広瀬すず「ゆきてかへらぬ」撮影で体力を消耗、岡田将生は「色気が出ていたらいいな」

映画「ゆきてかへらぬ」の完成披露舞台挨拶が本日1月30日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、キャストの広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、監督の根岸吉太郎が登壇した。

本作では大正時代を舞台に、実在した女優・長谷川泰子、詩人・中原中也、評論家・小林秀雄による壮絶な愛と青春が描かれる。広瀬が2人の男に愛される泰子、木戸が中也、岡田が小林に扮した。

華やかな着物姿で登場し、歓声を浴びる広瀬は「撮影したのは2年前。オファーをいただいたのはもっともっと前。やっとこの日が来たことに感動しています」と喜びをあらわにする。木戸は「すずちゃんがおっしゃっていたように、撮影はすごく前なのですが本日皆さんに観ていただけるということで、すごくすごくうれしいです」、岡田は「この日を迎えるまで本当に長い年月でした。皆さんがこの映画をどう捉えるのか、すごく興味があります」とそれぞれ続けた。

「ゆきてかへらぬ」の脚本は、数々の日活ロマンポルノ作品で知られる田中陽造が約40年以上前に執筆したもの。広瀬は「今の時代に生きている我々がどんなふうに解釈しながらこの作品の世界観に入っていくのか。ある種のチャレンジングだったと思います」と述べ、「セリフの言い回し、男女の関係性や距離感……。すべてがとても新鮮で、ビシビシと静かに熱量が伝わってくる心地のいい現場でした。何かを削りながら生きていく、体力のいる役だったので疲れました（笑）」と撮影を振り返った。

木戸は「中也さんは本当に多彩な方。ローラースケートのシーンも僕はまったく滑れなかったので、ゼロから練習してたくさん転んで……。すずちゃんとの芝居はプロレスをやっているかのような、フィジカルのぶつかり合いでした。体力的にも勝負の役だったなと思います」と苦労をのぞかせる。岡田は小林を演じるうえで“色気”を重視したことを明かし、「（小林が執筆した）文章からも色気があふれていた。ワンカットでもその色気が出てたらいいなと思いながら、結局コツをつかむことはできなかったなと。大変でしたね」と述懐した。

イベントでは、本作になぞらえて「青春時代にやりたかったことは？」とのお題がキャスト陣に出された。岡田は「高校生の頃からもうお仕事をしていたので、修学旅行に行けなかった。その時期は映画の撮影をしていて、撮影が終わったあとに友達から『今日はこうだったよ！』と電話がくる。泣きましたよ」と吐露。広瀬は「私も学生時代はお仕事で学校に行けなかった日があった。学校帰りに、みんなで制服のまま遊びに行くのをやりたかった。『授業めんどくさー』とか言いながらサボったり（笑）。そういうのがしたかったな」と思いを馳せた。

木戸は「ダンスをやっておけばよかった。リズム感っていろんなところで生きるじゃないですか。かっこいいし。この作品もそうですが、何かと踊らなきゃいけないことって意外と多いなと思っていて。そういうリズム感みたいなものをもっと若いうちに習得したかった」と明かした。

最後に広瀬は「いびつな愛と青春の物語。皆さんにどんなふうに伝わるのか、観ていただけることへのうれしさと同じくらい不安もあります。ぜひ見届けていただけたら」、根岸は「大事に観てやってください」とメッセージを送り、イベントは幕を下ろした。

「ゆきてかへらぬ」は、2月21日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。なお本作は、第54回ロッテルダム国際映画祭のビッグスクリーンコンペティション部門への出品が決定している。