映画「
本作では、愛した恋人を刺し殺そうとした過去を持つ沙苗が、服役後に別の男性との結婚を経て、自分の愛し方をまっとうしようとするさまが鮮烈に描かれる。沙苗を橋本、彼女の過去を知りながらも結婚する夫・健太を仲野、謎めいた女性・足立を木竜が演じた。鑑賞後の観客を前に、山本は「年齢・性別に関係なく観ていただける映画になったのかなと。どう受け取ってもらえるのかドキドキしていたので、皆さんのお顔が見られてうれしいです」と感慨深げにコメントする。
沙苗の人物像は、2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件にインスパイアされて作られた。橋本は「沙苗の愛(し方)についてすぐに理解することはできなかったんですが、準備を進めていく中で『沙苗の愛こそ本物の愛だ』と思えた瞬間があった」と回想し、「世間から見たら沙苗は狂気をはらんでいるように感じられるかもしれないけど、彼女の目線に立つと、周りのほうが狂っている。沙苗自身にとっては『この愛がなくて生きられるっておかしいんじゃないか』と、いたって正気だったんです」と述べる。続けて「そんなふうに狂気と正気が逆転したような現象が起きたことがすごく面白く、自分自身の視野も広がった感覚があったので、かけがえのない経験になりました」と伝えた。
脚本を読んだ際の感想を問われた仲野は「キャラクターそれぞれが持つ愛の価値観に違いがありつつ、どの立場も正しいのかもしれないと思える“愛の解像度の高さ”にぐんぐん引き込まれました」と話す。木竜は「物語の真ん中にいる人たちをかき乱していく人物は、これまであまり演じたことがなかった」と語り、「足立は内側にいろんなものを抱えていながら、根の明るさや丈夫さもある。彼女が今まで生きてきた中で得たフレンドリーさみたいなものを逃さずに表現したかった」と役への向き合い方を振り返った。
「カメラが止まっているときは、できるだけ健やかに過ごそうとした」という橋本。その理由について彼女は「私自身は“本体”が壊れてしまうと表現の精度が下がることがわかってきたので、本体は健康的・快活で居続けて、表現するときだけ突き抜けられるように準備をしていこうと決めていた。精神的にギリギリだったシーンもあったけど、みんながすごく温かかったことに救われました」と説明する。ロケ地のペンションでキャスト・スタッフが集まって食事をすることもあったそうで、仲野は「『楽しいね』『映画って最高だね』って話す毎日で、(映画本編とは)全然違う空気感。青春でした」と笑顔を見せた。
撮影期間に、橋本・仲野・木竜の3人でボウリングをしに行ったというエピソードも。橋本は「みんなスコアがザコすぎて……」、木竜は「まれに見る泥試合でした」と口にし、橋本・木竜がスコア60、仲野が55という結果を明かす。さらに橋本は「太賀はカーブをめっちゃかけてガーターでした(笑)」と暴露。山本は「それを撮影が終わったあとに聞いて『誘われてないな……』って。でも僕が入っても泥試合になると思います」と言いキャスト陣を笑わせた。
最後に橋本は「撮影後、監督からは『沙苗の愛をわからないから撮りたかった』、脚本家の(イ・)ナウォンさんからは『沙苗のような人のことを守りたくて作りたいと思った』と聞いて、なんて素敵な出発点なんだと。誰かのことをわかりたい・守りたいと思って始まった映画だから、きっとこれは大丈夫だと今日まで信じてこれた。その切実さが少しでも伝わればいいなと思います」と呼びかけ、舞台挨拶の幕を引いた。
「熱のあとに」は全国で公開中。
映画「熱のあとに」本予告
関連記事
橋本愛の映画作品
リンク
如月陽(マルセル) @noboru_kisaragi
☆『熱のあとに』公開記念舞台挨拶
映像
https://t.co/cLVeha4BGf
レポート
https://t.co/xrwDRUf1d5
※ボクが行ったのは午後の渋谷の回。不思議な映画でいつ壊れるんだと思いながら観ていた。無表情な女性の役は大変だな…ト。挨拶では何かの撮影中なのか白をトッピングした?橋本愛さんの髪が印象的 https://t.co/18S8TVmkl9 https://t.co/4YDcGOqXqO