彩花、星名美怜、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子の6人はフードの付いたスポーティな紅白の新衣装でステージへ。衣装の赤い柄は「エビ中」の文字をデザイン化したオリジナルのテキスタイルだ。クールに登場したエビ中が、今年の「ファミえん」のためにバージョンアップされた初期のナンバー「オーマイゴースト?~わたしが悪霊になっても~」でライブをスタートさせると、会場の至るところに設置されたウォーターキャノンから激しい水しぶきが上がる。肌寒ささえ感じる気候だった会場を一気に温めるがごとく、6人は「禁断のカルマ」「あたしきっと無限ルーパー」「参枚目のタフガキ」と冒頭からアップテンポな楽曲を続けざまに披露した。最年少の中山は「本日はズンズンと暗くなっていく夜のファミえん……なんだか危険な香りがするのは私だけでしょうか」と不敵な笑みを浮かべ、最年長の真山は「見えます見えます。皆さんがニコニコしながら身震いしている姿が。寒さをギャフンと言わせるには盛り上がるしかないわけですよ!」と観客を煽る。「響」では噴水が上がる中メンバーが花道を通り、扇型の客席の中央に伸びるサブステージへと飛び出した。
外は少しずつ夕闇が迫り、薄暗くなった場内は観客が持つペンライトの明かりで染まっていく。ライブ終盤戦には今回の「ファミえん」のテーマソングとして制作された新曲の1つ、高橋久美子(ex. チャットモンチー)が作詞を手がけた「朝顔」が初披露され、さらに「ラブリースマイリーベイビー」「ナチュメロらんでぶー」「summer dejavu」と歴代の「ファミえん」テーマソングが歌われた。アンコールの「スウィーテスト・多忙。」では「打ち上げろ花火」の歌詞にあわせてステージ後方に豪快な花火が打ち上がる。またこの日はメンバーへのサプライズで12月23~25日の千葉・幕張イベントホール3DAYS公演「クリスマス大学芸会」の開催が発表され、最後は今年の「ファミえん」もう1つのテーマソング「イート・ザ・大目玉」でにぎやかに締めくくられた。
DAY 2
13:30に開演した「ファミえん」2日目は、2013年の初回、2014年の第2回でオープニングを飾ったエビ中のお祭りソング「ご存知!エビ中音頭」でスタートした。メンバーの衣装は前日と打って変わって、水風船模様の生地に富士山柄テキスタイルの帯を合わせた和風のデザインで、メンバー曰く「歴代の衣装で一番軽い」とのこと。柏木は「昨日とはまったく違って、明るくて気持ちよくて、内容も違うわけですよ。心の準備しといたほうがいいですよ? 私は今言いましたからね? 知らないよ? この先どうなっても」と観客に期待感を募らせ、小林は「じゃあ私も先に言っときます。えびごろう、ころまる、ころきち、ころえ、ころみ……せっかくなのでキャラクターの名前を覚えて帰ってください!」と1年に1度しか出番のない不憫な「ファミえん」公式キャラクターを紹介した。真山が「ちょっと山びこしてみません?」と背後の富士山に向かって「ヤッホー」と叫ぶと、富士山とは逆方向の客席から「ヤッホー」の声が。そして真山は「後ろに富士山を背負ってるんですよ。富士山の近くなので日本一の声を聞かせてくださいね!」と呼びかけ、観客は大きな声援でそれに応えた。
暑い日中の開催ということもあり、ウォーターキャノンによる演出は前日よりもさらに激しく、客席のみならずステージ上のメンバーをも水浸しにする勢い。「放課後ゲタ箱ロッケンロールMX」ではメンバーが花道を駆け回りシャウトする中、何度も水しぶきが上がる。夏の野外コンサートならではの派手な演出が続いたが、後半「誘惑したいや」からのブロックでは空気が一変し、「ファミえん」で毎年歌われているバラード「いい湯かな?」では真山と柏木の頬に涙が伝う場面も。場内はひとときセンチメンタルなムードに包まれたが、中山の「ファミえんぶっ飛びタイム突入です!」の合図で始まったラストスパートではエビ中も観客も大暴れ。「ゼッテーアナーキー」では場内を巨大風船が舞い、メンバーはステージの外まで飛び出して水風船を客席へ次々と放り投げた。
「イート・ザ・大目玉」で本編が終わってもエビ中ファミリーの熱気は冷めやらず、すぐにアンコールを求める声が上がる。Tシャツに着替えて再登場したエビ中は「感情電車」で伸びやかな歌声を響かせ、毎回異なる結末を迎える「サドンデス」のダンスバトルでは安本が脱落を許されない展開でヘトヘトに。ラストの「ナチュメロらんでぶー」ではステージに無数のシャボン玉が浮かび、「どっかーん」の歌詞に合わせて場内に銀テープが放たれた。華やかな演出でラストを迎えたが、強風で銀テープの多くはステージに戻されてしまう。メンバーはステージの銀テープを拾い上げると花道を伝って観客に手渡し、名残惜しみながらも平成最後の「ファミえん」を終えた。
なおフジテレビNEXTおよびフジテレビNEXTsmartでは1日目の模様が8月22日(水)に、フジテレビONEおよびフジテレビONEsmartでは2日目の模様が8月23日(木)にそれぞれ再放送される。会場に足を運べなかった人、生中継が観られなかったエビ中ファミリーはこの機会をお見逃しなく。またエビ中は9月22日に秋の野外コンサート「エビ中 秋空と松虫と音楽のつどい 題して『ちゅうおん』2018」、11月から12月にかけては全国6会場を回る秋ツアーを行う。