「蛇の道」柴咲コウがダミアン・ボナールの極秘来日に驚愕、映画は「全世界へ」

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日仏合作の映画「蛇の道」の初日舞台挨拶が本日6月14日に東京・新宿ピカデリーで行われ、キャストの柴咲コウ西島秀俊青木崇高、監督を務めた黒沢清が登壇。出演者であるダミアン・ボナールもフランスから駆けつけ、観客はもちろん監督とキャストにもサプライズで客席から壇上へ。なお本レポートには一部ネタバレも含むため、鑑賞前の人は注意してほしい。

「蛇の道」初日舞台挨拶の様子。左から柴咲コウ、ダミアン・ボナール。

「蛇の道」初日舞台挨拶の様子。左から柴咲コウ、ダミアン・ボナール。

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「蛇の道」メインビジュアル

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黒沢が1998年に発表した同名映画を全編フランスロケでセルフリメイクした本作。愛娘を殺され復讐を誓った父親が、パリで働く日本人の心療内科医の協力を得て、真相を暴いていくさまが描かれる。柴咲が心療内科医・新島小夜子役で主演を務め、復讐に燃えるアルベール・バシュレにボナール、小夜子のもとに通う患者の吉村に西島、日本にいる小夜子の夫・宗一郎に青木が扮した。

柴咲コウ

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柴咲は上映後の観客に向け「皆さんに観ていただけて、ほんのり安堵しています。ありがとうございます」と笑顔を見せる。念願だったという「蛇の道」のセルフリメイクを果たした黒沢は、初日を迎え「本当にひどい人たちばかりで、本当にひどいことをする映画で、すみません。青木さんだけはいい人かなと思ったら、とんでもないひどい人だった。この映画のひどさ加減を楽しんでいただけたならうれしいです」と呼びかけた。

黒沢清

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黒沢はスタッフも俳優もほとんどがフランス人だったことに触れ「そこに日本人の3人の俳優が交じって。なんの違和感もなく、本当にスムーズに一体となって、1本のフランス映画が作られていると感じました。合作とは、映画が国境を越えるとはこういうことなんだと、改めて感じました」と述懐。現地のスタッフも日本の俳優に魅了されていたそうで「彼らは『余計なことを何もしないのに、役柄の心情が伝わってくる。日本の一流の俳優はこういう芝居をするのか。フランス人の俳優は余計なことをいっぱいするでしょ』と(笑)。僕からすると、フランスの俳優のくせのある感じも大好きですが、この映画ではそれが見事に融合していると思います」と話した。

「蛇の道」新場面写真

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ダミアン・ボナール(右)に花束を渡した柴咲コウ(左)。

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全編ほぼフランス語での撮影に臨んだ柴咲は「このような機会がなければ、ここまでフランス語に没入することもない。フランスでのお芝居に関われてよかったとつくづく思います」と喜びを吐露。ハードなアクションも多く、アルベールと一緒に大男を寝袋で拉致するシーンについては「人を寝袋の中に入れて、全力疾走で引っ張り続ける。なかなか長い時間引きずっていたので、これは大変だと現場で思いました」「(一緒に引っ張る)ダミアンはとっても力持ちなんですけど、短距離型で(笑)。後半は私がキツかったです」と裏話を披露した。柴咲曰く、気絶した男を引きずるシーンの本番では無意識に「よいしょ」と言ってしまった瞬間もあったそうで、黒沢は「残そうかなとも思ったんですが、残念ながら切りました。柴咲さんらしかったんですけど、『よいしょ』は小夜子じゃないなと」と笑い混じりに打ち明けた。

西島秀俊

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西島は、映画の感想を「小夜子が何を思って、何に向かっているのか、まったくわからない。本当に観ながら、登場人物のように混乱していく。何が真実なのか、最後までわからなくて。とても面白くて、興奮しました」とコメント。さらに「柴咲さんは相手の大きな男たちをごまかすことなく、本気で捕まえていく。画面上にも説得力があって、この人は“殺れる”と伝わってきたので、本当に恐ろしいキャラクターでした」とたたえた。

左から柴咲コウ、青木崇高。

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青木は映画のラストシーンについて「このあと小夜子は空港に行って日本行きのチケットを買うだろうな、と。復讐の相手はもちろん……。本当に戦慄しました。怖かったですね」と言及。小夜子とのビデオ通話でしか登場しない宗一郎だが、撮影はパリで行ったそう。「わざわざパリに行かせていただいて(笑)。監督の作る現場の空気を直接感じられたので本当によかった」と振り返りつつ、「撮影は小夜子の隣の部屋だったんですが、彼女の殺気はびりびり感じましたね。今思い出しても、鳥肌が立ちます。柴咲さんはご本人が思っている以上に、数十倍、殺気がある(笑)。本当に殺されると思いました」と語った。

クランクアップの直後に「最高傑作ができたかもしれない」と口にしていたという黒沢。その真意を「素直な感想だったと思います。撮影と準備を含めて、3カ月、パリで暮らしました。ただ映画を撮ったというだけではない、自分の人生の中の非常に貴重な時間という思いが強かった。そしてクランクアップした瞬間のスタッフたち、柴咲さん、俳優たちの顔。本当に何かを成し遂げた表情が皆さんの顔にうかがえて。僕も同じような顔をしていたんでしょうね。映画がどのように観られるかはわからないんですが、これまで映画をたくさん作ってきましたけど、最高の幸せを感じていたので、そんな発言をしたんだと思います」と打ち明けた。

客席の中にダミアン・ボナールを発見した柴咲コウ(左)と青木崇高(右)。

客席の中にダミアン・ボナールを発見した柴咲コウ(左)と青木崇高(右)。[拡大]

再会を喜ぶ柴咲コウ(右)とダミアン・ボナール(左)。

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左から柴咲コウ、ダミアン・ボナール。

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ボナールの来日は壇上の誰も知らず、MCが「リモートでフランスとつながっている」という体で進行すると、柴咲は「ダミアン!」とスクリーンに向かって呼びかける。柴咲が何度か呼びかけても反応がないため通信の不調を疑う中、ボナールは客席から「ここだよ。ここにいるよ」とフランス語で応答。柴咲は「嘘ー!」と目を丸くし、ボナールは壇上の1人ひとりとしっかりハグや握手をして対面を喜んだ。ボナールは「(日本に来てから)2日間、隠れてたんです。眼鏡をかけて、マスクをして」とサプライズの種明かしをした。

再会を喜ぶ黒沢清(右)とダミアン・ボナール(左)。

再会を喜ぶ黒沢清(右)とダミアン・ボナール(左)。[拡大]

黒沢も「僕らをだます意味はあったのかな? いやあ、びっくりしました」「いろいろフランスにいるダミアンに話すことを考えていたんですが、全部吹っ飛んでしまって」と驚きながら、「非常に難しい役だったと思うんですが、撮影現場ではダミアンが本当に楽しく、自由に振る舞ってくれたことで、そのほかの俳優たち、スタッフがどれだけ勇気と活力をもらえたか。ダミアンには大変感謝してます。本当に僕の作品に参加してくれてありがとうございました」と労った。

ダミアン・ボナール

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ボナールは「みんなで一丸となって傑作を作ったという体験。文化が違っても一体となれたのは本当に素晴らしかった」と回想。この日は観客と一緒に映画を鑑賞しており、「黒沢監督の映画で、柴咲さんと一緒に演技をして。自分が出ている映画を日本で観るなんて考えもしませんでした。夢か現実かもわからないような感覚です。でも現実でしょうね」と喜んだ。

左から黒沢清、西島秀俊、柴咲コウ、ダミアン・ボナール、青木崇高。

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最後に柴咲は「今日がスタートです。全世界のたくさんの人に観ていただきたいと思います。日本から東京から、いろいろな発信をしていただけるとうれしいです」と呼びかけ、ボナールも「早くフランスで、世界中で公開してほしい。この映画をいろんな世界の皆さんと共有したい」と続く。

また黒沢が「自分の意思を最後まで貫き通す小夜子には、かすかな爽快感みたいなものが最後に残っていたのではないかと思います。ただ怖いだけではない。少しの爽快感。最後には、そういうところに連れて行ってくれる映画だと、お知り合いには伝えていただければうれしいです。ただ、その方が根っからのホラー好きでしたら、とにかく柴咲コウが怖い、だから観に行けと伝えてください。よろしくお願いします」と話して、イベントを締めくくった。

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