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Widescreen Baroque「Door to Door」ジャケ写

Widescreen Baroque Door to Door

真部脩一の新ユニット始動、SF世界を旅するデビュー曲

文 / 柴那典

真部脩一(Vampillia、集団行動、進行方向別通行区分、ex.相対性理論)が始動させた新たな音楽ユニット、Widescreen Baroqueのデビュー曲「Door to Door」は真部の“ポップマエストロ”としての強い記名性を感じさせる1曲だ。ここ数年では、anoの「ちゅ、多様性。」「許婚っきゅん」といったヒットソングを手がけるなど、作家 / プロデューサーとして引っ張りだこの存在となっている真部。さらにVaVa「再周回」の共同プロデュースや、リュックと添い寝ごはん「満漢全席」の共作など、多様なジャンルのアーティストとコラボレーションを繰り広げている。

Widescreen Baroqueはそんな真部がボーカリストHinanoとともに立ち上げたユニット。「Door to Door」の浮遊感あるサウンド、ペンタトニックの音階を駆使し一度聴いたら耳にすっと染み込むメロディ、耳を引く奇想天外なリリックは、まさに“真部節”とも言うべきオンリーワンの魅力を持っている。Hinanoのチャイルディッシュな声色、透明感と憂いを併せ持つボーカルも特徴だろう。真部のキャリアの原点でもある相対性理論を思い起こす人もおそらく多いのではないだろうか。

そして「Door to Door」の特徴は、まるでSFのような世界観を感じさせる曲に仕上がっていることだ。リリックには「世界は巨大なマーカーで 宇宙を横切る線の上」「地球は小さな点Pで 宇宙に揺蕩うエンターキー」というフレーズもある。「あの娘は真夏の太陽で 裸足の感性で」から「e」の音で脚韻を踏みながらどんどんとイメージを膨らませていくような情景を描く。

ユニット名のWidescreen Baroque(ワイドスクリーン・バロック)は、ブライアン・オールディスが提唱したSF小説のサブジャンルが由来。風変わりで壮大でアイデア満載のスペースオペラを指す。これまでさまざまな形でアウトプットを繰り広げてきた真部らしいワードセンスも感じる。

自らの作風がJ-POPのメインストリームのひとつを担うようになった今、真部にとっても、作家としてだけでなく、自身が中心になる音楽プロジェクトをスタートさせる強い欲求があったのではないかと思う。その本拠地となっていく可能性を感じる。

Widescreen Baroque「Door to Door」Official Music Video

Widescreen Baroque「Door to Door」
2025年6月9日(月)配信開始 / TOY'S FACTORY
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作詞・作曲:真部脩一
編曲:真部脩一 / 奥野大樹

Widescreen Baroque(ワイドスクリーンバロック)

Widescreen Baroque

コンポーザー・真部脩一(Vampillia、集団行動、進行方向別通行区分、ex.相対性理論)とシンガー・Hinanoによるプロジェクト。Widescreen Baroqueというアーティスト名は、時間や空間を縦横無尽に往来するSFのジャンルに由来する。2025年6月に1stシングル「Door to Door」を配信リリースし、TOY'S FACTORYよりデビューした。