s**t kingz・shojiとGANMI・Sotaの「コレオグラフ研究会2021」 [バックナンバー]
NiziU、TOMORROW X TOGETHER、IVE、aespa、HOSHIらのダンスに注目すべき理由
女性グループの制約ある振り付けから生まれた、フォーメーションで魅せるダンス
2022年5月25日 18:00 86
女性グループに学ぶ構成の妙
──Sotaさんはご自身で振り付けをした
Sota この曲の振り付け、自分のキャリアの中で3本の指に入るくらいの自信作です。最近のK-POPの振り付けは、いろんなコレオグラファーが作った振り付けを採用してツギハギで作られることが多いんですけど、この曲に関しては採用されたうちの98%が俺らの振り付けだったこともうれしくて。体の動きだけで新しさを出すのって、わりと限界があるんですよ。普通は8×4のカウントをその場で踊るであろうところを、8×1刻みでどんどん移動しながら踊ると、同じ振り付けだとしても新鮮さが生まれるんです。
shoji うんうん。
Sota 今、自分はこういう構成を細かく刻む振り付けが得意なんですけど、こういった構成のヒントを得たのはK-POPの女性グループからでした。男性は基本的にステップをたくさん入れられるから、振り付けのバリエーションが豊富なんです。その一方で女性グループは、ヒールを履くことが多いので、足を使う振り付けが少ないんですよ。そこで重要になってくるのが構成。展開はもちろん、画作りにも気合いを入れていて、そこをどれだけ面白く作れるかで勝負している。だから女性グループの振り付けから構成の面でかなり影響を受けています。
shoji 構成や画って大事だよね。曲の頭でメンバーが位置についた瞬間に「この曲が来た!」って思わせられるわけだし。グループの振り付けにおいて“形”はすごく大事な要素だから、俺もそこはすごく意識している部分。振りの頭に形を作るというのは、
Sota IVEもそうだけど、この1、2年でデビューした女性グループで衝撃的だったのはやっぱり
shoji この曲の振り付けを手がけたのはキールトゥーテンだっけ?
Sota あとベイリー・ソクもやっているみたいです。ベイリーってまだ確かまだ10代ですよね。若い(笑)。「Savage」は「この音で取ってください」というのがトラックでしっかり提示されていて、そのリズムを明確に捉えた振りだなと思います。キャッチーなんだけどソリッドさも残っていて、バランスがいいんですよね。aespaの「Next Level」もめちゃくちゃわかりやすい音ハメで、BPMが遅い曲ですけど、リズムに対して振りが正確だから物足りなさを感じさせない。
shoji わかりやすいことはもちろんいいことだけど、ときどき逃げ道がなくて窮屈になることもあるよね。ダンサーってだいたいひねくれているから、「これで取ってください」と言わんばかりのわかりやすいリズムがあると、ちょっと違う取り方を提案したくなる。でも結局 “正解のリズム”で取ってるものがシンプルに一番刺さるんだよね。
Sota わかります(笑)。
shoji aespaもIVEも新人だなんて信じられない(笑)。JYPからもNMIXXっていう新人の子たちが急に出てきたし。
Sota NMIXXの「占(TANK)」という曲の振り付けを手がけたのは、ナインっていう韓国の高校生ダンサーらしいですよ。
SEVENTEENのダンスの魅力、ディズニーのダンスへのリスペクト
shoji
Sota SEVENTEENは、「BODY ROCK」や「VIBE DANCE COMPETITION」のような世界的なダンスの大会に出ても大活躍できると思います。本当にみんなダンスがうまい。
shoji そうそう。団体での魅せ方が素晴らしいグループだと思います。でもソロになったときもしっかり魅せられるんだなとこの曲のパフォーマンスを観てすごく思って。
Sota HOSHIくん、5、6年前くらいにs**t kingzが好きだってどこかで言ってた気がするんですけど……。
shoji 何かのインタビューで言ってくれていたかも。ありがたいですよね。
──Sotaさんはディズニープラスで配信中の短編アニメ「Us Again」のトレイラー映像をよかった振り付けに挙げています。意外なセレクトだなと思いました。
Sota これは何がすごいかって、踊っているのがケオネ&マリなんですよ。BTSの「FIRE」の振り付けとかをやっている人たちなんですけど、レジェンド級のダンサー夫婦がモーションキャプチャのモデルをやっているのがすごすぎるし、動きだけで誰が踊っているのかがわかることもすごい。モーションキャプチャのモデルにこの2人を採用したというのが革新的かつ、アニメーションであれだけ彼らのダンスの質感がわかる技術もすごいなと思いました。振りだけ渡してほかの人が踊ってもこのダンスの振り付けにはなるんでしょうけど、細かいニュアンスはやっぱり本人じゃないと出せない。ダンサー自身の価値があるということですよね。
shoji これからもっとデジタルな時代になっていく中で、本人が踊ったダンスがアニメーションで再現できるというのはかなり革命じゃないですか? ほかのダンサーではこうはならないはずなので、替えが利かないことの証明にもなったと思いますし。それでいて、ディズニーアニメらしいニュアンスも加えられていて絶妙なんですよね。去年公開された映画「ミラベルと魔法だらけの家」もモーションキャプチャでダンスシーンを作っているみたいで、形だけじゃないダンスを表現したいというディズニーのこだわりやダンサーへのリスペクトを感じますよね。
Sota あと、これもMVじゃないんですけど、サデック・ワフという人が振り付けをしたパリのパラリンピック引き継ぎ式の映像もよかったですね。去年観た映像の中で一番印象に残っていたんですけど、なんの映像かわからなくてTwitterで教えてもらいました(笑)。
<後編に続く>
s**t kingz
shoji、kazuki、NOPPO、Oguriの4⼈で構成されるダンスパーフォーマンスグループ。2010、2011年にアメリカ最⼤のダンスコンテスト「BODY ROCK」で優勝し、世界中から注目されるグループとなる。これまでに20カ国以上でパフォーマンスを披露し、日本国内ではオリジナルの舞台公演も実施。またAAA、BLACK PINK、BoA、EXO、E-girls、Hey!Say!JUMP、King&Prince、Kis-My-Ft2、NCT U、Sexy Zone、SHINee、SUPER JUNIOR、関ジャニ∞、木村拓哉、ジャニーズWEST、東⽅神起、三浦⼤知など、さまざまなアーティストの振り付けを担当。2022年9月から11月にかけて新作舞台「HELLO ROOMIES!!!」を東京、大阪、愛知で開催する。
GANMI
2015年に結成された11人組のダンスアーティスト。2016年にアメリカ・ロサンゼルスで開催されたダンスの世界大会「VIBE DANCE COMPETITION XXI」での日本チーム初の優勝を皮切りに、ライブ活動をスタートさせる。2019年より「CHOREO MUSIC」と呼ばれる、ダンサーが主体となって、アーティストとコラボレーションして楽曲を作り上げていく新たなスタイルを確立させ、楽曲を発表。またBTS「Butter」の振り付けをはじめ、TOMORROW X TOGETHER、NCT U、SixTONES、Da-iCE、eillなど国内外のアーティストのコレオグラフや演出も手がけている。2022年秋冬にはGANMI結成7周年記念ツアー「G PARTY GANMI 7th Anniversary Live Tour」を開催。仙台、福岡、広島、札幌、名古屋、大阪、東京の7カ所を回る。
記事初出時、本文に誤りがございました。お詫びして訂正します。
バックナンバー
s**t kingz @stkgz_official
音楽ナタリーで対談✨
s**t kingz・shoji ×GANMI・Sota
「コレオグラフ研究会2021」
2021年に発表されたダンスパフォーマンスの中から振り付けが優れたもの振り返っています✨
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