スタジオジブリ責任編集の「宮崎駿イメージボード全集(3)となりのトトロ」が、3月5日に岩波書店から刊行される。
イメージボードとは、新たに制作する作品の世界観をスタッフ間で共有するために描かれるもの。「宮崎駿イメージボード全集」は、
今回の刊行に際し、本全集の編集製作に携わっている徳木吉春、スタジオジブリ出版部部長の額田久徳、長らくスタジオジブリの出版物を担当してきたTOPPANクロレの鈴木敬二から到着したコメントは以下の通り。
※宮崎駿の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
徳木吉春(編集者・ライター)コメント
「写真集のようにしたい」と企画の当初から考えていました。キャプションは抑制し、編集側の考察も入れず、画材やサイズの情報のみとする。ノンブルさえも省略しています。そして“宮崎駿が描いている姿”が見えるように、資料としてのリアリティにこだわりました。わたしが編集を担当してきた「ジブリ THE ART シリーズ」(徳間書店)で行っていたようなトリミング処理や背景を飛ばしたりもしていません。セロテープや画鋲で留めた跡も残っています。そうすることで、ナウシカの絵やラピュタの絵ではなく、“宮崎駿が描いた絵”になる。これまでの本で掲載してきた資料は網羅しつつ、もちろん今回初めて世に出る絵もいくつも収録しています。一次資料というかたちで、宮崎駿の作品を後世に残していけることはうれしい。以降のシリーズの編集をしているなかでも、見るたびに「今回はこう来たか」と発見があるんです。
額田久徳(スタジオジブリ出版部部長)コメント
絵は、反射光で見るのと透過光で見るのとでは全然違います。液晶で見るのではなく、紙で見てほしい。そう思ってこのシリーズを作っています。オリジナルのイメージボードは、すごくしっとりとしていて色も鮮やかです。編集者というのはどうもいけないところがあって、ついついいろいろやりたくなってしまうんです。けれど、編集者を料理人としたら、今回は材料が最高なので、何にもする必要がないんですよね。宮崎さんの絵は、100年後ぐらいには国宝になってもおかしくないぐらいのものがいっぱいあります。その素晴らしさを伝えるため余計なことをしないように注意しました。
鈴木敬二(TOPPANクロレ 第二情報デザイン営業本部 第二営業部 シニアエキスパート)コメント
イメージボードの紙の質感から地色までも再現するというのが今回のコンセプト。紙も、「ジブリ THE ART シリーズ」のような光沢紙ではなく、絵の再現性からもマット系のものをご提案させていただきました。製作の工程では、スタジオジブリのみなさんとともに原画の現物と校正刷りを照合し、何度も確認・修正をしながら完成に近づけていきます。また、品質を維持するためにプリンティングディレクター、オペレーターといった職人を巻ごとに変えることなく同じ担当者を充て、工場や印刷機も同じものを使い続け、仕上がりのブレを無くすよう努めております。わたしたちは、ある種の文化事業的に携わらせていただいてるという認識です。残していくべきものを、印刷会社という立場で、以後もお手伝いができればと思っております。
映画ナタリー @eiga_natalie
「となりのトトロ」イメージボード画集刊行、宮崎駿が描いた全219枚収録
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