高橋伴明の監督作「安楽死特区」予告、夫婦演じた筒井真理子・平田満ら出演者コメント

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毎熊克哉大西礼芳がダブル主演を務める映画「安楽死特区」の予告編、新場面写真12点、キャストコメントが到着。完成披露上映会が行われることもわかった。

「安楽死特区」新場面写真

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長尾和宏の同名小説を高橋伴明が映画化した本作は、“安楽死法案”が可決された近未来の日本を舞台にした物語。安楽死法に反対している難病を患うラッパー・酒匂章太郎と彼のパートナーでジャーナリストの藤岡歩は、“ヒトリシズカ”と名付けられた国家戦略特区「安楽死特区」の実態を告発するために同施設への入居を決意。そこで2人は入居者のさまざまな苦悩を知り、医師たちと対話することで心境に変化が訪れる。章太郎を毎熊、歩を大西が演じた。

「安楽死特区」新場面写真

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このたびYouTubeで公開された映像には、余貴美子扮する元歌謡漫才師の澤井真矢が「記憶が少しでも残っているうちに早く死なせてほしい」と泣きながら口にする場面や、歩が医師の胸ぐらをつかみながら「1分、1秒でも長く生かしてあげるのが先生たちのプライドだったんじゃないんですか」と訴える姿が映し出された。場面写真には、章太郎が病室で声を録音するシーン、彼がベッドの上で苦しい表情を見せる様子などが切り取られている。

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末期がんに苦しむ池田和行役の平田満は「感動的なセリフや感動シーンはないですが、ありのままになっていく過程が素直に表現できていたらそれだけでいいです」、妻・玉美を演じた筒井真理子は「夫が安楽死を選ぶことさえ告げずに逝こうとする──その距離の深さに苦しみながらも、最後には夫の尊厳を守ろうとする玉美。私は彼女に追いつけるのだろうか、とも。実際に撮影に入ってみると平田さんの佇まいに助けられて、自然とそうなれた気がしています」とつづる。余は「安楽死という死の話でありますが、伴明監督の現場はとても『あっ~生きてる~』と思える優しい時間でした」と撮影を振り返った。章太郎のラッパー仲間・ZAGI役のgb、エンドクレジット後のドキュメンタリー部分に出演したくらんけのコメントも下部に掲載している。

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完成披露上映会は、2026年1月5日に東京・ユーロライブで開催。キャストの毎熊、大西、加藤雅也、原作者の長尾、プロデューサーの高橋惠子が登壇を予定しており、チケットは11月22日よりぴあにて販売される。

「安楽死特区」は2026年1月23日より東京・新宿ピカデリーほかで公開。出演には板谷由夏、奥田瑛二、下元史朗、鳥居功太郎、山﨑翠佳、海空、影山祐子、外波山文明、友近、田島令子、鈴木砂羽、長尾も名を連ねた。

映画「安楽死特区」予告編

筒井真理子 コメント

「安楽死特区」の台本をいただいたとき、この役を本当に引き受けられるのだろうかと、深く考えました。死というものを身近に感じるようになり「どう生きて、どう死ぬのか」。この問いに正面から向き合わなければ、きっとこの作品に呑み込まれてしまう。そう感じました。

夫(平田さん)が安楽死を選ぶことさえ告げずに逝こうとする──その距離の深さに苦しみながらも、最後には夫の尊厳を守ろうとする玉美。私は彼女に追いつけるのだろうか、とも。実際に撮影に入ってみると平田さんの佇まいに助けられて、自然とそうなれた気がしています。心に残っているのは、歩(大西さん)との場面です。彼女が記者として安楽死を世に問おうとする姿に触れ、玉美もまた、自らを被写体として差し出し、「事実を伝えてほしい」と託す。二人の間に歩が入り、シャッターを切る瞬間、私たちはふと、そこに踏み込めない感情の壁を感じました。その時、伴明監督が静かにおっしゃいました。「そこに割り込むだけの強さが歩に必要なんだ」と。それは私にも向けられた問いのように思えました。作品を創るということは、こうした覚悟で生きること。伴明監督の言葉の重みに、敬意を評します。そして、その世界に真摯に身を投じる大西さんの姿にも、心を打たれました。
この作品に参加できたことを、光栄に思います。

平田満 コメント

池田和行は安楽死を望むのですが、決して安らかな境地に達しているわけではありません。
イライラして当たるのは、たぶん恐怖だけではなくて、それを受けとめてくれる人がいないと思っているからだと思います。
そして、そういう人間関係を作れなかった自分の人生に苛立ちがあるのだと思います。
妻を演じる筒井真理子さんも同じような嘆きを漏らしますが、最後の病室で言いたいことを言う場面で、憐れみや慰みではない、自己主張することが相手を認めることにもなる、というところに至ったのは、なにか大人の夫婦になった気がしました。
筒井さんの柔らかいけど芯の強いところが素敵にマッチしていました。
そして、章太郎役の毎熊君との屋上庭園では、お互い力を抜いて何気なく話せるようになっていたように思えます。
感動的なセリフや感動シーンはないですが、ありのままになっていく過程が素直に表現できていたらそれだけでいいです。

余貴美子 コメント

私のお役は、元歌謡漫才師で今は呆け老人。早く御陀仏にしてくれと、あの世とこの世の狭間を漂っている存在です。杖をつきながらの芝居でしたが、撮影時、現場ではなんと、監督もカメラマンさんも杖をつきながらお仕事されていました。安楽死という死の話でありますが、伴明監督の現場はとても「あっ~生きてる~」と思える優しい時間でした。
人は良い死を迎えるために如何に生きるか? 死ぬために生きているのか? 誰もが平等に訪れる死、一度しか経験できない死。答えのない問いを考える時間でもありました。
本人の意思と他者との思いのズレ。モヤモヤしたままです。
プロのお笑い芸人である友近さんとの歌謡漫談の掛け合い、三味線のお稽古は、生きた心地がしませんでした。そして、こんな美しいキスシーンがあるでしょうか? 多くの方に見て頂きたいです!

gb コメント

映画出演というまさかのお声がけに驚きつつも、それ以上にワクワクが先に立ちました。まずは劇中で歌唱する楽曲の歌詞制作から関わらせていただきましたが、脚本家・丸山昇一さんによるラップ詞は飾り気がなく、生と死の狭間で削ぎ落とされた言葉の強さがあり、その熱量をどう自分のラップとして立ち上げるか、悩みながら向き合いました。自分の音楽とは違う世界観でも、ラップすることで“gbというフィルター”がかかり、役にも自然とシンクロしていく感覚があり、不思議で忘れられない体験でした。
また、高橋伴明監督はセリフだけでなくラップの一言一言についても“言葉の温度”をすごく大切にされていて、そのこだわりは僕自身の作詞にも通じ、撮影中ずっと刺激を受けました。この経験はこれからの曲づくりにも必ず活きると思っています。
初めての撮影で緊張していた僕に、主演の毎熊克哉さんが気さくに声をかけてくださり、柔らかな空気に救われました。本番で見せる繊細さとアーティスティックな存在感には何度も惹き込まれました。現場は“その瞬間を生きる人間”を見つめ続けるような時間で、そこにいられたことは僕にとって未体験の奇跡でした。
未熟ながら全力で挑んだ作品です。観てくださる皆さんが、それぞれ何か大切なことを受け取ってくださったら嬉しいです。

くらんけ コメント

本編に続いて、現実への橋渡しとなるドキュメンタリー部分に出演させていただきました。娯楽の先を見据えて現実の議論を喚起する融合は革新的で制作者の方々としても「挑戦」だったと思います。
私はかねてより死の話題に一石を投じたいと思っていたため、この試みへの迷いはありませんでした。
来たるべき多死社会に備えて、このような死に方のイメトレができるような映画が製作されたことは、すべての日本人がより良く生き抜くために大変意義があると思っています。
特に章太郎と歩が抱える、自身の理想や相手への思いやりの揺らぎは非常にリアルで、大きな見どころのひとつです。
もし本当に「ヒトリシズカ」が日本に導入されたら?
本作が自分事として理想の死に方を語るきっかけになることを願っています。

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©「安楽死特区」製作委員会

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