東アジア反日武装戦線「さそり」の元メンバーである桐島聡の軌跡が描かれた映画「
約半世紀にわたる逃亡の末、2024年1月29日に死去した桐島聡。映画は1970年代、彼の大学時代から始まる。反日武装戦線の活動に共鳴して行動をともにしていた彼は、1974年の三菱重工爆破事件で多数の犠牲者を出したことにより、深い葛藤にさいなまれる。警察当局の捜査が進んで組織が壊滅状態になる中、指名手配された桐島は偽名を使って逃亡。やがて工務店での住み込みの職と静かな生活を手にした桐島は、ライブハウスで歌手キーナと知り合う。
毎熊が桐島を演じたほか、宇賀神役で
毎熊は「桐島役を演じるにあたって頼りになったのは、彼がよく聴いていたというブルースとバーで知り合った女性の存在。誰にも素顔を見せられない逃亡生活の中で、隠しきれない人間像が見えてくるはずです」と撮影を振り返る。制作総指揮を担った
映画「『桐島です』」特報
長尾和宏 コメント
事件が起きたのは50年前。僕は中学生だったが、街角で桐島の指名手配写真を見るたびに不思議な感覚を抱いた。この人は生きているのか? 生きているとしたら、どうやって暮らしているのか? 本人がこのポスターを見たら、どんな気持ちになるのだろうか? そして2024年、「桐島らしき男」が病院で死亡したと聞き医者として驚いた。保険証なしで70歳過ぎまで暮らすことが可能なのか? なぜ最期の最期に実名を名乗ったのか? 私の原作映画「痛くない死に方」でご縁のできた高橋伴明監督が「桐島を撮りたい」ということで、今回、私が製作総指揮をさせていただくことになった。
ずっと偽名で生きてきた男の人生を、ノンフィクションとフィクションのあいだを彷徨いながら映画にすることに興味が湧いた。トランプ革命の今、日本は大きな岐路に立っている。貧困にあえぐ若者たちは財務省前でデモを繰り返している。……もしかしたら日本は50年前に戻ろうとしている? だから今こそ、この映画が日本に必要だ。
梶原阿貴 コメント
「桐島やるぞ。5日で脚本書いてこい。お前なら書ける」昨年2月に監督に呼び出され、こう告げられた時、すでに心は決まっていた。なぜなら桐島聡氏と思われる男性が病院に入院したという1月末の一報を受けてから、すぐに情報を集めていたからだ。21歳で指名手配された桐島氏はこの50年近くどのように生活し、今の社会に何を感じ、何に怒り、何を考えたのか。その生活の中から今の日本が見えてくるような構造にしたいと話した。前作「夜明けまでバス停で」に出てくる、「バクダン」とも知り合いだったかもしれない桐島聡氏に思いを寄せて──
毎熊克哉 コメント
凶悪犯の顔が並ぶ中で1人だけ人の良さそうな青年が混じっている違和感。
87年生まれの私は事件のことを知りませんでしたが、交番に貼ってある手配書の写真だけは子どもの頃から記憶していました。
事件に関する書籍や資料を読み漁っても桐島氏の過激な思想が窺えるものはなく、なぜ反日武装戦線に加わったのか? 他にも道はあったのではないか?と疑問が浮かびます。
本作で桐島役を演じるにあたって頼りになったのは、彼がよく聴いていたというブルースとバーで知り合った女性の存在。
誰にも素顔を見せられない逃亡生活の中で、隠しきれない人間像が見えてくるはずです。
「優しさを組織せよ…」
時代に翻弄された男の物語、ぜひ劇場でご覧ください。
高橋伴明の映画作品
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宇賀神役の奥野瑛太さん、時々高嶋政宏に似てたんだけど血縁関係ないのか…そうなのか…
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