撮影後に監督が他界した「ロストベイベーロスト」、恩師・青山真治が応援コメント寄せる

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青山真治鈴木卓爾が、柘植勇人の長編映画「ロストベイベーロスト」へ応援コメントを寄せた。

「ロストベイベーロスト」ポスタービジュアル

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京都造形芸術大学(現:京都芸術大学)映画学科出身の柘植は、2017年、本作の撮影後に他界。企画時に「衝動をスクリーンに焼き付けたい」と語っていた彼の遺志を受け継いだ撮影スタッフの米倉伸が編集を務め上げ、本作を完成させた。“なんでも屋”として怠惰に暮らす男・陽平を主人公に、恋人が見ず知らずの赤ん坊を誘拐してきたことから彼の生活が変化していくさまを描き出す。松尾渉平村上由規乃が出演した。

京都造形芸術大時代の柘植の恩師・青山は、映画を鑑賞し「映画の中の若さなんか大抵嘘っぱちで、しかしここにいる彼らはまるで本物に見える。だからとりあえずこの映像を信じてみようと思った」とコメント。そして本作に出演もしている鈴木は「その時じゃないとつくれない映画がある。昨日も明日もまた撮れるというような場面はひとつもない。全ての場面が映画をつくることの畏れに揺さぶられ続けて『ロストベイベーロスト』はできている」と感想を述べた。「オーファンズ・ブルース」の工藤梨穂や「沈没家族」の加納土ら、計7名のコメントは以下に掲載している。

「ロストベイベーロスト」は8月28日に京都・出町座で先行公開。9月12日より東京・新宿K's cinemaにて1週間限定でレイトショー上映される。YouTubeでは、青山のコメントを盛り込んだ予告編が公開中。

青山真治(映画作家)コメント

映画の中の若さなんか大抵嘘っぱちで、しかしここにいる彼らはまるで本物に見える。だからとりあえずこの映像を信じてみようと思った。

鈴木卓爾(映画監督・俳優)コメント

その時じゃないとつくれない映画がある。昨日も明日もまた撮れるというような場面はひとつもない。全ての場面が映画をつくることの畏れに揺さぶられ続けて「ロストベイベーロスト」はできている。ベイビー映画を見てる我々も手も足も出ない赤ん坊だバブ~。路上にほったらかされたベイビーカーの中でずっと光を感じて揺さぶられ続けてくれ。この映画はいつかその光の中に包まれる事を夢見る光に既に溢れているのだから。

北小路隆志(映画評論家)コメント

世界は贈与から始まる。何の前触れもなく天から降り落ちる贈与(暴力)は時に赤ん坊とも名指されるが、それがひたすらモノであり続けることによるヒューマニズムの拒絶がコペルニクス的転回めいた感動を誘う。自分の意志がないと友人から窘められ、吸いかけの煙草に窮屈そうに火をつける男をハイスピードで撮影するクロースアップが美しく、その際の彼の呟き、宇宙に目的なんてない……こそ、僕らが本作に見届けるべき真理である。

黒川幸則(映画監督)コメント

映画とは「クズんなってGO」だ。道標もなく、孤児になって、クズになってみなければ、本当に始めることはできない。この映画はそれだ。子供の自分を抱きしめて、男の子は歩いていくのです。Survie!

工藤梨穂(映画監督)コメント

何かをしたかったし、何かになりたかった。
それが叶わないと知りながら、それでも陽平が赤ん坊を抱こうとする時、ふいに感情を揺さぶられてしまう。
私はあのあまりにも希望に満ちたラストカットを忘れないと思う。

加納土(映画監督)コメント

「宇宙に目的なんかないんだよ」と語る主人公なんだけど食べる住む遊ぶの端々がいちいち魅力的。声も話さない、姿も見えない「子ども」が次第にどんどん立ち現れてきて、最後は子どもの視点から映画を観てた。自分に子どもができたとき、また観たい。

坂田貴大(映画監督)コメント

決して見過ごされるべきではない。
松尾渉平の朧げな、村上由規乃の澱みのない
眼差し、それらが重なる儚い像を。
そして、背に銃弾を撃ち込まれたかの如く、
頼りなくも歩み続ける男の後姿を、あの目を、小さな光を!
長いトンネルを抜け、正々堂々胸を張り銀幕に辿り着いた「ロストベイベーロスト」の産声を、僕は忘れない。

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