映画「
本作は東アジア反日武装戦線「さそり」の元メンバーで、連続企業爆破事件に関わったとして指名手配されながら、約半世紀にわたり逃亡した桐島聡の物語。偽名を使っていた桐島は入院先の病院で本名を明かし、2024年1月に死去した。劇中では彼が何を思って事件を起こし、どんな逃亡生活を送っていたのかが描き出される。
毎熊は桐島役へのオファーに驚いたそうで「ここまで大きな“誰が演じるかで印象が決まってしまう”ような人物を託されるとは思っていませんでした。『この役を僕に?』と正直びっくりしましたし、『信頼されているんだな』とも思いました。でも同時に怖さもあって。顔が似ているとかそういう理由ではなく、何かしら僕の過去の作品や空気感を観て感じてくれたものがあったのかな、と」と分析する。
桐島を演じることに関しては「抵抗はなかったです。これまでも“悪い役”はいろいろやってきましたし、そもそも桐島という人物が実在であることはもちろんだけど、仮に100年、200年経ったら、もう歴史上の人物になるわけで。時代劇で罪人を演じるのと同じような感覚でした。彼の人生や思想に触れて、『これは悪だ』『これは正義だ』と一方的に判断するのは、ちょっと違うと思っています。情報が少ない分、そこを想像する余地があるのも、役者としては魅力でした」と語った。
また「僕と同じ広島県福山市出身と知って驚きましたし、桐島が高校時代を過ごした尾道も僕にとって思い出が多い場所です。地方の海の町で育った青年が、東京に出てきて、学生運動が盛んな時代に飲み込まれていく。その流れは、理解できる部分があります。20代の若者が、正義感や不満を抱えながら、たまたま出会った人たちに影響されて流れていく。その“たまたま”の連続で、人生が思わぬ方向へ進んでいくというのは、誰にでも起こり得ると思うんです」と伝え、「たとえば音楽の仲間に出会っていたら、音楽で社会に訴えようとしたかもしれない。映画サークルだったら、映画で表現しようとしたかもしれない。そういう可能性を感じさせる人物なんです。だからこそ、どこか自分の中にも似た部分があるように思えて、役に入りやすかったんだと思います」とも述懐する。
なぜ死の前に桐島が本名を名乗ったのか?ということについては、さまざまな意見があったと前置きつつ「でも僕は、はっきり理由がわからないままでいいんじゃないかと思っています。監督とも『明確な理由を提示しない方がいい』と話し合っていて、だからあのシーンは特に大切にしました。“朦朧とした中で、ふと聞かれて自然に出た言葉”──それが『桐島です』だったのかもしれないし、あるいは仲間への申し訳なさ、償いの意味だったかもしれない。観る人がどう受け取るかが大事だと思います」と答えた。
映画「『桐島です』」予告編
毎熊克哉の映画作品
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おおとも ひさし @tekuriha
「桐島です」主演・毎熊克哉のインタビュー到着「情報が少ない分、想像する余地がある」 - 映画ナタリー
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