中国映画「世界日の出の時」ジュー・シンが来日、大阪アジアン映画祭で制作経緯語る

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中国映画「世界日の出の時」(原題「世界日出時」)が第21回大阪アジアン映画祭(OAFF2025)で上映され、昨日9月6日に大阪・ABCホールで行われたQ&Aに監督のジュー・シン(祝新)が登壇。加藤るみが司会を務めた。

中国映画「世界日の出の時」(原題「世界日出時」)の監督ジュー・シン(祝新)

中国映画「世界日の出の時」(原題「世界日出時」)の監督ジュー・シン(祝新)

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「世界日の出の時」場面写真

「世界日の出の時」場面写真[拡大]

本映画祭で日本初上映された本作は、大学院生のマーコーを軸に人と人とのディスコミュニケーションについて描いた物語。マーコーは人類の祖母とも呼ばれる320万年前の猿人ルーシーをテーマにした言語学の論文執筆に没頭しており、ルーシーが言語能力を初めて持った存在だと強く信じている。指導教員の教授リーは、彼の説に否定的ながらも、その論文の中に行方不明になった自身の娘の謎を解く手がかりを見出していた。そんな中、マーコーの母親が頻繁に彼のもとを尋ねるようになり、彼は母を邪険に扱うことに。しかし母が隠していたある事実がわかり、次第に彼の現実世界は論文の中のルーシーの物語と混ざり合っていく。

左から加藤るみ、ジュー・シン(祝新)

左から加藤るみ、ジュー・シン(祝新)[拡大]

2018年の初長編作「漫游(原題)」がベルリン国際映画祭や、釜山国際映画祭で高く評価されたジュー・シン。これが初来日になるそうで「夢の中にいるような気がしています。中国の杭州が舞台のローカルな物語なんですが、観に来てくださってありがとうございます」と挨拶する。加藤から制作経緯を問われると「コロナ禍でいろいろなことに悩んでいた時期があったんです。特に母親とコミュニケーションを取るのが難しいと感じていました。2人の間にはある種の障害のようなものがあったんです。そんな中、大学を卒業して、社会に出たらどうなっていくんだろうと、自分の姿を空想したりもしていて、それをまとめて映画にしたのが『世界日の出の時』です」と回想した。

劇中では、教授リーの娘が森の中に入り、とあるものに変化していく姿が描かれる。ジュー・シンは「映画の中ではマーコーと母の物語、リー教授と娘の物語が描かれます。実は教授は2人目の子供を妊娠して、新たな家庭を作ろうとしていました。それに反抗した娘が森の中に入っていったんです」と説明し、「中国は一人っ子政策の影響もあり、親子の関係において、さまざまな問題があります。子供にとって親は絶対的な存在なので、心の中で思っていることを伝えられないことがある。教授の娘は現実から逃避するため、森の中に逃げていきました」と述べる。

最後にジュー・シンは「他人に自分の愛を表現するためには、いろんな障害がある。そういったものを乗り越えて愛を表現することは美しいことだと思います。だから皆さんも悔いのないように、愛を表現していってください」と呼びかけた。

第21回大阪アジアン映画祭は、本日9月7日まで大阪・ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂で開催。

中国映画「世界日の出の時」予告編

第21回大阪アジアン映画祭

2025年8月29日(金)~9月7日(日)
大阪府 ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂

オープニング作品

  • 万博追跡(台湾)

コンペティション部門

  • ワン・ガール・インフィニット(アメリカ、シンガポール、ラトビア)※アジア初上映
  • 世界日の出の時(中国)※日本初上映
  • 退避(カザフスタン)※日本初上映
  • アイ、ザ・ソング(ブータン、フランス、ノルウェー、イタリア)※日本初上映
  • 紅い封筒(タイ)※日本初上映
  • シャンバラストーリー(日本、アメリカ、インド)※世界初上映
  • 寒いのが好き(韓国)※日本初上映
  • 浅浅歳月(香港)※日本初上映
  • 私たちの意外な勇気(台湾)※日本初上映
  • 最後の夏(中国)※海外初上映
  • サンシャイン(フィリピン)※日本初上映

特別注視部門

  • 橋(ブータン)※世界初上映
  • D-デイ、フライデイ(韓国)※日本初上映
  • 明日が来る前に(中国)※世界初上映
  • 初めての夏(韓国)※日本初上映
  • その間(インド)※世界初上映
  • MA-沈黙の叫び(ミャンマー、韓国、シンガポール、フランス、ノルウェー、カタール)※日本初上映
  • コンチェッタ、どこにいるの?(タイ)※海外初上映
  • トゥームウォッチャー(タイ)※日本初上映
  • ウィービング(韓国)※海外初上映
  • あなたを植える場所(韓国)※アジア初上映
  • クィアパノラマ(香港、アメリカ)※日本初上映

インディ・フォーラム部門

  • 生きているんだ友達なんだ(日本)
  • 結局珈琲(日本)※世界初上映
  • 白昼夢(日本)※世界初上映 / R15+指定作品
  • カミナンって、呼ぶな。(日本)※世界初上映
  • 夢と進路(日本)※世界初上映
  • 火の華(日本)※世界初上映
  • 息子の鑑(日本)※世界初上映
  • イマジナリーライン(日本)
  • 糸の輪(日本)
  • たぶん未来が呼んでいる(日本)※世界初上映
  • ミルクレディ(日本)※日本初上映
  • よそ者の会(2025)(日本)
  • 桃味の梨(日本)※世界初上映
  • わたのはらぞこ(日本)
  • 星野先生は今日も走る(日本)※世界初上映
  • 嘘もまことも(日本)※世界初上映
  • まっすぐな首(日本、中国)※日本初上映
  • もういちどみつめる(日本)※世界初上映

インディ・フォーラム部門<焦点監督・田中未来>

  • ブルー・アンバー(日本)※世界初上映
  • エミレット(日本)
  • ジンジャー・ボーイ(日本)

特集企画<台湾:電影ルネッサンス EXPO 2025>

  • 黒犬(台湾)※日本初上映
  • 洗(台湾)※日本初上映

小特集<台湾クラシックスとTFAIのレストア成果>

  • ドラゴン・スーパーマン(レストア版)(台湾、日本)※日本初上映
  • 進学を拒絶した人生(2Kレストア・ディレクターズカット版)(台湾)※日本初上映
  • さようなら十七歳(2Kレストア版)(台湾)※世界初上映
  • 寂寞十七歳(レストア版)(台湾)※アジア初上映
  • 私たちの意外な勇気 ※コンペティション部門にも入選

特集企画<Special Focus on Hong Kong EXPO 2025>

  • レッド・キス(香港)※海外初上映
  • フルムーン・イン・ニューヨーク(デジタル・リマスター版)(香港)
  • 上海ブルース(レストア版)(香港)※日本初上映
  • 浅浅歳月 ※コンペティション部門にも入選
  • クィアパノラマ ※特別注視部門にも入選
  • 私立探偵 ※日本初上映

特別招待作品部門

  • フレイムユニオン 最強殺し屋伝説国岡[私闘編](日本)※世界初上映

神戸女学院大学国際学部協賛上映

  • 晩秋(インド)※日本初上映

特別上映 《VIPO Film Awardの成果》

  • ポストハウス(フィリピン)※海外初上映

クロージング作品

  • 好い子(シンガポール)

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