映画作家の
企画タイトルの「Moirai」は、ギリシア神話における「運命の三女神」を意味するMoira(モイラ)の複数形。元来「割り当て」という意味のあったMoiraは、人間にとって寿命は神から割り当てられたもの、という考えの中で生と死に結び付き、人間の運命をつかさどる三女神になった。映画上映企画「SHINPA」のために撮り下ろされた3つのオリジナル短編映画の中には“運命の三女神”が登場する。
二宮の脚本・監督作「嗚呼、かくも牧場は緑なりけり」のテーマはカミングアウト。婚約者のハナに誘われて、彼女の育った牧場を訪れることになった純之介の物語だ。旅の目的は「前の彼氏を紹介すること」と言われ、戸惑う純之介は一頭の老馬ロケットに出会う。
山西が手がけた「母と牛と」の主人公は、ある地方都市で母子家庭に育ち、母と二人暮らしをしている洋司。ある日母が倒れているのを発見したことからストーリーが展開していく。
荒木による「その誘惑」では、翻訳者・香織が夫の様子がいつもと違うことに気付き、不安を感じながらも観察を続ける様子が描かれる。
二宮は「それぞれ監督が持つテーマとスタイルが響き合い、不思議な物語体験を生み出しています」とコメントする。山西は「二宮監督・荒木監督の作品とスクリーン上で連なって、お客様にどんなふうに見ていただけるのか、今からとても楽しみです」、荒木は「ただ、濃いです。ザワザワ、します。圧が、きます。作家性の魂の塊をテーブルに3つ並べた、みたいになっています」とつづった。
短編映画集「Moirai」30秒特報
二宮健 コメント
SHINPAで撮り下ろした3人の監督によるショートフィルムが、オムニバス映画「Moirai」として劇場公開されます。荒木監督、山西監督とともに、作品を届けられることを心から嬉しく思います。3人ともかつて新宿武蔵野館で劇場デビューを果たしていて、今回また同じ場所に揃って戻ってこられることに、特別な縁を感じています。
自作「嗚呼、かくも牧場は緑なりけり」は、ある“変身”を遂げるキャラクターを通じて、多様性をめぐる語りの中に潜む、自覚と無自覚について描きました。観終わった後に、思わず誰かと対話を始めたくなるような、そんな作品を目指しました。
「Moirai」全体としても、それぞれ監督が持つテーマとスタイルが響き合い、不思議な物語体験を生み出しています。ぜひ劇場のスクリーンでその世界にたっぷり浸かり、新たな感覚を楽しんでいただければ嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。
山西竜矢 コメント
今回、短編映画オムニバス「Moirai」に一監督として参加させていただいて、大変嬉しく思います。昨年撮影した自作「母と牛と」は、今日避けて通ることのできない介護の問題について、自分なりにその本質を捉えようと試みた作品で、今まで作ってきたものと別の切り口へ挑み、重要な気付きを与えてくれた作品でもあります。頼もしいキャスト・スタッフと共に作り上げたこの映画が、二宮監督・荒木監督の作品とスクリーン上で連なって、お客様にどんなふうに見ていただけるのか、今からとても楽しみです。ぜひ劇場へ。ご来場をお待ちしております。
荒木伸二 コメント
たった84分ですが、3人分の深い業が込められています。
オムニバスにありがちな、あの見にくさは、何故かないです。
寧ろ、バラバラの作家の作品を3本みる割には、かなり見やすい。
ただ、濃いです。ザワザワ、します。圧が、きます。
作家性の魂の塊をテーブルに3つ並べた、みたいになっています。
荒木の作品は最後、3本目。
ご鑑賞の際には、二宮さん、山西さんのも十分楽しみつつ、体力、とっといてくださいね(笑)。
つむじ風(操行ゼロ) @stmt
おぉ!「その誘惑」映画館のスクリーンでみれる!! https://t.co/grRhJEqiu8