東京・多摩市で映画の上映やシネクラブを実施しているカフェバー・キノコヤが製作した映画「脱出の最中」が、11月29日から東京・ポレポレ東中野にて1週間限定公開される
歌人の山中千瀬が自身の詩「脱出の最中」をタイトルに据えオリジナル脚本を手がけた本作では、海辺の故郷を離れ音信不通となった姉妹の物語が描かれる。姉のくーちゃんは1人都会で暮らしていたが、単調な毎日に生きる意味を見失っていた。ある日、彼女のもとに妹のさきちゃんから「海、行かん?」という電話がかかってくる。くーちゃんは久しぶりの妹からの連絡に驚くが、2人は故郷ではない海辺で会うことにする。妹・さきちゃんを「オーガスト・マイ・ヘヴン」の
YouTubeで公開された予告編は、文章を読み上げるさきちゃんの声とモノクロの映像が重なるものとなった。またフライヤーとポスターのビジュアルも到着。フライヤービジュアルは本の表紙をイメージしたデザインとなっており、歌人・平岡直子による「女の子たち、命のはじっこを歩いてる」という「映画への帯文」が掲載された。山中と黒川のコメント全文は後掲の通り。
映画「脱出の最中」予告編A
映画「脱出の最中」予告編B
山中千瀬 コメント
脚本を書くみたいなことをするのは二度目だった。一度目は高校生のとき。中高生向けのラジオ番組に投稿した。そのころはまだ書くことが怖くはなかった。今は怖い。書きたいことも何もなくて、でも書くことだけは続けたかった。友だちのあゆに「どうしたらいいと思う?」と相談すると、「ちせよく言ってるじゃん、仕事サボって海に行きたいって。そういう話にしたら?」と返ってくる。それで、くーちゃんとさきちゃんは海に向かった。
黒川幸則 コメント
精神疾患のケアの本で読んだ「あなたが私のことを記憶していなければ私は存在しない」という言葉があります。さきちゃんが詩を暗誦することで映画に登場する(存在する)くーちゃん / くーちゃんが夢日記に書くことで存在できるさきちゃん。ふたりのコトバの断片は映像を離れて海の波に乗るようにして届きます。かつてふたりが共有していた詩と夢のイメージが重なり合った時、記憶の中でふたりは束の間出会い直すのかもしれません。
Hirono Shoichi @spiralroom
プロデューサー:平英之、タイトル制作:佐クマサトシ…? https://t.co/PIdorXJU65